34 ウハウハ幼女と再会
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「ただいまぁ」
カラカランと来客を告げる音立てて武器屋さんの扉が開いた。リオンちゃんの帰宅を告げる声が聞こえる。
その声におじさんも私も、魔女の記事からリオンちゃんに目を向けた。武器屋のおじさんは新聞を仕舞い、愛娘におかえりと声をかける。しょせん、世間話だ。魔女の脱獄ニュースはそこで私とおじさんの興味を失った。
私も、待ち人に目を向ける。
正直、私自身はそこまで魔女の脱獄には惹かれなかったのだが、メリッサちゃんは違うようだ。おじさんがたたむ新聞を目で追っていた。
(秘匿ジョブクエ関連かな?)
もしも、魔女との戦闘がジョブ獲得条件なら、おそらくメリッサちゃんも戦闘参加必須だろう。なんせ、武具だし。ここは、じっくりと彼女を育てねばと思う。防御力上昇は重要項目だなー。
「おねえちゃん! 来ていたの? 今日はどうしたの?」
リオンちゃんが嬉しそうに駆け寄ってきた。かわゆいな!
「あのね、実はおねえちゃん、この子のお母さんになったの」
再度手乗りドール、メリッサちゃん公開。
「すごーい! いつ産んだの!?」
え、6歳児からそういう突っ込み来ると思わなかった…、あわわ。
「ごめんなさい嘘つきました、産んでません。メリッサちゃんと仲間になったの…。この子の防具を作りたいんだけど、防御力3を越える服ってどうやって作ったらいいのか聞いていいかな?」
そっかぁ、とやや残念そうにいうリオンちゃん。いや、出産はまだおねえちゃんには早い、早すぎる。
「んーと、リオンもまだ修行中なの。でも防具は【裁縫】スキルは勿論だけど、【サイズ調整】と【付与】がないと作れないの。おねえちゃん、持っている?」
(う、生えているかな、【付与】。以前ハニーさんに言われて、出来るだけ風魔法を弓を引くとき矢に向かって使っていたけど--)
慌てて確認したが、【付与】は取得可能スキルに発生ならず。くう。
私のションボリ具合を見かねたのか、おじさんが言った。
「なあ、リオン。ビリーのヤツ人手が欲しいとか言っていなかったか?」
「うん、お父さん。ツノネズミの皮をなめしたのが職人さんから戻ったから、靴の注文が大量に入ったんだぁ」
そこでおじさんがリオンちゃんにウインク。…武器屋のおじさんはちょくちょく可愛い系の仕草するな。
「…そっか! ねえ、おねえちゃん。ビリーおじさんの防具屋さんでお手伝いしない? リオンが口利いてあげる! うまくすれば【裁縫】スキルと【サイズ調整】と【付与】、ぜーんぶ生えてくるよ!」
それに、とリオンちゃんがニヤリと笑う。
「靴は防御力がもともと高いの。素材が違うから。この作り方を取得できちゃうよ」
リオンちゃんの隠されたウハウハ幼女の一面を垣間見た。あ、いや、もともと隠していないか。
「…うん、ありがとう! お願いします!」
私は二人に深々と頭を下げた。武器屋の皆さんにはお世話になりっぱなしだ。本当に感謝してもしたりない。
「バイト代の交渉はリオンに任せて!」
リオンちゃんがいい笑顔で言い切る。
あわわわ、それは、それは私はお願い出来る立場ではなく…! お、お手柔らかに~!!
****
その日はもう夕方というので私はまた武器屋さんにお泊り。
3度目の手乗りドールで武器屋のおばさんにご挨拶すると、おばさん、大歓喜。そして、彼女はメリッサちゃんをじっと見る。
それから、ちょっと待っててねと2階に駆け上がり、戻ってきたところ手には子供用のチェックのシンプルなワンピース。
「リオンのお下がりなんだけど…! ね、リオン、【サイズ調整】してくれない?」
うん! と大きな声で返事して、リオンちゃんがそのワンピースを手にするとアラアラ不思議。見る見る内にワンピースが1/12サイズになってしまった。
これがスキル【サイズ調整】の力か!
「リオンありがとうね。フェザントちゃん、良かったらこれこの子に着せてあげて。今の格好じゃさすがに可哀相だから。普通の服だから、防御力は2で変わらないんだけど」
おばさんは少し眉を下げて私にそっと1/12サイズになったワンピースを渡す。
(おおお、こういう手法も…!)
私はいささか小賢しい手を考え付く。
最初から作らずに、購入したものをチョチョっと針入れて、【サイズ調整】すれば簡単に防御力3以上の着衣がいけるのではと。
(ぶきっちょな私の手作りより、絶対メリッサちゃんも喜ぶわよね…)
チラとメリッサちゃんを見ると生成りの薄汚れたワンピースに木靴。初期装備とわかっていても痛々しい。
彼女らペットはインベントリが棲家なので普通は汚れもインベントリから出し入れすると消えるけど、この初期装備の哀れさはデフォなのだ、デフォ。
だからこそ、彼女の装備を改めたいのだ。
「…おねーさま。わたくし、おねーさまが縫う服が着たいですわ。なので、今は…」
言いづらそうに呟くメリッサちゃん。
思わずハッとした。
(私ったら 気、気を遣わせている! …そうだ、私ったら何考えてんの。逃げの選択ばかり考えて…! おそらくはこれらのクエの意味はドール種との信頼構築。それに、今の一言はメリッサちゃんの本音だよ)
「ううん、まずは着替えて? 私、このチェックのワンピース着たメリッサちゃん見たいな~。それに、安心して。あとから必ず私の手作り服を着てもらうからね」
「おねーさまがそう仰るなら」
少し安心したように頷くメリッサちゃん。装備変更は一瞬だ。
金髪縦ロールのメリッサちゃんに、藍色のコットン生地に白いチェックのワンピースはさりげなく似合っていた。
なんのかんのと彼女も嬉しいのか、おばさんにニコニコ笑顔を向けてお礼を言っていた。
(うーん、可愛い! リボンとかも欲しいな。それと靴を作って、それから…やっぱ、苦手でも彼女に似合う服、私が縫って贈りたい!)
私は決意を新たに、メリッサちゃんをスクショした。パチリ。




