めくらさん
完全に趣味で創作をしています
暇な時にぽつぽつ筆記して楽しんでいるのでペースも遅いと思います
もし、読んでもらえたらうれしいです
それだけでうれしいです
物語は好きじゃない
昔の友人たちは、漫画や小説を読んでは楽しそうに語っていたが
その話は退屈で、現実ではありえない事ばかり
いつも冷めた目で友人達を見ていた
そんな都合の良い話なんてある訳がない
私に起きた出来事は、友人たちが話していた様な
都合の良い話とは真逆だが
これもまた
物語と言っても間違ってはいないだろう
・・・・・・
・・・・・
・・・
不本意だけど
【めくらさん】
「まっくろな~ まっくろな~ 朝がきても まっくろな~ 」
この村には変わった童歌が残っている
子供達は皆、はしゃいで歌っているようだが
8月の殺人的な日差しを浴びながら「まっくろな~ 朝がきても~ 」と不自然な歌の歌詞
歌詞の意味はわからない
通常なら恐怖を感じる様な異様な空気すらも
未知の町へ踏み込んだ達成感で興奮を隠せない
おかっぱ頭がトレードマークのスレンダー女性は、
目的地に着いた事をよろこび、道の横の青々とした芝生に寝転んだ
草のにおいは、都会の喧騒を忘れさせてくれる
新聞社で働く女性記者の毛利 深緑は、郷土料理を探す記者であり
色々な町を食べ歩き、写真を撮り文章を書いて、会社のブログに更新をするのが仕事だ
ミロクは20代前半の新人だが、若い感性から紙媒体ではないブログを担当し
毎日の様に食べ歩き、その味や変わった風習等を記事にしている
車、バイク、タクシー等を極力使わずに(さすがに電車は使う)現場に行く事をモットーにし、
記事にはダイエットなどの内容も含まれている為
グルメファンだけではなく、美容マニアの女性のフォロワーも沢山いる
その数、現在10万フォロワー越
本日は変わった餅を出す町の情報を小耳に挟み
新幹線やローカル電車を乗り継ぎ、最寄駅から徒歩3時間掛けて目的の村へと辿り着いた
村と言っても20XX年の日本の為、コンビニもあれば、ガソリンスタンドもある
「あっついなー、、、、」
うんざりするような蝉の鳴き声に汗がべっとり服にまとわりついている
「この時期に餅は失敗したなー、、、、 出来れば、かき氷とかなら最高なのに 」
コンビニに入り冷たいお茶を購入した
店員は地元の高校生の女の子か、茶髪のポニーテールがかわいらしい
地元の人に良いお店の事を先ず聞くようにしている
ミロクはかわいらしい店員に声をかけた
「すみません この村で変わったお餅があるとの事で取材に来ているのですが、どこか食べれるお店知っていますか? 」
「お餅、、、、? ああ、青目団子の事かな?? 」
首をかしげながら店員さんは教えてくれた
「青目団子、、、、? 随分、、、、変わった名前ね、、 」
「もともとお祝いの時に振舞うお菓子なんですよ。
成人する時に青空を見る事が出来た事を神様にお礼を言うっていう風習なんです 」
「へーー 素敵な風習ね! 」
そう言うと店員はニコッと微笑んだ
「情報をありがとね 出来ればなんだけど、、 どこかで青目団子を食べる事は出来ないかな? 」
「うーん お祝いの時の食べ物だからな~
お店を出て右に進んでお地蔵さんが見えてくるんですけどその横道を入ると駄菓子屋があるので、
そこの佐藤さんなら作ってくれるかも?? 」
「ありがとう、 行ってみるね! 」
お店を出て情報の駄菓子屋さんに向かって行った
都会では、むき出しの地面には中々出会えないが
この村は、所々土がそのままになっている
道に足跡をつけながら進むと小さなお地蔵さんを見つけた
「お、! お地蔵さんはこれかな? 」
「ーーーーーーー ? 」
「 、、え 」
「何、、、、 やだ 」
「このお地蔵さん、目が ---- 」
お地蔵さん隣の横道は、薄暗く続いている
「ここを、入っていくの、、、、??? 」
外は蒸し暑い筈だが、ミロクの汗の種類は変わっていた
「夏だからって、、 こんな怪談みたいな展開はかんべんして欲しいな、、、、 」
うへーと苦い表情をしてお地蔵さんに手を合わせた
薄暗い細道を進むと 駄菓子屋の佐藤が見えてきた
「すみませーん、、、おうかがいしたいことがあるのですが 」
駄菓子屋には人の気配がしない、、
「留守かな、、、?? 」
「ねえ、、 」
突然背後から声がした。声の方向を見ると背の高い女が立っている
顔を見たいが大きな白い帽子に隠れ、見えない
「お団子さがしているの?? 」
年齢はわからないが声の感じから、10代ぐらいの気がする
先程のコンビニ店員が道に迷わないよう友人に連絡をしてくれたのかもしれない
「え、ええ、そうよ。あなたは? 」
「お団子あげる! 」
女は木箱に入ったお団子を渡してきた
「え、、、!? あ、、、、 ありがとう 」
お団子の箱を受け取ると女はニチャっ と笑う
「お団子あげたよ。 わたしにもちょうだい、、、、 」
「、、っ。 ああ 、、、、 お、お金かな、、、、? いくら必要なのかな?? 」
「私、あなたのお団子ほしいな 明日とりに来るね 」
「ええ??っちょ、、、、っちょっとまって 」
歩き出す女を掴まえ、話を聞こうとした
女の肩をつかみミロクの方へと振り向かせると、、
ミロクは言葉を失った
女の暗い空洞の様な目
ミロクの意識は消えていった
おぼろけながら歌が聴こえてくる
真っ黒な~真っ黒な~ 朝が来ても真っ黒な~
真っ黒な~真っ黒な~ 朝が来ても真っ黒な~
目玉が空洞になっているお地蔵さんが歌っている
まっくらさんに団子を渡せば幸せだ~
真っ黒な世界で幸せだ~
渡さない子は真っ黒だ~
だいじょうぶかぇ
だいじょうぶかぇ
「おじょうちゃん、、!! 」
大きな声で暗闇から戻される
目を覚ますと駄菓子屋の中で横になっていた
のどがカラカラだ
炎天下の中倒れていたのか、?
土で汚れた自分の体をパパッと掃った
「だいじょうぶかぇ 」
老婆が心配そうにのぞいている
「あ、、、、 夢、、、、?」
汗が乾き体が冷え切っていた
老婆が心配そうにミロクを見ている
「すみません、、、、 貧血で倒れてしまったみたいで、、、、 」
「はぁ~~~~ 」
老婆は大きくため息をついた
「そうかい、、、おどろいたよ、、、帰って来たら倒れているもんだから、、、
心臓が止まるかとおもったよ、 ひゃひゃひゃ -----」
老婆の明るい声を聞きホッとする
すっと老婆の笑い声がとまった
老婆はミロクが手に持っている木箱を見てギョっとしている
ミロクの手には背の高い女から渡された木箱が握られていた
「あんた、!! なにがあったんじゃ?! 」
ミロクは老婆に今起きたことを説明すると
老婆の表情はみるみる変わってゆく
「めくらさん、、、、か 」
老婆の額に汗がにじんでいる
「めくらさんってなんですか? 」
ミロクはおそるおそる老婆に確認するが
老婆はミロクの言葉等耳に入らない様でブツブツとつぶやきながら考え事をしている
「こりゃ、わし一人じゃどうしょうも出来ん、、、 払いの出来る山下先生に相談をするぞぇ 」
いきなり、老婆に腕をつかまれた
「っえ??? 」
みろくは何がなんだかわからないまま、老婆に近くの一軒家に連れていかれ
先生と呼ばれた女性を紹介された
先生はこの村の除霊士らしく、この村に伝わる 'めくらさん' の説明をしてくれた。
めくらさんは団子をわたす
受け取らないと刃物で切り刻まれ殺される
受け取ると指定の日までに団子をわたさないといけない
わたさないと‘めくらさん'から目をとられて盲目になる
盲目になってしまった人は何人かいるが、今まで団子を渡せた者は誰一人としていない
バカらしい 内容はただの都市伝説だ
まとめサイト等で見かける話よりチープな内容だ
だが、ミロクは覚えている
背の高い女
10代ぐらいの女の声
あの全てを飲みこみそうな黒い目の空洞を
団子がはいっていると渡された禍々しい箱を
「団子はわしがつくるから大丈夫じゃよ 」
老婆がやさしく話しかけてくれた
「わたしもお払いをさせて頂きますので、 心配しないでくださいね 」
ミロクは2人の好意とは裏腹に不安だった
今まで助かった者がいないのに心配しない?
老婆が言う団子に効果は無いのでは?
ミロクは二人の話をそのまま信じることが出来なかった
このまま為す術が無いまま、二人の好意に甘えるつもりはない
ミロクはこの状況を自分なりに対処する為、携帯電話を取り出した
電話の相手はミロクの父親だ
ミロクは母と二人暮らしをしている
3歳の時に父と母は離婚し、離れて暮らすこととなる
父は、売れない音楽家を続けながら格闘技で身体を鍛え続けたり
海外で放浪の旅をしたりしている自由気ままの変わり者
その為か、不思議な力を持った変わり者の友人が沢山いる
類友というやつだ
老婆と除霊士から隠れて、父に相談をしてみた
「おう、ミロク、どした? 」
父のまぬけな声を聞いて少しホッとした
今日も平常運転だ
1人娘からの連絡は父には嬉しいらしく、声から喜んでウキウキしている父の姿が浮かぶ
年齢はまだ40代後半
鍛え続けた結果、プロレスラーの様な体つきで
アメリカの先住民みたいな三つ網のおさげをしている父は、
見た目だけならキャッチーなマスコット的な存在だ
父に、今起こっている出来事を相談をすると
少しの沈黙の後、娘を心配させないよう 明るい声が返って来た
「そうか、父ちゃん今ツアー中だから、父ちゃんの知り合いの先生に頼んでみるよ! 」
「めくらさん、、だっけ? めくらさんなんて先生に掛かればすぐノックアウトさ! 」
あっけらかんと話す父にイライラする
霊的な存在をノックアウト?? 意味がよく分からない
娘を落ち着かせる為に明るく話をしてくれているのだろうが、
今は些細な事でもイライラしてしまう
それほど、めくらさんという不可解な存在に怯えているのだ
自分を助けると言っている老婆と除霊士が
騙そうとしている可能性だってある
老婆と除霊士も言われたままに信用する事は出来ない
父の友人の除霊士の先生を紹介して貰える事になり
ミロクは少し気持ちを取り戻した
父の友人の事は、老婆達には秘密にすることにした
老婆達の好意を受けているフリをしながら
めくらさん、老婆と除霊士の存在を注意深く観察する事にした
「この部屋に入ってください 」
除霊士に促され中に入ると、4畳ほどの小さな和室の部屋に神棚が祭られている
「明日までは、 何があってもこの部屋から出ないで下さいね 」
除霊士がミロクに伝え部屋から出て行く
暫くすると除霊士の、呪文の様な雄叫びが聞こえてくる
「もー、、 勘弁してよ~-、、 」
何もしていないとお祓いの声で気が滅入る
自分に起こった事を整理する為、これまでの出来事をブログの下書きにメモっておく
今の時代は携帯電話で簡単に作業が出来る、便利な時代だ
???!
ブログのコメントが突然1000件近く書き込まれている事に気づいた
内容は、、、
ー さkfsifすksd ー
ー hadgk団子kjshfgsち ー
ー askffたjflた ー
ー s;f子fsか食fssktbb ー
文字化けしているコメントだらけ
状況が状況だけにゾッとしてしまう
ミロクは携帯をしまい、ただひたすら時間が過ぎるのを待つことにした
「う”」
奇妙な音で目が覚めた
寝てしまっていた様だ
時計を見ると時刻は深夜の3時
流石にお祓いの声も聞こえてこない
父に電話をしてから大体10時間は経ったか、、
父いわく除霊士の先生が向かってくれているとの事で、
6時間ぐらいで到着すると言っていた
バイクで向かってくれているとの事だったが、こちらに来ている気配はない
父から聞いていた除霊士の先生の連絡先はライン
場所の住所を送っているが既読無視
ラインの表示名は 「ランラン」と書かれている
アイコンは子犬だ
本当に大丈夫なのだろうか・・・
「ねえ 」
お祓いの声がしていた場所から10代の女の子の声がする
めくらさんの声だ
「この団子は、ちがうよ 」
「なんでちがう団子をくれるの?」
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「ひっ! 」
ミロクは恐怖から部屋から逃げ出した
そこでミロクはお祓いが何故とまったかを理解してしまった
老婆に紹介された除霊士が倒れている
目は真っ黒な空洞になっていて 目の周りは赤黒く血に染まってる
まっすぐ廊下が続いている
家の外まで走って逃げたい
「ねえ 」
倒れている除霊士のところに突然背の高い女が現れた
ミロクを見つけるとまた、ニチャっと笑う
理不尽だった
ミロクはただ、仕事で団子を食べに来ただけだ
なんの理由もなく命を奪われるなんて納得できない
だが、人生はいつだって理不尽だ
ミロクは恐怖で固まっている脚をなんとか出口に向けて走る
めくらさんはゆらゆら揺れながらミロクの後を追ってくる
「だれか、 」
「だれか、、 」
ミロクは、涙を流しながら神にすがった
だが
最悪は続く
玄関から外に出ると 熊がいる
熊がいる
いや、
良く見ると人だ
男は異様な風貌をしている
「ミロクちゃんだね? 」
男はミロクに語りかけた
「お父さんから連絡をもらって急いで来たよ。怖かったね。 もう、大丈夫だ。 」
ミロクは熊のような男からの力強い言葉に安心するが、 男の手をみてぎょっとする
手にボクシングのグローブを装着している
ミロクはすぐに気がついた
あの
あのクソ親父は
間違って '格闘家' を呼んだのだ
脳ミソまで筋肉のクソ親父を、生きて帰れたら殴ることを決意する
が
現時点でめくらさんから逃げる事が出来るかわからない
「!!」
「早くにげて、、! めくらさんが!! 」
ミロクが泣きながら熊みたいな男に逃げるよう伝えると
男はミロクが逃げてきた玄関をじっと見つめている
「ねえ あなたも邪魔をするの? 」
「その女の子のお団子を欲しいだけなの 」
「なんで、邪魔をするの? 」
玄関からぬっと背の高い女がゆっくりと現れた
この邪悪な何かは邪魔をされ怒っていることが声から感じ取れた
女の手から血のついた4つの団子がどろっと落ちた
「なんで、邪魔をするの? 」
ゆらりとめくらさんが近づいてくる
「、、、ひっ 」
ミロクは恐怖の余り腰を抜かしている
ブワっと後ろから突風が吹き
巨大な何かが通り過ぎた
腰から左肩の骨がリンクし
脚のつま先は相手を見つめ弓矢の様な左の拳がめくらさんの顔面にめりこむ
左の手を戻す動作と再度リンクし腰が回転し右足の踵が相手に向き
右の拳が真っ直ぐめくらさんの顔面にねじれ込んだ
時間にしておよそ 0.02秒
ミロクは一瞬何が起こっているかわからず涙を流しながら
理不尽な都市伝説が、個の暴力によって 一瞬で壊される瞬間を見てしまった
この不思議な出来事が、おかっぱ黒髪グルメヲタ女子、ミロクの日常を
奇妙な物語へ連れて行くはじまりだった
つづく