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回想のひとりごと  作者: アルカリ融解
3/3

関係

嘔吐、鬱、自殺、などを扱った作品です。苦手な方はお控えください。

この作品はTwitter、pixivにも掲載しております。

電話をかけてきたのは恋人だった。

ここ最近この恋人と上手くいかず、「人殺し」、「全部ありえない」、「何考えて生きてんの?」と、色々とな言葉を日常的に浴びせられ、怒られ、ものを投げては拾わされていた。

優しい時もあったが、機嫌の悪い日はいつもそうだった。

死にたかった。

死ぬしかないと、死ななければならないと思った。

そういう思いで、今日死のうとしたのだ。

そんなことを思い出し、呼吸が荒くなる。

それを見たその人は、僕が取ろうと手を伸ばしていたスマホをとり、電話を切り電源を落とした。

「嫌なんじゃないのか?」

動揺を隠せない表情の僕を見てその人はそう言った。

僕はゆっくり頷いた。

「さっきの人はどんな人なんだ?」

「恋人、です、」

恋人と言っていいのか分からずしりすぼみな調子でそう答えた。

「なら出なくていいんだよ、自分のこと苦しめてくる恋人なんて、本末転倒だろ?」

確かにそうだ。

やっと気づいた。

周りに相談できる人などおらず、誰も言ってくれなかった正論をその人はサラリと言った。

なんだか、失っていた、消していた自分を少しだけ取り戻した気がした。


「話変わるんだけどさ、」

「はい、?」

「名前決めないか?」

「名前?ですか、?

 僕は──────」

「違う違う、」

名前を言おうとしたところで遮られた。

「2人だけの名前、過去とか他の人に囚われないようにさ、新しくつけたいな」

新しい、2人だけの名前。

嬉しかったし、なんだか素敵に思った。

「いいですね、なんて名前にします?」

「君は、、、」

その人は少しだけ考えて

「はく、なんてどう?」

「たくさん吐いてるからですか?」

「うん、、まあ、そんなところ」

図星だったのか、その人はバツが悪そうにそう答えた。

「単純ですね、でも、はく、いいですよ」

「気に入ってくれてよかった!じゃあ僕は?」

「えーっと、」

聞かれるかなとは思っていたが考えていなかった。

「なんでもいいよ」

「じゃあ、つゆ、とかどうですか?」

「つゆ!いいね」

つゆさんはすごくうれしそうに名前を受け待ってくれた。

「梅雨の時期、好きなんです。雨の匂いが好きで」

昔から雨の匂いが好きだった。あの懐かしい香りが。


「じゃあ、「はく」と「つゆ」だね。これならよろしく、はく」

「こちらこそよろしくお願いします、つゆさん」

「つゆさんじゃなく、つゆ、がいいな。それに敬語じゃなくていいんだよ、上下関係なんて嫌だろ?」

ニコッとした表情だった。楽しそうにしてるつゆを見て、私も少し緊張が緩んで行く気がした。

「じゃあ、よろしく、つゆ」

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