弐 家族
丸窓から聞こえるスズメの鳴き声に目を覚ますと、
時計は5時30分を指していた。
「……時間」
私は、寝ぼけている頭を覚ますために顔を洗いに行く。
そして完全に覚まして、ベッドに向かうと枕の隣に
昨日拾った動物が寝ていた。
「包帯変えないと…」
もう一度、包帯を取り出して新しく変える。
すると、朔は目を覚まして私を見た後「クゥ~ン」と鳴いた。
「…私は夕方まで学校で帰ってこられないから大人しくしててね。」
伝わってるか分からないけれど、私は制服に着替えて
幼い頃、【朔夜】と名乗る男の子から貰ったブレスレットを手首につけて
切るのが面倒くさくなって足首まで伸びてしまった長い髪を、1つに結ぶ。
(まぁ、長い髪も慣れてしまったら普通に結べるんだよね。)
「これで終わり…。」
自分の髪を約2分で結ぶ。
これが、私の特技になってきている。
「じゃあ、行ってくるね。」
朔にそう言葉を伝えて、自分の部屋を出て行って
家族がいる居間に向かうと、双子の姉の乃羽と母がいた。
「おはよう、乃羽。お母さん。」
「おはよ、乃蒼。」
「おはよう、乃蒼。」
二人に挨拶をしてから、あとから起きてきたお父さんにも挨拶をすると
いつもの眩しい笑顔で「おはよう」と言われた。
「そう言えば、乃蒼。今日ってもしかして…」
「日直だけど。」
「マジか…ちょっぱやで着替えてくるから1分待ってて。」
姉の言葉に軽く頷いて、もぐもぐと朝食をゆっくりと食べていると
先に食べ終えた乃羽が本当に急ぎ気味で着替えてきそうな勢いだったので
私も少なからず早めに食べ終えた。
そして、鳥居に寄り掛かりながら乃羽を待っていると
髪が少しぐちゃぐちゃになって制服のリボンもズレている乃羽が来た。
「………学校で直す」
「あ、はい……乃蒼、眼帯しなくていいの?」
「学校に行ってからする。」
「そっか。じゃ、行ってきまーす!」
「行ってきます」
私達は階段を下って自分達が通っている学校に向かった。
学校というよりは…学園かな。