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まさかの展開 結婚問題が動く

それは母上のお茶会に招待されてから六カ月くらいだった頃だろうか。

突然の呼び出しにびっくりする提案をけろっとした口調で母上が言った。


「アレクセイ私はあなたの結婚相手はマリアティーヌがいいと思うの」


「え!」

思わず口にした紅茶を噴き出しそうになった。

これってもしかして母上は最初からそのつもりで侍女に雇用したのでしょうか?


「母上でもマリアティーヌは王族ではありませんよ」


母上の真意がわからずにとりあえず条件面で問題になりそうな事を聞いてみる。

なにせ基本的に皇族の婚姻相手は基本皇族王族に限るのです。

貴族からしかも国内から正妃は例外なのです。

母上は「はいきました」とばかりにたたみかけるように提案してきます。


「それなら大丈夫です。

 お父上の公爵にうちの領地の一部をあてがい独立公国にしてしまえばいいわ。

 他の同盟国の国内の事だからどうのこうの言わないし。

 言わせません。」


これ本気なヤツだ!


そう改めていわれると正直反対する理由はない。

強いて言うなら帝王学の修業の時間が少なくなるのでは?と思うくらい。


そうかそうかマリアティーヌか。

………そうか。


少し結婚生活を想像してみる。


キビキビしたさい配と僕の生活の管理。

お互い好きな事しながら気兼ねなく話せる相手。

物おじしないその性格としんの強さ。

自由な発想。

乗馬や狩りが好きな行動派。

自分の意見をはっきりと言葉に出来る真実の人。


想像出来ないなんて言葉が思いつかない。


そもそもいままでどの肖像画や母上の強制お見合いの時も想像出来ないでいた。

なのにマリアティーヌは想像が出来るのだ。

そう一緒にという言葉がぴったりだった。


一歩下がるでなく上がるでなく横に立ってくれる相手。

辛い時、楽しい時、命がけの時その全てを分かち合える相手。


そうか。マリアティーヌか。

そうか。そうか。


「母上 考えてみます」


母上は僕の答えに意外と驚いたようで大きく瞳を見開いていた。


「な… なら…よかったわ…。よく考えて答えを頂戴ね」


そういって母上は楽しそうに僕が去るのを見送ってくれた。


マリアティーヌか……。


母上の部屋を出た僕を侍女達が礼をして廊下を通っていく。


最後にあったのはメヌエットとマリアティーヌだ。


ふと手前で止まって呼び止めた。


「マリアティーヌ ちょっといいかな?」


飛び留められたマリアティーヌはえっとした顔をして言葉に困っているようだった。


「いいわよ。マリアティーヌいってらっしゃい」


「はい女官長様」


マリアティーヌと二人母上の中庭の庭園に出る。

後ろでメヌエットがニタニタ笑っているのは僕は知らなかった。



中庭の東屋にふたりベンチに腰掛けて座る。


マリアンティーヌはなんの話だろうと不思議そうに僕を見ている。


「なんなの?殿下」


あの日から抵抗なく僕に普段の言葉使いをしている。


「ん~。えっ…と」


改めて聞かれると話があるといったもののどう伝えたらいいか言葉につまる。


「マリアティーヌは結婚についてどう思ってる?」


「え!結婚か?

 私を受け入れてくれて、自由にさせてくれて、共に一緒に乗り越えて、支え合うのが私はいいんだ。

 だから貴族の普通の結婚は私には向かないな。」


少し苦笑いをしながら言う。


大体僕の理想と同じだ。

ただし僕の妃なら皇太子妃そして皇后になる。

そこは彼女らしさが損なう事になるだろう。


「そうそれと貧しい者に奉仕がしたい。現場で先頭に立って人を支えたいんだ」


なるほどそこは皇族が貴族達よりも広い支援が出来る。


「なるほどね ねえ マリアティーヌ。

 僕との結婚を想像してみてほしいんだ」


言った瞬間のマリアティーヌの顔は一生忘れないだろう。


瞳の瞳孔は開いて、僕をまん丸の目で見ている。

そると口がプルプル震えだして手をバタバタし始めた。


「で…で……殿下……なんの冗談……たちが悪いですよ」


僕は真面目な顔で左右に首を振る。


「想像してみて」


「はぁ~~~~??えぇぇぇ~~~~」


マリアティーヌの大きな叫び声が皇后宮に響いたのはその後のことだった。











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