可惜夜を抜けて
可惜夜を抜けて 可惜夜を抜けて
おもいおもいの あたらよを
今宵かける あたらよを
ある時ゃあ 血沸き肉躍る 冒険活劇
はたまた 恋の胸騒ぎ
愛憎彷徨う 恋情の波に流されて
ここにおりなんせ 先へは行かず
ここにおりなんせ 外は辛いさぁ
可惜夜を抜けて 可惜夜を抜けて
真綿に包まり 抱かれる
無償の愛情 あったけぇ
常世のものだと 思い込む
そいつぁ あんまり 調子がいいやね
一人紡いでは解きほぐす 堂々巡りの可惜夜だ
楽しい哀しい 可惜夜だ
可惜夜を抜けて 可惜夜を抜けて
それは気付けば、いつも居た。
朝も昼も夜も、どんな時もぴったりくっついて離れない。血脈を駆け巡るように全身を支配する。抗う手足は鉛のよう。頭の芯からギリギリ締め上げられるのは、ただ痛みが去るまで耐えるしかない。
まるで影が離れぬように付きまとった。いや、影とて闇には溶け消える。消えないそれは、闇に広がり覆いつくす。暗い中はそれの領域。一層力を増して居る。
それは、劣等感、焦燥感、寂寥感。
どうにかしたいのに、どうしようもなくて。
こんな苦しいものを抱えているだなんて、自分だけがどこかおかしいのかと、それすらも分からなくなる。
甘い夢に溺れていたい。何も考えなくていい。優しい愛に溺れていたい。あける事なかれ可惜夜を。
方法は簡単だ。追わなければ良い。望まなければ良い。求めなければ良い。
ただ、誰かの指示を待ち、支配者の与える首輪を通して、従順に従う。そうすれば、一定の庇護が約束される。
自身で一歩を踏み出さなくていい。先の見えない、その道を、手探り探す事も無い。一歩先は奈落の底か。千本針立つ莚の上か。一歩に怯える事もない。
ほどほどに、そこそこに。考えず高望みせずに、諦められるなら、それがいい。
試さなければ、ダメだと否定を突き付けられはしない。
たとえ、真綿で首を絞めるように、じわじわ押し寄せる後悔が身を苛もうとも。
優しい夢を見ていたいなら、大胆な行動には移さないもんだ。行動すれば、結果はどちらか。否定されたくなきゃあ、優しい優しい可惜夜に留まり続けるといい。
可惜夜を抜けて、甘い甘い夜を抜けて、傷付こうが辛かろうが、その手を伸ばすなら。
必ず何かは掴むだろうさ。
望んだものか、違う何かか。
やるだけやって大の字になりゃあ、存外、気持ちが良いもんだ。
可惜夜を抜けて、甘い夢見る時は抜け出して、震える一歩を踏みだせば。
そこで見えるのは自分だけの世界だ。
厳しい挫折も、勝利の美酒も、挑戦者には平等だ。
可惜夜を抜けて、可惜夜を抜けて。
可惜夜、という単語を知り、衝撃が走ったので衝動的に書きました。
明けるのが惜しい素晴らしい夜、けれど夜、夜明けは必ず来る。
夢を夢見ている時が一番傷もつかず可惜夜と言えるのか。
夢が叶った夜こそ、可惜夜に相応しいのか。
それとも、それら両方、可惜夜を抜けて、その先にある可惜夜を目指すのが、目指し続ける夜こそ、可惜夜なのか。
ぐるぐる考え出してしまい、ここへ書き出し!
まだ、コンテスト期限までに、ちょいちょい書き直すかもです。