異能者狩り
リオとセトーデが街に近づくにつれ、騒がしくなった。
「何だ?」
「……まさか…。」
リオは何か分かったのか、すぐに駆け出そうとするが、セトーデが手を掴んでいたので引き留められてしまった。
「離して。」
「何なんだ。」
「能力者狩りよ。」
「能力者狩り?」
聞き覚えのない言葉にセトーデは首を傾げる。
「……知らないの?」
呆然と呟くリオにセトーデは眉を寄せる。
「…能力者狩り、別名、異能者狩り、私みたいにマナを扱って術を使う人を異端だと言う人たちが、処罰といって、モルモットを捕まえる捕縛。」
「……嘘だろう。」
「本当よ、さっき通り過ぎた森はその国境、あの森よりもこちら側はそれを合法化されている。」
「………それは…どうやって。」
「…それぞれみたい、普通に捕縛されるのはまだいい方、酷いやり方は村や町に火を放ったりしておびき寄せる時もあるらしい。」
「――っ!」
リオの言葉に何か思い当たるものがあったのか、セトーデは息を呑んだ。
「まさか…まさか……。」
「これ以上進まない方がいいわ。」
「お前はどうするんだ?」
「私は……どちらにしても、あいつらに追われる存在、だから……。」
「行くと言うのかよ。」
「うん、それに…これは……。」
リオはフードに隠れて分からないが儚げに微笑んだ。
「これは「私」の業だから。」
リオはセトーデの手を振り払い、街に向かって走り出した。
「待てよっ!」
セトーデは手を伸ばすが、彼女はすり抜けるようにして走り出した。
「くそっ!」
ひらりと去りゆく後姿を昔見たことがある気がした、そして、あいつは…戻ってこなかった。
そう何故か彼はそう思った、だけど、すぐさま彼はその考えを振り払って彼女を追いかけた。