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29 情報交換とリアル事情

初めて感想頂きました。う、嬉しい!

ブックマーク登録、評価もありがとうございます(^^)

マイペースですけど更新、頑張りますね~。


さて、あの後すぐに落ちようかとも思ったが、私は好奇心に負けてクラウスさんの言う"冥界門"に触れてみた。


すると、ギギギと重い音立てて、その門は開く。

カランカランと再びのシステム音が響いた。


《--プルミエ花園奥地にダンジョン:プルミエ冥界門が出現しました。解放プレーヤーに特典が与えられます》


(わわ! またワールドアナウンスだ! てか、冥界門ってダンジョンなんだ)


『プルミエ冥界門の初開門特典:1万ゼニー。"破魔の装備"を得られました。"冥界へのしおり"を得られました』

『称号:"冥界を開きし者"を取得しました』


(キャッフー、お金! あって悪いもんじゃない。やたー!)


テンションあげあげの状態だったが、さすがに脳の疲労がピークで、称号やアイテムの確認もせず、私はそのままプルミエに戻り、ギルドにお肉を卸すと早々に宿でログアウトした。






****





「おねーちゃーん」

「なんだね」


姉の部屋の扉をノックのあと開けたら、怪人ヒンズースクワットがいた。

いけない、いけない。これに変身中の姉は暗記に集中している時だ。変な声かけすると、藪から蛇が出ちゃう。

そう思って、ソロソロと私は扉を閉めようとしたが、姉はそれを許さない。


「美鳥、あんたテスト勉強してんの? 期末明日からでしょ」


…していない。

だが、この厳しい口調の姉に正直にそんなことを話すのは怖すぎる。

姉、美空のふざけたのんびりした仮面を剥ぐとこの顔が出てくる。そういう一面がなければ、中高で常に学年首位キープしつつ、武道教室で県代表で大会には出られない。


「ま…、まんずまんず…」

「いつの言葉だ。ゲームに時間かけて勉強おろそかにするのは姉、許さんよ。学生の本分は?」

「べ、勉学でございまぁす」

「サ●エさん口調で言うな。しかも裏声か。緊張感緩むでしょ!」


(よ、よし、姉の氷のガードが緩んだわ。さすが、長谷川先生!)


"山鯨"戦レベルの緊迫感で実の姉と対峙する私。

おかしい。私、マーヤさんの動画の話しに来ただけなのに。


「も~、…まあいいや。そこに参考書あるよ。お姉ちゃんが去年使ったヤツ。テストに出そうな大事なところに印入っているから持っていきなよ」


(やった! 勝った!)


「おねーちゃん、ありがとう! 美鳥は貴方のいつでも忠実な妹だよ!」

「調子いいんだから~。首ブリッジキモイ言う口で言うな、こら。ヘラヘラ笑えばお姉ちゃんが許すと思って~。もう~」


プリプリした振りしながら、口調が緩んだ姉に私は安心する。

いや、勉強するよ。ここでちゃんとやらんと、姉の本気の怒りに火が点くからね。


「そんで他にも用があるんでしょ。なによ?」


ヒンズースクワットを止め、姉が椅子に腰掛けた。

私も姉のベッドにポスンと座った。


「あのさ、マーヤさんのアップした動画見たよ。お姉ちゃんすごい活躍していたね」

「お? そう? ぶりっこ擬態ヤメとけって言われるかと思った!」

「あ、それは思った。ほどほどにした方がいいと思う。--と、それはどうでもいいんだ」


どうでもいいのか、こらとまた姉が突っ込む。

私は見た最新のマーヤさんの動画は姉が言っていた捕り物の動画で、ドゥジエムで発生するまったく知らないイベントだった。


「お姉ちゃんってレベルいくつ? あの武器…、モーニングスター…? だよね。ほぼ一撃って凄くない? このゲームって攻撃力は武器依存なんでしょ?」

「レベルは13だよ。あれは称号とスキル効果」

「え~、ほとんど同時に始めたのに、ジョブLv13! 私なんてまだ11なのに」

「美鳥ちゃん、ほぼソロでしょ? 充分それ すごいんだけど。私、マーヤに効率いいレベルあげ伝授されて戦闘しかしていなくてコレなのよ」


そおかなあ、と私は姉に羨望の目を向ける。

姉はそれに気を良くしたのか、いやあ、とあごに手をやり ご機嫌だ。お口も軽やかになり、色々教えてくれた。


「僧兵はスキルに【弁慶の憑依】ってSP8で取れるのがあるの。出現率も低いし、取得ポイント数も高いんだけど、時間制限ありで、攻撃力が2.5倍になるんだよ。あと、クリティカル連続出して取得した"一撃の覇者"って称号のおかげ。モーニングスターもスキルスロットあるもの使っているから、ちょっと特殊だけどね」


「スキルスロット?」


初めて聞く言葉だ。


「そう、このゲーム、スキルのセットできる数が少ないでしょ? 武器やアクセにこのスロットのあるもの使えばそこにスキルをセットしておけるの。例えば【攻撃力20%アップ】をつけておくと武器の威力の底上げできるわけ。--このスロットのある武器は生産プレーヤーから買えるし、自分でも作れるよ。生産のレベル上げ必要だけど」

「え、お姉ちゃん、生産やっているの?」

「まさか! マーヤのベータ時代の知り合いさん。おっと、その人の事はこれ以上は美鳥ちゃんでもお話できないワ」

「いい、いい、それは。マナーだもんね。でも、生産かあ…」


また、チラと庭付き一戸建てが頭を掠める。


「ハウジングって、どうやったら手に入るんだろ?」

「うーん、姉たちもまだハウジングイベントは関わっていない…と思う。ドール種の人身売買組織を壊滅させたイベントがチェーンっぽいからそっちから派生するかもだけど」

「おうち、欲しいなあ。また、食い扶持増えたし、落ち着けるところ欲しいんだよねー」


私がため息まじりで言うと姉がハテと首を傾げる。


「なに? またペット増えたの?」


姉の疑問に答える。


「そう。1/12サイズの、ドール種さん」

「……え?」

「秘匿ジョブクエスト発生したらしんだよね」

「えええええーー!」


答えた瞬間、姉がいきなり大声あげた。なんだ、いったい?


「ドール種の獲得方法まだ見つかっていないんだよー! 美鳥ちゃん、どういう経緯か聞きたい!」


姉の食いつきが怖かったのでとりあえず話す。

お姉ちゃんから情報もらってばかりは悪いしね。ひととおり話したら、姉はこれをマーヤさんたちと情報共有していいかと聞いてきた。

掲示板にも姉たちが情報あげてもいいかと。

どうぞ、どうぞ。


「でも、今ひとつ 私も条件わかっていないんだけども」

「いいよ、そこは条件確定じゃない事も書き込むから。--あ、そうだ。美鳥ちゃん、マーヤ…麻耶の弟のクロ君と仲良かったよね」


(クロ? そう言えば、ログインしていなかったな)


「仲いいっていうか、えーと…」


なんだ、姉の言い方は別に意識するようなモンじゃないのに私はなんだか返事に困る。なんだ、なんだ。

そんな私には気にせず姉は続ける。


「クロ君とこの学校もテスト期間なんだって。進学校だからテスト終わるまでログインできないって」


(フーン…。クロの学校、うちじゃないんだ)


「学校…、どこ?」

「海星男子だよ」


(そっか。偏差値的には、お姉ちゃんや麻耶さんのいる うちの進学クラスと同じくらいかな。私は一般クラスだからもっと偏差値下だけど。クロ頭いいんだあ。お姉ちゃんは徒歩圏だからってうちの学校だけど、麻耶さんと別の海星男子に進学した理由でもあるのかな?)


「なんか、フェザントちゃんたちに悪いって気にしていたみたいだからって」

「フーン…。そ」

「そっけなーい」


素ですよ。


姉は伝えることは伝えたとばかりに、この話題は触れずにテストと、夏休みのゲームの予定を話し始めた。


私はなんとなく、クロのリアルの片鱗を知って、一緒にドゥジエム観光したクロが、ゲームの中だけの人じゃないんだと当たり前のことを今更 考えていた。



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