エピローグ
私はレイ・ミルファーノ、ミルファーノ家の唯一の跡継ぎよ。
そんな私は今処刑台に立たされている。
何をしたのかって?
まぁちょっとね、婚約を仕組まれたんだけど、相手の男が気に入らなくてこっそり毒盛っただけよ。
勿論その男は死んだけど、相手方が優秀な探偵を雇ってね。
あっさり見破られてしまったのよ。
オマケに私が殺した男がこの国の絶対的権力者の国王と友達だったそうで、ブチ切れた国王は即刻死刑にすると騒ぎ立てて屋敷から私を誘拐するように連れていったのよ。
そして今手と足に枷を掛けられて今まさに処刑が始まるところよ。
「貴様だな!私の友を殺したというのは!」
顔を真っ赤にして激昂しているのがありありと分かる。
「こんなやつの顔など見たくは無い!さっさと殺せ!」
兵士がはっ!と威勢よく返事をすると、私の首元をスパッと首狩りの剣で真っ二つにして、僅かな消えゆく意識の中痛みを感じながら私の人生は終わった。
……と思ったのに、気づけば私は暗い空間にいて足元だけ何故か明るい不思議な所にいる。
「やはり死んでしまったのですね。」
遠くからひたひたと裸足で歩いてくる。
最初は暗くて足元しか見えなかったがこちらに近づいて来るにつれて体と顔が顕になった。
「私は天界のものです、あなたたちが言う天使や女神の類ですね。」
「天使とか女神って実在したのね、てっきり作り話の中の想像された存在だと思ってたわ。」
「単刀直入に言いますが、このままだとあなたは天界には行けずに永遠を彷徨うことになります。」
「私が?なんで?」
「あなたは人を殺すという禁忌を犯したのです、当然ですよ。」
「別に一人くらいいいじゃないの、戦争なんか殺しまくってるわよ。」
「それを言われるときついけどね……とにかく!今からあなたをある場所に転生させますからね!」
「はいはい、さっさとどこでもいいから転生させなさいよ。」
女神が何かレバーのようなものを引くと私は空中に放り出されたような感覚がして、そのまま意識を失う。