肆 神代学園の授業
「気を付けー、お願いします。」
委員長の言葉と共に授業が始まる。最初の授業は数学で
私だけが今の時間、先生と同じ役割につく。
神代学園は、最も突出している生徒は授業を受けさせるのではなく
授業を教える立場に置くことを優先している。
まぁ、絶対ってわけではないから断ることもできるんだけど。
「じゃあ、乃蒼さん。右半分をよろしくね。」
「はい。」
でも、私は断らない。断ったところですることがないし
何よりも乃羽に教えられるのが私だけだから。
「乃蒼ー。」
「……乃羽、遊んでないで普通に解いて。出来るでしょ?」
「出来るけどさー…だって、ご褒美ないとヤル気が出なーい。」
そう駄々をこねる片割れに溜め息を吐く。
「分かった。時間が空いたら乃羽の好きなデザートいくらでも作るから。」
「やった。じゃ、頑張る。」
「……ふざけたらその時点でデザート無しだから。」
「…酷い、むぅ…分かったよ。」
私は隙あらばふざけようとする乃羽を少しだけ制して、私は周りの人にも
教えつつ秋月くんの様子を見たりしていた。
* * *
そして1時間目の数学が終わると、2時間目の世界史も終わって
3時間目の古典、4時間目の生物と次々に終わっていき乃羽の得意分野とする
体育の実技の時間がやってきた。
「……っしゃあ! 体育だ!」
「普通の授業も今みたいにヤル気出してくれたらいいのに。」
「それを言うなら、乃蒼だって。
出来るのに、ヤル気を出さないじゃん!」
「私は頭を使ってるから、身体は程々にしたいの。
乃羽は身体はヤル気を出して頭を使うのは程々にしてるでしょ? それと同じ。」
「…それを言われると、何も言えない。」
(言葉で私に勝とうなんて思わない事だよ。乃羽?)
などと、口には出さないけどココロの中で呟いた。
まぁ、体育の授業って言っても中学時代の延長だから、これといって
変わった物もないので割愛にする。