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世界で男が僕一人になった日

作者: 頭山怛朗

ヤフー・ブログに投稿予定です。

「冗談じゃないわ!! 例え世界で男があんた一人になっても、あんたと結婚するなんてありえないわ!! 」と、女が言った。

 もう一度、女が言った。「冗談じゃない!! 」

 その日の夜、僕は死ぬほど酒を食らって眠った。


 次の日の朝遅く、目覚めると世界では奇妙なことが起こっていた。

 テレビが一局しか映らなくなっていた。それも画面には女しかいなかった。

 その女が言った。「世界から男性が全員消えました。幼いこどもから老人まで、男という男が全員、突然、消えたしまったのです。妊娠中の女性のお腹のこどもも男の子は消え、女の子だけになりました。そのため、各テレビ局も単独では放送できなくなりました。非常措置として全ての放送局から女性スタッフがこのチャンネルに集合して放送をお送りしています。放送だけではありません。交通機関などのインフラ施設も女性だけで維持していかなければならなくなりました……。第一、女性だけでは子孫を残すことは不可能です。これでは数十年後には人類滅亡です」

 僕は夢だと思った。昨日夜、普段は飲まない酒を飲みすぎた(テーブルの上にはビール瓶が一本載っていた。それも完全に“空”だ! )ので、悪い夢を見ているのだと思った。僕は自分のほっぺたをつねってみた。痛い! でも、錯覚だと思った。で、今度は爪楊枝で自分の左手を刺してみた。「痛っつ! 」僕は思わず悲鳴を上げた。ひどい痛み(みんなに忠告する。爪楊枝は使いようによっては凶器になりうる。取り扱い注意だ! )と血が出たけれど、やはり夢から醒めなかった。

 これが現実なのだ!

 痛みが和らぐとお腹が減っていることに気づいた。時計は十一時になっていたので当然だ。

 僕が面に出ると悲鳴が起こった。「男よ! 男!! 」


 僕はコンビニの前で女警察官に逮捕された。

 女警察官が言った。「あなたを逮捕します。あなたには黙秘権がありません。弁護士を雇う権利は当然ありません。あなたには全ての人権はありません」

「不細工ね! 」という声が群集から聞こえた。

「この際、贅沢は言えないわ。人類に残されたった一人の男よ」と誰かが答えた。

 僕は手錠をされ拘束された。

 僕は言った。「僕が何をした。不当逮捕だ! 」

「五月蝿い! 」と、女警察官が言った。「超法規的措置よ! 」

 警察署の前は大変な人だかりだった。大勢のマスコミがいた。外国のマスコミも来ていた。

 取調べが行われた。

「こんな状態になったこと、何か思い当たることは無い? 」と、女警察官が言った。

 それで僕は昨日の夜のことを話した。プロポーズしたこと、酷いことを言われて断られたこと……。

「当然ね! 」女警察官は僕の顔を一瞥してそう言った。


 僕は前にパトカー二台、後ろにも二台で護られた「8ナンバー」のレクサスの乗せられ何処かの施設に移送された。その建物は何十人もの女制服警官に護られていた。

 僕はパンツまで脱ぐように強制され、健康診断・知能テストを受けさせられた。レントゲン技師(当然、女。なかなかいい女だった。)が色っぽい目で僕を見つめた。下半身をじっと見つめられ思わず勃起した……。レントゲン技師が「きゃっ! 」と叫んだ。

 で、思った。これからは“好きな女とやりたい放題だ。AVの世界を実体験できる!! ”

 僕は不細工だけれど、あっちの方には自信があった。但し、実体験は無かった。

 でも、現実は少し違った。僕は個室に入れられ常に健康状態を監視され、ペニスに筒が被せられ時々それが勝手に動き出し射精を強要された。「“人類存続”のためだ」と白衣の女が言った。

「DNAの一部を変えて、使い物になるようするから安心しなさい」と白衣の女が続けて言った。

“人類に残ったたった一人の、但し、そのままでは使い物にはならない精子製造マシーン”として、何処、謎の施設に隔離されたまま一生を終えるのだと、不細工で頭の悪い僕でも理解できた。


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