振り返り
大量の蝉が、青い空を覆い尽くすような大きな声で鳴く。その鳴き声えを聞いて僕は目が覚める。
携帯を取り出そうと胸ポケットに手を入れた。
あれ、学校にカバンと一緒に置いてきたかな。
僕は、原因と場所がわかったと同時に、大木から離れ、その場から離れ、学校へ向かった。
僕は、人目を避けるため、影のあるところと、暗く目立たない場所をなるべく歩くようにして学校に向かって歩いて行く、筈だった。
「お前、俺たちのことどう思ってるの?」
あれ?この声……
僕は、公園から聞こえた少年らしき声を聞き懐かしく思った。なにかと、その声の主を見に、公園へ入り、2、3歩歩いたところで立ち止まる。
「え………なに、これ。」
僕は、目の前の風景に驚いて言葉も出なかった。
目の前には、昔の僕がいた。
「ど、どうしてそんなこと聞くの?」
「はぁ?生意気。」
同じだ………
「誰が喋ってもいいって言ったんだよ」
「だ、だって、喋らないと!質問されたんだし」
僕は、口を半開きにし、ただ彼らのやりとりを眺める。
本当に………これは、僕なの?
半分疑いながら、周りを見渡した。
「………すけ、なきゃ。」
助けなきゃ、「僕」が危ない!
僕は、ゆっくりと唾を飲み込み……
一歩ずつ、前へ足を歩める。そして、腕を伸ばして僕に似た少年の目の前にいるこの方に手を置いた。
すると、突然少年は怒鳴った。
「ぅわぁ!おい、方に虫ついてるぞ!」
「え?!」
「きゃー!早くどっかやってよ!」
見てもないのに、少女が悲鳴を上げた。そして、肩に虫が着いていたらしい少年は慌てて肩を荒くはたいた。
「あ、いなくなった。」
「よかったぁ。」
彼らはまるで、僕がもともとそこにはいないと言う感じで、皆話し合っていた。
虫なんてついてなかったけど………
僕は、試しに虫がついたらしい少年の背中を押して見る。
すると、
「え‼︎?」
僕は、そのまま前へ倒れそうになった。
そう、少年の体を透け通ったのだった。
な、に………これ。
僕は、地面に膝を立て、自分の手を見つめる。
「あ!あいつどこ行った!逃げやがった、あのヤロー」
「明日、楽しみぃ」
少年、少女が楽しそうに小さな「僕」への暴言を吐く。
また、聞こえる。心の声が………
ーちょっとやりすぎたかな?
ー正直あいつの事、別に嫌いってわけじゃないんだよねぇ
ーあ、言い過ぎたかも…….
え?なにこれ
僕は、彼らの声を聞いて驚いた。
本当は……僕のこと……
僕は、急いで小さな「僕」のところへ向かった。「僕」のことは僕が一番よく知っている。
きっとあそこだ!
心当たりが多すぎて正直どこにいるのかわからない、だけど、
このままじゃダメだ!
昔の僕は、誤解をしていた。だから早く「僕」のいるところへ行かないと……
死んでしまう……
僕は、目を水滴で埋め、それを頬に垂らしながら急いで、「自分」のいる場所へと足を運んだ。
違う
違う
ここも、
どこに行ったんだ。
僕は、心当たりのある場所を一つ一つ、探し回っている。なかなか見つからない。
時間だけが刻々と過ぎて行く。それを、「自分」を探している間に、恐怖と焦りに変わる。
早く見つけなきゃ、ここは僕の「過去」だから。自分でなんとかしないと………あ、
その時、僕は見た。
目の前の光景が………最悪の自体を読んでいる光景を。
僕は、やっとの事で「自分」を見つけ出した。だけど、少し遅なったみたい………
場所は、公園。今僕たちがいる公園には、奥に進めば階段がある。そこを登った、小さな崖ができている場所にいる。そこには柵があり、その柵の向こうには、小さな子供が普通にたてるくらいのスペースがある。
そのスペースに「自分」がいた。
なにを………?
僕は、最高気温、35度を越した暑さの中、長袖で突っ立っているかのような、汗の量をひたいに流してた。
そして、僕は聞こえるはずもない、「自分」に語りかけた。
「やめろ、頼む………やめてくれ!」
僕は、また、頬に水滴を大量に流しながら「自分」を呼び止めた。だけど、ピクリとも反応がない。当たり前だ。僕の声なんて誰にも聞こえていないのだから。そして、僕以外の人間には触れることができないことも。
なにもできない……
「ねぇ、」
「……どうして止めるの?」
聞こえるはずもない、僕の声が、「僕」には、聞こえていたようだ。
もう一人の「僕」は、僕のいる方へ振り向き、さっき投げた言葉の返事を返してくれた。
「僕が、どこにいるかわかるの?」
「わからない……だけど聞こえるんだ。僕と全く同んなじ声が……」
もう一人の「僕」は、空を見上げ、視線を落とし、僕の方へ笑顔を向けた。
さようなら、と言って……
其の後、「僕」は、態とそこから飛び降りた。
落ちて行く時の表情が頭によく残る。初めは笑顔で落ちていっていたのに、途中涙を流し、上へ腕を伸ばして、口を上下左右に動かす。
本当はこんなこと………