脱出への道
リオは剣を腰に佩く。
「お前、その剣。」
「万が一の時に備えて二本持っているの、と言っても一本はとられたようだから剣はこの一本しかないけど。」
「よく持てるな。」
「私のアイテムボックスは小さな納屋くらいの大きさがあるから。」
「結構大きな。」
「そんな事ないわ。本当なら……ね。」
悲しげに顔を歪めたリオにセトーデは不思議そうな顔をする。
「……止まって。」
「……。」
突然リオの鋭い声にセトーデは足を止める。
「どうしたんだ?」
「敵がいる。」
セトーデは目を凝らすが全く人影が見えなかった。
「引き返したところで、無理……それならば……だけど……。」
唇に手を当てブツブツと呟くリオにセトーデは頭を掻く。
「正面突破じゃねぇのか?」
「それが確かに早いかもしれないけど、ただ、問題もあるのよ。」
「どんな?」
「派手に動けばその分こっちに追手が来るそうなると二人で対応できると思う?」
「………。」
「あの時の二の舞三の舞になる。」
「だがな……。」
「……かといって私が囮になると言っても……。」
リオは最後も言う事なく、セトーデを見てやはりと思った。
セトーデは「そんな事は許さない」というように顔を顰めているのだ、そんなんで彼女が続きを話したところで彼は彼女の意見を受け入れてはくれないだろう。
「……迷っている暇はない…か。」
リオは腰に佩いた剣の柄を握る。
「セトーデさん。」
「何だ。」
「決して無理をしないでください、貴方の武器はあの男に取り上げられたままなのでしょう?」
「ぐっ……。」
セトーデが気にしていた事を直接言葉にされ、彼は言葉を詰まらせた。
「……行きますっ!」
リオは床を蹴って兵士に向かって突進していく。
「はぁっ!」
「ウィンドカッター!」
二人はそれぞれの兵士を切りつける。
「くっ!」
「不法侵入者か!?」
「……違う…そいつらは……ぐぁ。」
リオは剣の柄を使って男を昏倒させる。
「逃げないでくださいね…応援を呼ばれたらあなた方にも多大な犠牲がでますからね?」
ニッコリと微笑むリオはフードをかぶっていてその口元しか見えないのでどこか不気味だった。