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追放された副隊長は、人と竜が憎み合う世界で“共に生きる国”を築く ~剣より対話を選んだ最強の軍師は、やがて魔王と呼ばれる~  作者: 竜太郎


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灰色の聖職者・違う声

翌日、「灰色の聖職者」を巡る資料がもう一度開かれた。昼までに賛成と反対の声が集まった。彼は怒りの強さを正しさとせず、誰が何を失うのかを一人ずつ聞いた。


聖光教を終わらせるとは、祈る者を狩ることではない。恐怖を根拠に裁き、異論を沈黙として数える仕組みを働かなくすることだと、アレンは繰り返した。


魚売りは使節の顔を詳しく覚えていない。ただ薬草の匂いと、傷ついた仲間へ水を求めた声だけは証言できた。知らない部分を埋めない証言だった。


夜になると共同食堂の椅子が一つ足りなく見えた。誰も代わりに座らず、しかし食事の配膳は止めない。その両方が住民の選んだ弔いだった。


港では報復船へ帆を張ろうとする者と、舟を陸へ上げる者が向かい合った。アレンはどちらにも武器を向けず、出航には全集落の合図が要ると確認した。


ミレアの名を呼ぶ声は、復讐の号令ではなくなっていた。薬棚、海図、白布、写し。それぞれの手に、彼女が選んだ和平の続きを残す。


記録の写しには、誤字も訂正線もそのまま残された。整いすぎた文書より、人が迷いながら書いた跡のほうが、出来事の時間を正確に伝えることがある。


誰も全体像を知らない。港の者は禁忌大陸の議論を知らず、魔族側は王国内の抵抗を知らない。伝わった断片を断定へ変えないことが唯一の共通規則だった。


一日の仕事が終わると、見張りも書記も同じ鍋から食べた。立場の違いは消えなくても、明日の食料を誰か一人だけのものにはしなかった。


アレンは強さを示すため竜の力を使わない。重い荷を運ぶ時も先に滑車を組み、誰にでも再現できる方法を選ぶ。彼が去った後まで暮らしが続く形が必要だった。


(本文実測:682字)

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