表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/17

サプライズ②


 「ありがとうございました」


 「いやいや、私でよければいつでも手伝うよ」


 結婚式のサプライズ動画の撮影は完了した。

 最後の中学時代の恩師を訪ね、撮影したことで、後は編集するだけとなる。

 絵梨と俺の役割は撮影だけだ。

 編集は夕貴がやるらしい。

 これで俺の仕事は終わりだ!


 「先生も老けたね」


 「俺らの担任だったときで40後半だから50後半だろ?そりゃ老けるだろ」


 先生も年取ってたなぁ。

 担任のときは黒髪に白髪交じりだったが、今は白髪一色だった。

 

 「終わったことだし、飯でも食って帰るか」


 「賛成」


 「どうする?ここから帰るとなるとうどんにでもしとくか?」


 「たまにはいいね。うどんで!」


 福岡をラーメン県だと思ってる人も多いかと思うけど、福岡はうどんも有名なんだぞ。

 気分はごぼ天だなぁ…。











 「美味しかったー」


 「久しぶりに食うと美味いよな」


 絵梨とうどんを食べ終え、車のエンジンをかける。

 

 「家まで送ればいいよな?」


 絵梨の家までの道も慣れたもんだ。

 もう何回も送っていってる。

 送り狼にはなってないぞ。


 「どうした?」


 「………」


 「どこか行くか?」


 「うん…」


 まだ17時だし、帰るには早いか。

 適当に車を流してブラブラするか。

 絵梨が行きたいっていったところに向かいますかね。





 「…奏司。あそこ行きたい」


 「どこだ?」


 「…あのホテル」


 「はぁっ!?」


 海でも行くかーと市内を走っていると、絵梨が指定したのはホテル。

 ホテルはホテルでもピンク色のホテルだな…。

 絵梨さんや、さっき飲んだ?

 

 「冗談は止めとけ」


 「…冗談じゃないし」


 「ほわっ!?」


 意味分かってるのかよ。

 あそこは男女がチョメチョメするとこだぞ…。

 

 「…意味分かってるのか?」


 「…うん」


 据え膳食わぬは男の恥…。

 そこまで絵梨に言わせちゃなぁ…。

 俺も覚悟を決めるか。


 

 「………」


 「………」


 絵梨の指定したラブホテルに到着し、無言の絵梨を俺が引っ張る。

 ホテルに入るときもそうだが、絵梨は無言だ。

 無言になるなら止めとけよ。

 部屋に入って何もしないで終わりだ。


 「ほら、上着」


 「うん…」


 部屋に入り、絵梨の上着と俺の上着をかける。


 「ほら、水飲んで落ち着け」


 「………」


 ウェルカムドリンクの水を絵梨に渡し、絵梨と横になるようにソファーに座る。

 

 「飯食ってから変だぞ」


 「…そうかな」


 「取敢えず水飲んで落ち着け」


 未だにペットボトルの封を開けない絵梨。

 いつもの絵梨とは違う、何かに怯えているような感じがする。


 「…俺が返事をしないのが悪いのか?」


 「………」


 絵梨に告白されてから2か月は経っている。

 未だに返事をしない俺は最低男だな。

 言うタイミングがないんだよ!


 「…それもあるけど」


 「あるんかーい!」


 そりゃそうですよね。

 未だに態度を保留して、毎週絵梨と遊ぶような男ですから…。

 

 「…返事をしないで私と遊んでくれるってことは期待してもいいの?」


 顔を上げた絵梨の瞳には恐れが浮かんでいる。

 何を恐れているんだ?

 俺が断ると思ってるのか?


 「…俺がそんな軽薄そうな男に見るか?」


 「…見える」


 「ちょーい!」


 実直な男奏司を捕まえてなんてこと言うんだ!

 …返事もしてない男が実直なわけないか。

 申し訳ないっす…。


 「絵梨に告白されて、今一度絵梨のこと考えたんだ。絵梨は俺の初恋の女だし、今でも好きって言ってくれたのは嬉しかった。だから、しっかりとした気持ちで絵梨に返事をしたかった」


 「………」


 「中学の時は勢いもあったけど、今回はちゃんと考えたかった。ちゃんとした答えを出さないと絵梨にも申し訳ないと思った。…未だに保留してる俺が言うことじゃないけど」


 俺は絵梨の手を取り、自分の左胸に持っていく。


 「ほら…。分かるだろ」


 「…抓ればいいの?」


 「ちゃうわ!」


 誰が抓って喜ぶ変態じゃ!

 そんな趣味ないわ!


 「…ほら、ドキドキしてるだろ」


 「…ホントだ」


 絵梨に俺の心臓の音を聞かせる。

 絵梨といるとドキドキしてヤバいんだよ…。

 これが答えだ。

 分かるだろ。


 「…ラブホだから?」


 「そうじゃないわ!」


 俺にどれだけツッコミさせるんだよ…。

 俺は漫才師じゃないんだよ…。


 「好きでもない女にこんなにドキドキしない」


 「…それって」


 「それが答えだ」


 「…よかった」


 俺は絵梨が好きだ。

 幼馴染としても好きだけど、1人の女として好きだ。

 

 絵梨に告白されてから考えた。

 絵梨ともう一度付き合う。

 子供とは違う、大人の付き合い。

 

 絵梨と20年来の付き合いだ。

 初恋の女だ。

 もう一度絵梨と付き合いたい。

 それが俺の答えだ。


 絵梨に告白の回答をしたが、絵梨の瞳からは恐れが消えていない。

 どういうことだ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ