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48 S級冒険者と再会

ご無沙汰してます。今更ですが、あけおめでございます。


ペケポンさんはお姉ちゃんのダメンズ情報の詳細を聞きたそうだったが、クロの強制終了によりその話題は終わった。

そしてゲーム内での職業の再確認のために やっぱりちゃんとした自己紹介も行った。

ペケポンさんは狼人の剣士でジョブLvは15と思った以上に高く、同じ頃に始めた身として軽く嫉妬を覚えた。いいな~。

猫人の魔法使いクロはLv10、羊人のサーシャはやはり魔法使いでLv12、そして私は兎人の狩人でLv12だ。

そのままパーティーを組んで、この4人でプルミエの冒険者ギルド長に会いに行くことになった。


「なんでベータでLv20以上の人も上級職に転職しないんでしょうね?」


サーシャがペケポンさんに尋ねる。

そう、公式メールで職業率が公開されているが、存外上級職に転職している人が少ないのだ。たいていのジョブは基本職がLv20過ぎると現れるのに。ベータ版から始めている人はそのままのレベルが引き継がれているので、すでに20は越えているはず。以前見た狩人掲示板でも他職で出現している上級職の話題が出ていたはず。


「メイン武器の初級アーツを全部覚えてから転職するんじゃないかな。中級や上級のスキルより使い勝手がいいのがあるらしいんだ。こういう情報が入るから、マーヤみたいに情報通がパーティーにいてくれると、やっぱりありがたいね」


ううむ、なるほど。サーシャを見習って私ももう少し事前情報を調べるべきかな。

二人の会話を耳にしながら考える。

それから、サーシャは私たちの方にも向き直って言う。


「えーと、実は今回の依頼、私としては失敗せずに初見突破したいと思っています」


彼女は右手の人差し指を眼前に掲げる。


「私の調べたところ、このイベント、なんとハウジングイベントなんですよ!」

「な、な、なんだってーーーーーー!」

「フェザントさん、今の反応微妙」


こりゃまた失礼を。


――と、私のわざとらしいリアクションにサーシャがコロコロ笑って、続きを話し出した。


「今回のこの依頼はS級冒険者と協力しての護衛依頼です。護衛対象の状況で失敗判定になります。初挑戦で100%の成功判定だと、無料でハウジングの土地がもらえるそうですよ!」

「無料!」


食いつくぜ! だって、私、貧乏だもの!


「…私、100%の力出すね。ペットも参加していい?」

「もちろんですよ! アルマジロちゃんとドールさんですよね。ドールさん見るの初めてなんで楽しみです」


パーティー上限は6名なので、人数的には大丈夫。

クロとペケポンさんもやる気になっている。

そして今回はネタバレ解禁でサーシャと情報共有する。それから私たちはプルミエ冒険者ギルド長室に向かい、その扉を開けた。


『ハウジングイベントが発生しています。個人及びパーティーでの挑戦が可能です。ハウジング取得権は個人に付与されます。現在のパーティーで挑みますか?』


イベントアナウンスが入り、サーシャやクロたちと顔を見合わせ「はい」と答える。

――イベントモードに入った。





室内は黄昏時。ギルド長は以前と変わらず哀愁を帯びていた。


(かっこいい)


プルミエギルド長の眉間の皺がこちらを向くと柔らかく緩むのがたまらない。私、ババ専のビリーおじさん笑えないわ。むしろ、同じ穴のムジナであった。今度年上の魅力について語り合ってみよう。

グッと来るのを抑えてギルド長に話しかける。この場合、パーティーリーダーのサーシャが。


「ギルド長、私たち あなたの話を伺いたいのです。その力はあると思います」


ギルド長は しばし私たちを順に見つめ、椅子を勧めた。

それから、声を潜めて言った。


「そうじゃな。君たちの力なら彼らの命を預けられるだろう…。君たちは、"星読み"というのを知っているか?」


サーシャが答える。


「シリーアウス王国の王家に仕える占星術師の一族ですね」


サーシャの答えにギルド長が満足気に頷く。よしよし事前情報通りだ。すごい、サーシャ!


「今、プルミエの湖畔の村に、その一族の子供が預けられておる。彼はその星読みの一族でも後継者候補じゃった。…が、とある事情で後継者レースから降りたのじゃ。その子供をファンシーの神殿まで送り届けてほしい。もちろん、君たちだけでなく、王都から来ているS級冒険者も一緒じゃ。君たちにはいい経験にもなるじゃろう。だが勿論この事は他言無用。それと共に、もうひと家族、神殿に送り届けてほしい。割符は持っておるな?」


私たちは頷く。


「では深夜その家族とプルミエの門の外で落ち合って欲しい。馬車も用意する。割符はその時必ず相手に見せること。S級冒険者の二人には事前に打ち合わせがあると伝えておる。隣室にいるので呼びましょうぞ」


言うとギルド長が手元のベルをチリンと鳴らす。すると二人の人物が扉から現れた。

予想を覆すことなく、あの時、冥界門で助けてくれた、大剣の使い手クラウスと全身甲冑に身を包んだヘレンだった。



S級冒険者、クラウスとヘレン。


彼ら、いやクラウスは開口一番こう言った。


「正直、俺はあんたたちを信用していない――いや、旅人(フォリナー)をだな」


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