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74 レイドの成果

6/12 誤字訂正しました。


2日間のレイドイベントは私的には大収穫であった。

1日目は初のレイドに参加させてもらえたし、目的の調味料"ダシノモト"も大量入手できた。

しかも、"悪戯シェイカー"や"亜魔糖"他、けっこう今まで見たことのないアイテムが大量入手出来たのだ。これには、ホクホクだ。

あと、アリアドネと神殿で呪いを解いた後、二人とも見たことないスキルが取得可能の欄に出ていて、面白そーとアリアドネが碌に説明文を読まずに取得していた。

SPお大尽め~。

【魔弾の射手】のこともあるので私は取得には慎重です。



で、現在姉と二人、現実でお料理中。お昼ご飯の餃子を包んでいる。

現実でもゲームでもコネコネコネコネ…。夢見そう。

姉が母に、具に納豆を入れていいか聞いている。お前が食べなさいよ、と言われ許可が出た。


「お姉ちゃん、ソレ、区別できる見た目にしてよ」

「わかっているって。おかーさんと美鳥ちゃんは保守派だよね…。チーズも一緒に入れよっと。で? 美鳥ちゃんは順位はどーよ?」

「参加者7,228人中1,546位だったよ。お姉ちゃんは?」

「32位」

「えー、メチャすごくない? 結構ポイント同率の人多い中で32位は快挙じゃん!」


姉が私の素直な賛美に珍しく照れている。


「い~や~、2日間ともボスレイドに参加してたからさ。徘徊レイドもやったしね~。徘徊ではラストアタック取れたからかな? それと、ベータや1陣、2陣の大手クランが2日間の内どちらかにしかボスレイド参加しないっていう密約? みたいなものがあったらしいよ」


姉が今度は肉だねに梅を入れた。これは私も食べるので真似してみる。

母の手作り餃子は生姜がたっぷり入った水餃子だ。


「じゃあ、大手クランの人達はボスレイドは1日しか参加しなかったんだ。大手クランって仲いいの?」


私は黒騎士組を思い出す。

大手と言ってもすごく親しみやすかったな。


「普段はむしろ仲が悪いね。王都に行くとわかる。特に初期勢の人たちが」

「なぜに~」

「プルミエで長く共生していたからかな? 経済では【暁旅団】が仕切っていて、ベータだろうと2陣だろうと【暁旅団】なくして戦利品の流通が出来なかったんだって。まだ奥地の花園も、その向こうの湖畔の村も解放されていなかったから、狩場がファンシーとの街道と、初心者の森ライトとか、少なくて。クラン同士でかち合うことが多かったみたいよ。その上初心者以外は正直なかなかレベルが上がらない場所ばかりだったから、ジョブレベルや力関係がみんな横並びになって。そうしたら、なんとなくまあ、ライバル心が育っちゃって、下克上があったみたいね。

麻耶の所属事務所の先輩が立ち上げたベータ勢だけの【女神の天秤】と2陣が中心の【ケラケラ】でPKで対立したって。まだその頃は決闘(デュアル)システムなかったから、ちょっと遺恨が残っちゃったみたい。その時、【深淵に連なる騎士団】の初代クランリーダーがそれに首つっこんじゃったらしくて引退したらしいよ。そのせいで【深淵に連なる騎士団】はこの2つのクランを嫌っているのよね」

「なんか、泥沼な…」

「実はお姉ちゃんも詳細はマーヤ…、麻耶からも聞いていないの。でもその抗争に嫌気さして麻耶はクランを抜けたのよね。だから、麻耶含めてこの辺りのクランは微妙に仲が悪い」


抗争言い切った。グループが出来た際の人間関係は難しいな。私の苦手分野である。


「じゃあ、今の黒騎士団のクランリーダーは2代目なんだ」


アリアドネを嫌っているんだっけ。


「【深淵に連なる騎士団】よ。まあ、全員黒い騎士姿だからあながち間違いじゃないけどさ。

--そう。引退した初代と、2代目と、今のサブの黒騎士さんと3人で立ち上げたクランだったのね。人数が膨れ上がったのは今のクランリーダーに代わってかららしいけど。麻耶はクランリーダーとはあんまり仲良くないの。付き合いがあるのはサブの黒騎士さん。あと弓士リーダーのアツマルさんね」


アツマルさんはフレンド交換した人だ。

サブの人はプレーヤー名自体 黒騎士と言うのだっけ。

黒騎士組、とまとめて言うと誤解招きそう。


「今回はランキングは10位まで公開だったね。アリアドネ3位だったな~」


1位、2位は全然知らないプレーヤーだった。


「2位は有名な生産職さんだよ。今回、けっこう、生産組のポイント高かったんだね。1位は王都のプレーヤー。この人も2日ともボス参加していたわ。自分で高火力の武器作っているから生産でも頑張ったんじゃないかな~」


そう言って姉は最後の餃子を包み終える。フィニッシュ!


「あと今回のイベントでゲームのPR用のPVトレーラー作るってね」


ああ、と私も頷く。

運営メールは最近はちゃんと確認しているのさー。


「開始前のメールに書いてあったね。でもあれ、顔出しOKの人だけ対象でしょ?」

「顔出しNGのプレーヤーにも使いたいシーンがあったら個別で許可取りのお知らせ来るってさ。多分、麻耶とペケポンとワン君は使用されるんじゃないかな~。もともと素人じゃないし。お姉ちゃんとセシリアは配信で顔出ししているけど一般人だし、どうかな~」


ああ、あの3人はキラキラしているもんね!

自分には関係ない。


--そう、私、美鳥はこの時は本気でそう思っていた。





****





餃子食べすぎちゃった。お腹パンパン。

さて、ログイン。


ログイン場所はいつもの武器屋さん。

さて、自室でイベント報酬の確認と行きますか!

イベント終了の夕べの深夜0時すぎに運営メールが着ていて、それにイベント参加報酬が一緒に届いたのだ。


(ちゃんと確認しておかなくちゃね~)




=======================


【1日目】

戦闘レイド参加報酬SP:3P


  ・徘徊レイド報酬金:100,000ゼニー

  ・徘徊レイド報酬アイテム:ダイタロスの鋸(攻撃力14/耐久度50)

  ・徘徊レイド報酬SP:7P



【2日目】

生産レイド参加報酬SP:4P


  ・プルミエの町への貢献報酬金:50,000ゼニー

  ・報酬アイテム:旅行用携帯キッチンルーム


【2日間の順位】

参加者7,228人中1,546位

報奨金:50,000ゼニー

報酬SP:3P

報酬ギフトブック(銀)


~報酬ギフトブック(銀)から1つ、お好きな報酬をお選びください~



=======================




(SPがこんなに…!! 参加してよかったー!!)


私はぐっとガッツポーズだ。

このポイントをステータスに振るか、スキル取得に使うかで個人差が出てくるわけだよね。

ジョブレベルも2つも上がったおかげで4Pあるし、今の私はSPが合計で15ポイントもあるのだ。ふっふっふ~っ。

しかも生産報酬アイテムの"旅行用携帯キッチンルーム"がすごい優れものなのだ。これを広げると6畳くらいの大きさのコンテナで、中にキッチンがある1Kだった。簡易キットがあれば【調薬】も、【錬金】も、【裁縫】も出来る…! つまり携帯できる生産作業場なワケだが、セーフティーゾーンで使えば、ここでログアウトも出来るのだ~。

わ~い。私の城じゃん? 6畳一間、1Kだけど。

未開の土地エデンでどこでログアウトかなぁと不安だったので嬉し!

噴水があるかもしれないけれど、武器屋さんで寝泊まりに慣れちゃったから、ねぇ?


(それとギフトブック(銀)は気になるな…。どれどれ?)


ドキドキしながらインベントリから出すと すごく見覚えある冊子です…。


(結婚式のギフトカタログか…?)


パラリとめくると、まんま写真付きで様々なアイテムが紹介されていた。ちゃんと説明文も煽り文句になっている…。


(あ、取得出来ないものがグレーアウトになっているんだ。むむ、まあこういうアイテムがあると知るだけでも楽しいか)


ベッドに腰かけページをめくっていると、獲得できるものにスキルを発見した。


「あ、…【彫金】、【鍛冶】がある。上級魔法もだ…!」


【彫金】は赤毛ちゃん改め、我が家の第2ドール、フランソワ君の奪われたスキルだ。

現在、彼には【調薬 Lv6】【剣術 Lv3】【造成 Lv1】【変化】を付けている。


(もう1つスキル付けられるのだけど、彼は魔力が少ないもんね…。それと体力と力が強くて…。ドールやペットのステ見られないけど…。よくあるドワーフ系のステータスなんじゃないのかな~?)


今後、武器自作に舵を切るのなら、アクセサリ作成出来る【彫金】は欲しい。何よりもともと持っていたスキルは相性がいいんじゃないかと思うんだよね。


(SP消費せず入手出来るなら…)


「マスター」


じっくり考えていると、背後から声がかかった。

どっきりこ。

背後を見るとベッド脇のデスクに1/12のフランソワ君がこちらをおずおずと見上げている。

いかん、いかん。集中しすぎてこの子たちのこと忘れていたわ。


「あ、ごめんね、お腹すいた?」


メリッサちゃんとミミッキー、ステルスアルマジロのジローはこちらには興味ないようで、3人で「人工衛星」をやって遊んでいる。

教えるとすぐ覚えるのだ、賢いわ~。

視線を戻してフランソワ君を見ると、彼はやや戸惑いつつ口を開く。


「いえ、お腹は十分…! あの、今マスターが見ていた本をボクも…、見ていいですか?」

「勿論だよ~」


私は彼をそっと手に乗せ、ギフトカタログの上に運んだ。

まだメリッサちゃんほど彼とは距離を詰めることは出来ていない。

メリッサちゃんが人見知りしない子だからか最初から私に対する信頼度が高かった。比べてフランソワ君は大人しい子の上、正規ルートで入手じゃないので まだ私に対する信頼度は低いのだろう。


「この人数なら花いちもんめが出来ます、おねーさまっ!」


と喜んでいたメリッサちゃんのためにも、彼の心をぐっと掴んで私の虜にしなくては。


「あの…、ボク、これ…、やってみたい…デス」


そんなことを考えている私に、彼は語尾を小さく呟いて言った。

なになに? やりたいことなら、ぜひぜひ。


そう思って彼の小さな指先が差し示した先を見ると。


そこには【冶金(やきん)】--という文字が書かれていた。




……【冶金(やきん)】……って……ナニ?



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