17 始まりの町ファンシーふたたび
さて、ファンシーの町へ出戻りまして、これからプルミエへ出発だ。
サーシャやクロはログインしていない。
ソロでも大丈夫かな。
一応、ドゥジエムで防具は新しくしたんだけど。
「あ、弓矢、追加で購入しておこ」
お世話になった武器屋さんへ赴くと、武器屋のおじさんが おお、と笑顔で迎えてくれた。そこには、娘さんのリオンちゃんもいた。
「おねえちゃん、いらっしゃい。今日はどうしたの?」
小さい体をぴょんと跳ねさせてお店のカウンターから出てきた。
幾人かプレーヤーがいて、あの子、お客と喋るんだと驚いている。
「弓矢を買いにきたの。プルミエに行くんだよ」
「ふーん。じゃあ、最低でも鉄の鏃のを用意した方がいいよ。オーガや、オークが出るから」
おお。アドバイス助かる。昨日購入したのは石鏃の矢だった。
「あと、グローブか篭手も用意した方がいいよ」
「なんで?」
「弓の威力上がるし、お姉ちゃん、格闘術も使うでしょ? 表面の皮が硬い敵でも対応出来るよ」
へー、と感心。
「うちのリオンが作った篭手がある。良かったら見てみるか?」
ご主人が話しに入ってきた。カウンターの上に艶のある皮の篭手を置いた。指先までカバーされていて、どちらかと言えばグローブかな?
「リオンちゃん、防具作りなんてするんだ」
「うん」
えへへと恥ずかしそうに照れ笑いする。
「防具屋はオレの弟の店なんだよ。そこの職人に教わっている。リオンは筋がいいそうだ。これも防具屋にちゃんと商品として卸しているものだ。うちは弓を扱っているからな。だからうちでも購入出来るように置いている」
言われて手にとって縫い目を凝視。甘いところはなさそう。
「付けてみていい?」
「うん!」
グローブは肘までの長さで、手の甲側は硬い材質の違う皮が使われている。指を何度か握りこむが違和感はない。これは使いやすそう。
「これ、おいくらですか?」
「800、と言いたいが600ゼニーでどうだ?」
「お安くないですか?」
「お嬢ちゃんには世話になったからなあ」
(称号:"ファンシーの町の友人"が仕事したのかな?)
それと鉄鏃の矢を2セット購入。
「矢は自分で作れるようになったらラクになるよ。消耗品だから」
リオンちゃんの助言に へー、と感心。でもまっすぐ飛ぶ矢を作れる気がしない。
「スキル取ればいいよ。【工作】があればLv上げで出来るから。鏃作りは【鍛冶】が必要だよ」
「うう、【鍛冶】か」
「頑張って鏃回収するなら話は別だけどな」
ハハハ、と武器屋の主人は笑うが おじさんのメシの種がなくなってしまうのでは。
「そうだ、嬢ちゃん。別の町に行くなら、その前に冒険者ギルドに寄って、配達クエスト受注するといいぜ。ついでの小遣い稼ぎになる」
「うん、ありがとう。また寄らせてもらうね」
篭手を安くしてもらって、懐も温かいのでつい気を良くして 接近戦用のナイフも購入。武器屋のおじさんは商売上手だな。
カランと武器屋のドアを開いたところでリオンちゃんから もう一声あった。
「いざとなったら"かけ声"忘れないでねー」
(お、おーえす…)
リオンちゃんに手を振り返して、武器屋さんを後にした。
すると、メールの着信を報せるピコンと高い音がした。
夕べ運営に質問していた、ペットに関する返信だった。
メールの確認と、昨日までに手に入れたSPポイントをステにも振っていないことに気がついて、どこかに腰を落ち着けたいと私は周囲を見渡す。
(あ、冒険者ギルド)
武器屋のおじさんの言葉を思い出し、私はやや緊張の面持ちで、ファンシーの町の冒険者ギルドの扉を開いた。
ギルドの中は そこそこ賑わっていた。
扉の向こうは対面式のカウンターになっており、左側の奥に掲示板があって、依頼票が貼られている。数人の冒険者がそこをじっくり見ている。右手はカフェのような造りで、それこそゲームによくある"酒場"ではないだろうか。酒場側の壁にはメニューが張り出され、その中には見た感じ、酒類はないように見える。
私は空いている丸いテーブルのひとつに座った。
すると、冒険者と談笑していたエプロンをつけた娘さんが来て、「ご注文は?」と愛想よく聞く。
「えー…と、カフェオレお願いします」
「前払いですよ。20ゼニーです」
「は、はい」
武器屋での購入と同じく自動トレードだ。
娘さんがカウンターに消え、またすぐ戻ってきた。手には木製のカップと皿に乗った小さいクッキー。
「クッキーはサービスです。味のアンケート受付中ですよ」
「ありがとうございます…」
クッキーを口にすると、口の中でほろほろと崩れる。
ピコンとシルテム音がして、某お菓子会社のアンケート画面が出る。
このゲームの食べ物では割とよくあるアンケートだ。
大抵、美味しいかどうか、また発売したら購入したいかどうかの簡単なアンケートが多い。オフ機能もあるけど私はオンにしている。オフにすると、こういうお店でのサービスもなくなるから。
(食い意地に勝てない。美味しい)
熱いカフェオレを口にして 人心地。
ようやく私はあらためて自分のステータスを見返した。
ちなみにアルマジロにはジローと名付けた。私のネーミングセンスにご意見無用だ。…自分が一番良くわかっているので。
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名前:フェザント/兎人
ジョブ:狩人 Lv5
HP:130/MP:45
・体力:12
・魔力:14
・知性:17
・すばやさ:16
・器用さ:20
・精神:24(+3)
・満腹度:100
・SP:6P
装備:フレンドゴーストの弓(攻撃力13/耐久度30)
石鏃の弓矢(攻撃力3×27本)
革の鎧(防御力:7)
革の篭手(防御力:5)
革のブーツ(防御力:5)
アクセサリー :防御のお守り(防御力+3)
アクセサリー2:集中力のお守り(精神+3)
有効スキル:【弓 Lv3】【採集 Lv2】【風魔法 Lv2】【リオンちゃん体術 Lv4】【鵜の目鷹の目 Lv1】
追加スキル:【罠 Lv3】【調教 Lv2】
取得可能スキル:
【ムエタイ】【柔道】【投擲】
ペット:ステルスアルマジロ:ジロー Lv23 【アイギスの盾 Lv20】
称号:"教官のお墨付き"/"天才リオンのお墨付き"/"ジャイアントキリング"/"ファンシーの町の友人"
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(う~ん、勿体無いから鉄鏃の弓矢はインベントリに仕舞って、敵の強さで付け替えよ。篭手とブーツは説明文に"体術使用の場合、攻撃力に同じ数値の相乗効果あり"と出ているな。堅さって感じかな? 体術は正直ステでは強さがわかりにくいんだけど…。体力が関係しているのかな~。でもリオンちゃんは器用値と経験も重要と言っていたから、どんどん使った方がいいんだろうね。とりあえず、SPは少し残して、魔力と知性上げておこう。あと、スキルは有効スキルが5つまでだから付け替えて。ペットのジローのLvが高いんだけど。これは、ベータ勢のPKも叩けたはずだわ…)
けれど運営からのメールの返信には、ペットは死なずとも戦闘不能になることと、戦闘不能が続くような場合やはり好感度が下がり逃げてしまうことが書いてあった。
(ジローのスキル、【アイギスの盾 Lv20】:見えない盾を張れる。またその盾は攻撃を反射することがある、か。どっちかって言うと盾職みたいだし、ジローで殴るのは今後は避けた方がいいのかも)
逃げられたら悲しくなっちゃう。
(よし、準備OK。あ、あとは)
武器屋のおじさんに言われたお届けクエストを受注しよう。
そう思って私が立ち上がり掲示板へ近づくと、ギルドのカウンターから声をかけられた。
毎日更新はここまで。またまったりに戻ります。




