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魂の色と二世帯住宅

少し早目に出かけて早目に病院に着いた日のことです。

取り忘れたシワシワなキュウリが、ビニールハウスの隅にまとまって捨てられたようにジジイとババアがまとまっていた。 

取り忘れたキュウリジジイとキュウリババアがまとまってガヤガヤしていた。

病院の待合室は何時からキュウリ栽培のビニールハウスになったのだろう。

いくらまとまってもジジイとババアが、輝いているわけではなく薄汚れた灰色だっつた。まとまっても薄汚れた灰色は変わらなかった。

これが若いお嬢さん方がまとまっていたなら淡い桃色に輝いていると思いました。

若い男子は青臭い色に決まっていると思いますが。

ジジイとババアになると自然に魂の色があせて薄汚れた灰色に見える?。

昔、人間の魂は何処にあるのか?どうしても分からなかった。

定かではないが本を読んで分かった記憶がある。本によると魂が人間の肉体の内に存在するのではなく、人間の肉体が魂に囲まれている、つまり魂の内に人間の肉体がある。

そして魂同士がつながって宇宙が出来ていると解釈することができた。

そう考えると仏像の背中に後光が差している仏をよく見かける、後光は輝く魂だ。

仏像の背中の後光は神も仏も輝く魂の内に存在するのではないかと信じている。

但し、歳を重ねると魂もさびついて輝きが失われるのではないかと思った。

私の所にきた魂は錆ついてはいなかった。一度目は一緒に仕事をしていた先輩で

暮れに自ら死を選んで亡くなった。かなり酒が好きで一緒に再三飲んでいた。

しかしアルチュウだったとは。気が付かなかった自分が悲しかった。亡くなった先輩は私の家のことなど何時も心配してくれていた。

亡くなって7日後の夜中に寝ている枕元で「おい起きろ おい起きろ」呼ぶ声が聞こえた。寝ぼけまなこで見ると先輩が呼んでいた。私は訳も分からず「アレどうしたんですか?」と言った。すると「酒を飲みに行こう 二次会も行こう」と言った。

その時気が付いたが、先輩は上半身だけ丸い円の内に入っていた。その時はっきり目が覚めて気が付いた。先輩は亡くなった・・・気が付くと突然ものすごく怖くなって横になったまま身動きが出来ない。俗に言う金縛りである、目も閉じる事が出来ない私は一生懸命に「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経」を唱えた。

どの位唱えたか分からないがいつの間にか目を閉じて眠りについていた。翌日酒屋が開くのを待って、酒を持って自宅にお参りした。それ以来先輩は来ない、もう少し一緒に酒を飲んで話を聞いてあげればと今でも後悔している。それ以来先輩はこの世に降りてこなかった。あの世はに行った人は誰ひとり帰って来た人が居ない

あの世はきっと良い所で楽しく暮らしていると思う。

二度目の魂が来た、寝ようと思ってベッドのそばに行くと横の壁に白いものが見えた。良く見ると雪だるまのように白く綺麗なものが浮かんでいたが少し経って消えた?翌日妻の所に友達が亡くなったと他の友人から連絡があった。私が雪だるまを見たのは亡くなる1時間位前でした。

私は「ハッ」とした。亡くなった妻の友人は、会社のこと、同居しているご主人のおしゅうとさんとの折り合いなど少しだけですが相談に乗ったことがある。

妻の友人はとても美しい人だった。それで綺麗な雪だるまで現れたと思う。

それでも・・・自ら命を断つと浮遊霊になってあの世にも行けない、命はまっとうしなければと・・・・誰かに教えられた記憶があるが思い出さない。

先輩魂も現れないし、でも現れると怖いし又金縛りになるともっと怖いし来る前にせめて線香をと思い立って一生酒をぶら下げて出かけました。

亡くなった先輩のお宅は私の父と母が住んでいる実家から歩いても10分位の所にあります。先輩に線香をあげさせていただいてから実家に寄った。

見なれた玄関を開けて「こんにちは」わりかし大きな声で呼びましたが応答がなかった。仕方がないのでドア開けて入って行きました。ドアにはかぎが掛かっていなかった。家に入って父と母が何時もいる部屋にも見当たりません。もう少し奥まで見に行くと縁側に二人仲良く並んで日向ひなたぼっこをしていました。後ろから見た二人は、幾分小さくなったようだ。

母が小さな声で父に向かって何か言うと、父は母の後ろに回ると軽く母の肩を叩き始めました。

父と母は仲がよく父は非常に優しい温厚な人です。

長男の私は父と母に我が家に来てもらって一緒に、住むことを念頭に

実家から15分ぐらいの所に住宅を建設して有りました。新築する時、母の意見を聞いてみるべきよ。と妻からの助言があった。母ババアの意見を聞いた、母ババアは歩いて行ける所にスーパーが在る方がいい、坂道がなく平らな所がいい、日当たりが良い所、と割合勝手な意見を述べました。

母の意見を全部取り入れた訳ではありませんが、出来るだけ努力をしました。父と母が新築した住宅に目出度く引っ越しが済んだ時には、今住んでいる所は処分してその代金を新築の資金にすると話が済みました。ホッとしましたが普段から無口な父は自分の意見を述べませんでした。

そして、坂もなく、スーパーに徒歩10分以内に新築住宅が出来上がりました。

父と母の部屋を日本間の八畳と日本間の6畳を用意しました。しかも、部屋の向きは東南の方角で日当たりも素晴らしい場所です。

まあ、これで文句も出ないだろう、少しは親孝行が出来るかなと勝手に思った。

妻と話をして、父と母に新築した住宅を観てもらいながら

父と母と私と妻と娘で食事をして一晩泊って行くスケジュールを立てました。つまりおためしお泊りです。

妻が父のためにお酒を少し用意してくれました。

父は「俺は酒はいらないよ」と言いましたがしばらく酒を注いだコップを眺めて「いただくかな」コップを持つと「ゴクンゴクン」喉を鳴らして美味しそうに飲みました。

私はかなり前に酒は止めました。煙草も既に止めました。

酒をおいしそうに飲んで、食事をして父にお風呂に入ってもらいました。続いて母に入ってもらった。風呂場には転ばないように手すりを入り口を含め4個付けておきました。おかげ様で転ぶこともなく父も母も無事風呂に入ることが出来ました。

父が「さあ~て帰るかな」と言い出した。私は慌てて「今日は泊っていく予定だよ」父は「いや帰る。」若いころから頑固な父でしたがジジイになったらもっと頑固がんこになってより一層頑固を踏み固めていた。

その日は一層頑固を踏み固めた父ジジイと母を車に乗せて暗い道を実家に送り届けました。


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