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皇太子妃の花嫁候補達

今日は母上に呼び出され皇后宮を訪問します。

長い廊下の先に母上の居間があるが、その廊下で久しぶりに乳母に会いました。


「メヌエット 久しぶり」


昔から左手が不自由だけど相変わらず元気そうで安心する。

僕の乳母だったけど母上の元乳母でもある。

今は皇后付きの女官長だ。


母上の次に皇后宮で明るい人だ。


「アレクセイ皇太子殿下 お久しぶりです。 

 お元気そうでよかった」


明るい声は相変わらずだ。

もう齢六十を超えてシャンとしている。

ほっと本音で話が出来る数少ない人物だ。


「最近忙しくてね。 これなくて御免ね」


するとメヌエットは首を振って優しく笑う。


「いえいえ ご活躍伺っていますよ

 無理あそばされませんように」


僕が小さい頃はもっと口が悪かったけど。今は落ち着いている。


一緒に母上の部屋に入る。


開いた扉の先には。


母上???


居間はかなりかなり広いんです。


真ん中にグリーンを基調にしたテーブルとソファーがドンと置かれて冬用の暖炉とよりすぐりの調度品が置かれている。

きらびやかよりもどちらかというと落ちついた重厚感のある部屋だ。

その部屋中に大量の額縁が飾られている。


「ん~~~???なんですかこれ???」


思わず大声出してしまう。


額縁に囲まれるように母上がソファーに座っている。


「アレクセイ」


軽やかな母上の声がウキウキしている。

もしかして???


「母上 もしかして……これは各国の王侯の女子達の肖像画ですか?」


ほとんど十代前後の女の子の肖像画がずらりと部屋中飾られている。 

一M超から小さい物は二十CM前後の物もあります。


「アレクセイ皇太子殿下 

 そろそろ御前も婚姻を考えないといけない年齢です」


黙り込む。

いずれはくるであろうと想像はしていたが、今か?今はそんな気分じゃない。

げんなり~どうしたらスルー出来るか?


まあ皇太子就任から三年経ち僕も十五歳になりました。

そろそろとは思っていましたが本当に来たかという感じです。

でも本当にそんな気にならないくらい帝王学は重いのです。


「お母様今そんな気分じゃない」


本当にそんな気分じゃないんだ。

母上まだ無理です。


お母様はやはりといった様子で大きくため息をふ~と吐いておられる。


「ずいぶんと落ち着いたのでそろそろいいかしらと思って………」


少し声が小さくなる。


わあぁ~~母上それ苦手なやつ。


「母上 ごめんなさい 

 でももう少ししたら考えます。とりあえず肖像画は倉庫へ………。」


「そう言わず。まあとりあえず美術鑑賞的に楽しんでみてみましょう

 ねえアレクセイ」


あ~~~断れない奴だ。


右から順番に見さされている。

挿絵(By みてみん)

「こちらは……アフェルキア公国の第一公女殿下」


「あ!!あの子か」

挿絵(By みてみん)

「こちらはフォルスト王国第三王女殿下」


「あぁはい」

挿絵(By みてみん)

「ランデルト王国 第二王女」


「はい」

挿絵(By みてみん)

「こちらはデランド王国 ディラ大公大公女」

挿絵(By みてみん)

ラディラン王国 王妹殿下

こちらは・・・・・・・・。長いです。

母上・・・・・・・・。言えないですが・・・・・・・・・。


長々と続く紹介会はようやく終わり


「その気になったらいつでも言ってくるように」と強めの口調で言われて母上の部屋を出る。


見送るメヌエットは苦笑している。


「お疲れさま殿下」


あぁ~僕が皇太子でも大公でも避けては通れない結婚、兄上は初恋を成就させたけど僕は少しいやだいぶ恋愛にはクールなタイプ、情熱家の父上や兄上のようにはなれない。

でもやはり伴侶は必要で、結婚したらしたで大切にします。そこに愛はないかもしれないが情があればよい夫婦になれるはずです。


今日は会議も謁見も公務はなく久しぶりのゆっくりした時間を私室で過ごせそうだ。


ゆったりとソファーで読書しつつお茶を飲む。

こういう時間が大好きだ。

皇太子になって以来異常なほどいろんな事があった。最初は面倒事を押し付けられたと思っていたけど。何かとやりがいが生まれてきている。

今日はお昼寝をしよう。明日は昼から夜まで社交パーティーだ。


翌日は朝から懇親会の準備で大忙しです。

お昼にはブーレンの皆を宮殿に呼んで懇親会でです。

明るいうちの方がなにかと悪い噂は聞いですむ。

あれこれ指示して会場を飾りつけ。

お食事はお話しやすいように立食にしました。


つまみやすいお料理を用意しました。


王族、貴族、平民を一同に招待して身分を問わず交流してもらう。

もはやそういう時代にならないといけないと思う。

意識改革ってやつですか?

今はみんな僕達が統治するのに不満はないけど、世代が変わると変わってくると思うんだ。

父上はすごい皇帝だけどもしそうでない人が継ぐとどうなるのか?僕達もこのままだとは思いません。

僕は少しずつ変わっていく時代に合わせないとと思うんだ。

あれ皇太子っぽくなってきているかな?あ


順番に賓客が入城します。

僕のヘットハンティングした優秀な若者が五十人とその部下達、そしてそれぞれの奥様も招待しました。


あ!!ファルキアでGETした役場の会計長がいます


「やあ! 久しぶりだね。財務大臣補佐官殿」


肩を叩く。

補佐官はびっくりしてこちらを向きました。

あんときはまさか僕が皇太子とは思ってもいないし、今回も功労者として呼ばれたとしか聞いていないだろう。

「え!!皇太子殿下?」


「はいアレクセイです」


目が点です。本当に目が点てあるのですね。


「あの時は失礼しました」

直立不動で九十度のお辞儀、お人形みたいです。


「いやいや 凄腕聞いているよ。 益々活躍してほしい。 

 君のこれからの事はその腕次第でいろいろ考えてるよ。

 僕は実力次第であげていくからね」


目が✨しています。


「はい!ありがとうございます」


このままいくと彼は新興貴族の仲間入りができるだろう。


隣には少しあか抜けないが品のよい落ち着いたご婦人がいる。

奥様だろう 

素朴な雰囲気だ。


「これから忙しくなるが、しっかり支えてほしい」


奥様は目がウルウルしながら僕を見つめて頷いた。


「もったいないお言葉でございます」


内助の功は必須です。


こんな会話を楽しみながら皆食事が美味しいと打ち解けていろんな分野で活躍する若者が交流するのはいい事だ。これから国を背負っていくのだから。


そんな中にあれ??

アルフォンス・ディア・ナディアン公爵とあれ???公爵令嬢?


「ナディアン公爵? あれ?」


すぐに僕を見つけて近寄ってくる。

今日は父上の右腕は招待していないけど?

あA!!!思い出した。そういえば会うごとに娘の話を話題に出していたっけ?

もしかして強硬見合い??


「皇太子殿下 突然の訪問誠に恐れ入ります

 今日は皇太子殿下に許可なくお願い事をしにまいりました」


やはり突然はまずいとおもったようで、でも大丈夫です。

父上の右腕しかも超やり手のあなたを僕は寵臣としてキープするつもりです。何せ我が帝国の繁栄の功労者です。


「いいんだよ。 何かな?」


公爵は少し咳払いしてから言った。


「皇太子殿下

 三日後の大礼拝式にご出席いただければと………」


そういう時期か。

女神聖ディアの降臨式がファルキアでおこなわれますが、例年は皇室は出席しないのですが、今年は確か降臨二千年記念だったかな。


「ああ。いいよ三日後だね」


公爵はほっと胸をなでおす。


「皇太子殿下 こちらにいますのは娘のマリアティーヌ・ディア・ナディアンでございます」


「あ。 そう賢そうな令嬢だね」


令嬢は美しい立ち姿で、宮廷マナーの基本の様なお辞儀をする。


黒髪の深い海のブルーの瞳に賢そうな落ち着いた女性だ。

年のころは語僕より二・三年上だろうか。

確かに公爵令嬢といった物腰に立ち居振る舞い見事であった。


「令嬢は皇后陛下がお気に入りになりそうだね 

 公爵が望むなら皇后陛下付きの女官になるのもいいかもね」


なにげにいった一言で侯爵の瞳が輝いた。


「勿論でございます。これは光栄このうえなく」


手を握りしめて僕を見つめた。

あれそっちが目的だったかな?



公爵は意気揚々とかえっていった宮殿を車で去っていく。


「皇后陛下のご命令とはいえ………胸が痛むな」


ぼそっと公爵が独り言を言った。


「お父様 仕方ありませんわ。 皇后陛下に泣き疲れたら」


「まあ私は両方を大事にしないとね 御前の身の振り方がきまってよかったよ

 これで皇后陛下と出来れば未来の皇太子殿下にコネクションが出来たらもっといいな」


「ところで私の協力があっての今日ですわね。

 取引条件に解禁願いますね」


公爵は観念したように息を吐きしかたないとばかり言った。


「しかたないな」 


「でもばれないようにな」


「はいはい」


「公爵令嬢なんだから、お前を否定するつもりはないが、貴族社会はその手をかなり気にするからな」


「はいはい。だから家だけにしてるでしょ。しかも使用人にも見せていませんよ」


「では明日から参ります」


にこにこが止まらないマリアティーヌだった。


さて懇親会は宴もたけなわとなった所で余興を用意しました。

子供達の天使の歌声に皆聞き惚れています。

その後はフェレイデンの伝統楽器の音楽鑑賞、軽快な歌劇が開催され皆満足して終了しました。







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