過去
ーねぇ、今の君は幸せ?
よく同じクラスの男子や女子などにこんなことを聞かれる。
「どうして?」とは、あえて聞かない。
過去があるから………
僕は、彼らの質問に黙って、読みかけていた本に目を向け続ける。
もし目を向けたりしたら、また、あの言葉を聞くことになってしまう。
全ての人間が悪いわけではない。だけど、人間は所詮、感情だけでしか動けない。
神に造られた素晴らしい生き物と言うが、だったらあんたは神なんかじゃない、あんたは
悪魔だ。
そうでなければ、堕天使とでも言うつもりか?と言うより、神なんて存在しない。
地球を作ったのは神様。子供に嘘を教える大人のどこが素晴らしいのか、理解できない。
今、問い詰めてる彼らもどうせそうだ。
人間は、気付かないところの心の底で何かを思いつめているもの。
どうせ僕なんて………
「必要とされてないに決まってる………」
「え?」
「坂神( さかがみ)?どうした?」
彼らは、何か可哀想な捨てられた犬や猫などを見るような目で僕を見る。
そんな目で僕を見るな。
僕は、この空気の重くなった教室から出ようと席を立った。そして、後ろのドアが空いていたので後ろから出ようと前へ前進する。
すると、目の前に一人の女子生徒が道を塞ぐ。
「逃げるの?」
言葉の選択がおかしい。そんな今はどうでもいいことを思いながら、彼女を無視し、除け、目的の場所から出ることを優先とした。
そして、また、彼女に止められる。
「待ちなさいよ‼︎」
そう言われ、背中を殴られる。
「いっ、‼︎」
僕は、彼女の方へ無理向くことなく、腰に手を立てたりもしなく前へ進むことだけに集中した。
勿論、また、止められる。今度は、左腕を取られる。
「きゃっ‼︎」
僕は、慌てて左腕から彼女の手を払いのけた。彼女は、僕に払いのけられた後、床に尻餅をついた。
「いったぁ。」
そう言って、腰を優しく撫でる仕草を見せる。
スカートの長さもあって、スカートの中の下着が見えそうになった。僕は急いで、後ろへ体ごと向け、完全に教室を後にした。
僕は、全力で走り、昔よく行っていた大木のあるところに向かって走った。
「はぁ、はぁ、はっ………。」
そこに着いた頃には、息は荒く、汗だくになっていた。
僕は、大木と面向かい、顔を上へ向けた。
この木、まだ、伸びてるのか………
「………………やっぱり無理なんだ、僕を想ってくれる人なんて、僕を必要としてくれる人なんて。」
僕は、そう言って目からも汗を流した。
もう、心が疲れた。
「やっぱり、生きたくないよ!」
大木に向かって僕は、そう怒鳴った。よそから見ればかなり頭のおかしな子だ。
「………………もう、死にたい」
僕は、目の前の大木に手を当てて、その言葉を言う。すると、突然セミが大きな声で鳴き始めた。
あれ?………………
それと、同時に眠気が僕を襲う。
昨日は、たくさん寝たのに。
僕は、空いている手を額に当て、しゃがみ込む。
瞼が重くなる。
あ、戻らないと。
僕は、学校へ鞄を取りにおこうとしたが、眠気に逆らえず、体が動かなかった。
ちょ、ちょっとだけなら………いいかな
僕は諦めて、重くなった瞼をゆっくり閉じ………………
早く、新しい自分に会いたい………