危険なおふだ!
――GUBAVOGADORYURURU――
「こいつ、何処からこんな大量の妖液を・・・クソっ! 住宅街でコンポストなんか使うなってんだよ!!」
都市近郊の住宅街で妙な噂を聞きつけ、深夜とある住宅の前を張っていたら案の定、厄怪が現れ……
噂の火種は、Gの群れが人を襲って連れ去るのを見たと言う子供達を、馬鹿にし追い払った警察の対応。
しかし同日、隣町で行方不明になった男の子が居た事を知ったのは、営業に訪問した折。
他人の子供の悪口をばら撒くPTA役員の話では、友達も少ない登校拒否児と言う。
だが、公園に居た子供達の会話からは、まるで違う話が見えて来た。
要約すれば、小3の崇君は屋根裏に貼られていた御札を見付け、話のネタにそれを剥がして学校に持って来ていたらしい。
その翌日から来なくなった崇君に皆、呪いや祟を疑っていた。
崇君の家の屋根裏部屋に興味が湧いて、敢えて訪問してみた処……
当たった。
こんなにもあっさり当たりを引くと、自身の損な役回りに恨めしくもなる。
見知った顔の刑事、伊能が居た。
拉致誘拐か迷子か、未だ判らぬ失踪事に、慎重に捜査を始めるか否かの判断に、中に刑事が数人居たが……
「早いな」
伊能の台詞が全てを物語る。
「じゃあ……」
「多分な、隣町で変なモンが蠢いてるって噂だ。頼むわ!」
「いや、今週末は休めるって言ってたろ!」
「頼むよ、バスター」
「ったく! ろくでもねえ宗教団体のせいで……」
仕事の休みに善意で化け物退治をしていたが、都度に化物を生み出しているのがとある新興宗教団体と判り、同じく私的に捜査をしていた伊能と出遭って以来、休日を失い二年半。
――GUHYAAAAAA――
日曜の朝陽を浴びて心身共に疲れたオレは、苦虫を噛み潰した顔で大量の死骸Gの山に手を伸ばす。
埋もれる子供を掬い出し、伊能の元へと連絡を入れる。
汚れを落とし銭湯から出ると、伊能が待っていた。
「折角のオフだったのに悪いな!」
「なら、飯くらい驕れ」
オレは興味も無いのに伊能は崇君のその後を話す。
「G思い出すからやめろ!」
「お、悪い! 冷めない内に食ってくれ!」
鶏唐定食を頬張る朝の夕飯。
折角の休みを今から眠りに使う虚しさに、厄怪と闘った体が眠りを誘う。
眠気を覚まそうとお吸い物を啜った。
「熱っ!!」
伊能が馬鹿にした目で嘲笑っている。
「お吸い物ぐらいで大袈裟な、猫舌かよ」
こいつの危険な熱さを伊能は解っていない。
「馬鹿野郎! 危険なお麩だ!」