表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

助けた女性は初恋の元カノでした

黒白が終わりましたので、新連載です。

幼馴染物です。


 「大丈夫ですか?」


 帰り道の博多駅まで道。


 女性が蹲っていた。

 たまたま目に付いた。

 

 どうやらヒールのかかと部分が折れているようだ。

 誰も声をかけないなんてみんな冷たいよな。

 全ての困っている人を助けるなんて正義感じゃないけど、さすがに目に付いた人を放置しておくことはできない。


 「あ…はい。ヒールが折れちゃいまして…」


 「ツイてないですね。たしか構内に靴の修理できるところがあったはずです。私が直してきますよ」


 女性のヒールの右足かかと部分が折れている。

 博多駅の構内に靴の修理屋があったはずだから、俺が行って直してもらってくるか。


 「よろしいですか…?見知らぬの方なのに申し訳ございません」


 「いえいえ、困ったときはお互い様です。どうしますか、修理まで待っていますか?」


 女性は修理の間、近くのカフェで待っていてもらうことにした。

 さすがにこの時間帯に片足がない状態で歩きたくないと思うし。

 この場で待っているという女性をカフェに押し込み、俺は靴の修理屋を探すことに。

 どこだっっけ…?










 「お待たせしました」


 「わぁ…。ありがとうございます」


 「簡単な補修だけみたいですので、後日交換してもらってください」


 「重ね重ねありがとうございます」


 修理屋のおじさんが30分程で直してくれた。

 応急処置らしく、後日交換しないとすぐに折れてしまうとのことだ。

 男だから詳しくないけど、女性も大変だなぁ…。


 「あの…お礼を…」


 「大丈夫です。これも何かの縁でしょう」


 お礼をと財布を取り出す女性。

 お礼なんて不要です。

 

 「では修理代と、ここのお茶代だけでも…」


 「分かりました。ご馳走になります」


 女性は折れなかった。

 ヒールは折れたのに…。

 せっかくのご厚意を無碍にするのも申し訳ないし、俺もお茶の一杯はいただこうかな。

 

 「抹茶オレですか?」


 「この店でしたらこれですね。コーヒーの美味さが分からない人間ですので」


 某コーヒーチェーン店。

 色々あるけど、俺はこの抹茶オレが好きなんだよね。

 コーヒーの美味みなんて分からないし、コーヒーを飲んで喉を潤してる人の気持ちが分からないんだよなぁ…。

 コーヒー牛乳なら最高なんだけどな。

 

 「甘党なんですか?」


 「甘々党です」


 女性が微笑んでくれた。

 今初めてしっかりと見るけど、可愛いらしい笑顔の女性じゃん。

 いやぁ…、良いことするとお茶が美味い。


 「あ…、名乗り遅れまして申し訳ございません。茅原 絵梨と申します。この度はお助けいただきありが―――」


 「茅原…絵梨…?」


 「え…」


 嘘でしょ。

 いや、同姓同名でしょ。

 ないない…。


 「どうかされましたか?」


 「その…。不躾な質問なのですが、小学校は箱崎ですか?」


 「ええ…」


 「…年は今年で25じゃないですか?」


 「…そうですけど」


 マジかよー!

 ビンゴだわ…。

 うそーん…。


 「絵梨か…。久しぶり」


 「え…」


 俺は名刺を絵梨の前に差し出す。

 

 「嘘…。奏司…?」


 「そうたい」

 

 「ええーっ!?久しぶり!どげんしょったとー?」


 まさか助けた女性は同級生で、幼馴染で、元カノで、初恋の女性だった。

 こんなことあるー?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ