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いつの間にか評判を下げられてた奏司


 「最近絵梨が酷いんですよ!」


 「もう付き合っちゃえば?」


 「絵梨にそんな感情はないと思いますよ」


 「そうかなぁ…」


 俺はノブさんのバーで絶賛愚痴り中だ。

 元旦の荷物持ちから始まり、仕事が始まってからも毎週絵梨に食事に誘われる。

 食事代は割り勘だから財布は問題ないけど、会う度にグチグチグチグチ言ってくる…。


 俺のせいでおじさんに茶化された。

 あの日のせいでおばさんからも結婚について言われるようになった。

 俺が来たせいだって。

 ちょっと待て!絵梨の実家に連れてったのは絵梨だろ!?

 俺悪くないよね!?

 

 そんなに結婚のことを言われるのが嫌なら男作って結婚すりゃいいだろ!

 俺に言われも困るわ…。

 俺に男紹介しろって言うことなのか?

 会社で絵梨に合いそうな人と合コンでも組むか…。

 そうすれば少しは絵梨の風当たりも弱くなるだろ…。



 「いらっしゃいませ」


 「ノブさん、二人だけで座れます?」


 「良い感じのバー」


 「あ…」


 「あら…」


 「ん?」


 噂をすればなんとやら。

 絵梨が女性を伴ってノブさんのバーにやってきた。

 男じゃないんかーい。


 「絵梨、誰々?」


 「幼馴染の奏司です」


 「噂の幼馴染くん?」


 「絵梨、どんな噂してるんだよ」


 「なんだっていいじゃない」


 「うひひ。絵梨、奏司くんの横いこ」


 絵梨の知り合いか?

 最初からテンション高いなー。

 時間的に飯の後に来たっぽいな。

 

 「初めまして奏司くん。絵梨の同僚の美月だよ」


 「絵梨に噂されてる奏司です」


 絵梨はカシオレ、美月さんはレッドアイを頼んだ。

 俺俺の横には絵梨、その横に美月さんという並びになった。

 

 美月さんは絵梨の同僚みたいだ。

 今日は絵梨と美月さんの食事の後に、まだ飲みたいという美月さんの要望でここに連れてきたと。


 「奏司くんって絵梨の元カレなんだって?」


 「そうですよー。絵梨、いらんことを言うなよ」


 「いいじゃん」


 最初からテンションが高い美月さん。

 ノブさんと俺だけだった店内も、美月さんのテンションで騒がしい。

 このテンションなら常連が来たらすぐに仲良くなりそうだ。

 

 「絵梨とはもう付き合わないの?」


 「美月さんっ!?」


 おいおい絵梨さんよ。

 お前美月さんに何を吹き込んでるんだよ!?

 

 「絵梨と俺に恋愛感情なんてないでしょ。絵梨も俺を幼馴染で使いやすいから足に使ってたりするんだと思いますよ」


 「だってエリンギ」


 「そーですか!」


 絵梨が俺に恋愛感情を持っているとは思えない。

 中学生のときだって、幼馴染のお情けで付き合ったようなもんだ。

 今だって食事や遊びは幼馴染で気を遣わなくていいからだろうな。


 絵梨、飲むの早すぎだろ。

 カシオレって言っても飲み過ぎるとよくないぞ。


 「マスターはエリンギと奏司くんどう思います?」


 「お似合いだと思うよ。幼馴染ってのがいいね」


 「ですよねー!」


 ノブさんと美月さん…。

 意気投合し過ぎだろ!


 絵梨と俺がお似合い?

 幼馴染って付加価値があるからそう見えるだけでしょ。

 そりゃぁ、絵梨は初恋の女だけどさ。


 「奏司くん彼女は?」


 「彼女いたらノブさんところに一人で来ないですわ」


 「早く彼女作って売り上げに貢献して」


 「してるじゃないですか」

 

 最初の一杯と後は烏龍茶で売り上げ貢献してるじゃないですか。

 週3は来てるし、烏龍茶の売り上げは俺がトップですよ?

 そもそも烏龍茶を俺以外が飲んでるのを見たことないけど…。


 「樋口っちゃんも彼女欲しいって言ってるじゃん」


 「奇遇ですね。エリンギもですよ」


 「そうなると…」

 「やっぱり…」


 「「付き合うしかないね」」


 「うっさいわ」


 ノブさんと美月さんって付き合い長いの?

 え?今さっき知り合ったばっかり?

 息が合いすぎだろ!


 二人も中学生みたいなこと言わないでください。

 もう大人なんですから、付き合う相手は自分で決めますよ。

 絵梨も黙ってないで言い返せよ…っ!?


 「絵梨…」


 「………」


 絵梨が俺の手を握ってきた。

 そういうことなのか…?


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