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プロローグ
『さあ、始まりました!第38回MMB、U18世界大会、決勝戦!』
『勝負は依然として拮抗状態。両者、戦いの手をゆるめません!』
『そんな中、日本代表の美しい五重奏が響き渡っています!音の層が重なるたび、日本代表の能力値が上昇する!』
『おっと、ここでチャンスがやってきたーーー!仕掛けたのは……日本代表・天王学園の神白勝華選手!一人、敵陣へ突っ込んでいく!』
奏者の紡いだ旋律が一斉に、彼女へと収束されていく。
視界が歪むほどの加速。
次の瞬間、神白の姿は観客の目から消えた。
遅れて響いたのは、金属が叩きつけられるような鋭い音。
敵陣の中央で、五つの影が同時に吹き飛ぶ。
相手が反応できなかったのは、技そのものではない。
音だ――
奏者の演奏によって強化された神白の動きは、常人の目では見ることのできない速さだった。
敵が異常に気づいた時には、すでに刃は届いていた。
実況の声が、さらにその熱を煽る。
『なんということだ!神白選手、敵を五人まとめて瞬殺!今のは誰にも反応できない――完璧な一撃です!!』
夏の強い日差しが降り注ぐ会場。しかし、観客席から立ち上がる熱気は、そんな暑さすらかき消す勢いだった。




