第7話
今日の投稿は第6話を飛ばした方のために。第7話まで投稿します。普段は一日に2話投稿します。
真太とイヅは翼たちに言われた通り、ニュースを見る事にした。先程学校から帰って来ていた千佳由佳は、2階から普段着に着替えて降りて来たのだが、ニュースを見ている真太達をじっと見て、
「雨が降るのかしら。晴れているのに・・・」
イヅは気付いて、にっこり、
「やあ、久しぶりだねぇ、由佳ちゃんと千佳ちゃん。しばらく会わなかったら、学校に二人とも通い出したんだね。大きくなったね」
千佳には、
「イヅ程じゃないわよ」
と言われてしまったが、イヅは、
「いやいや、利口さには敵わないよ。もう大者感が溢れているね。千佳ちゃんは。そう言う意味の大きくなったね、さ」
すると、由佳にも言われてしまうイヅ、
「イヅはしばらく会わないうちに、小者感が出て来たね。ご機嫌取りの言葉が自然に出てくる感じ。アマズンでは苦労しているのかな。お勉強とかで、叱られたりするの?お爺ちゃん龍とかから」
「由佳ちゃん鋭い」
「だろ、要らん事言ったら、10倍ぐらい帰されるからな」
そんな会話をする子供達の横でアボパパは、真太を叱る事が諦めきれず、ニュースを見ながらじろりと睨み、
「近頃は、だいぶ根性がなまってきているな。飛行機なんぞで帰るとは、情けない。」
「しょうがないだろ。できるだけ攻撃したくなかったから、避けるだけにしたんだ。で、疲れちまった。何も事件とかにならなかったんだから良いだろ」
「ふん、そう言っておれるのもあとわずかだろうな。今日はイダが行ったから、戦いは始まらなかったがな。今日判明したことだが、例の奴の両親には魔物が入っている。同化していたからイダが近づいてみるまで分からなかったんだ。そうだな、お前らがのこのこ奴らの陣地まで行こうとしたから、分かったとも言えるな」
「じゃあ、俺らのしようとした事も、全くの要らん事とも言えないんじゃないかな」
「調子に乗るなよ。まだ大人ではないんだから、勝手な真似するほどの能力は持ち合わせてはいないんだぞ。いつまでも親がかばうと思うなよ。戦いが始まれば自分の担当があるからな。パパが駆けつけるとは限らないぞ」
「じゃあ、パパの担当って何?今後の参考のために聞いておくよ」
「パパは、最近は大概、御神刀で魔物のとどめを刺すことだな。皆それほど、うかつでも無かろうに、御神刀を持ちたがらないんだ。パパは棺桶に片足ひっかけた感じだから、平気だがな」
「それって、もうすぐ死んじゃうって事」
由佳が驚いて聞いた。
「いやいや、まだまだパパは生きるよ。ママが生きている限りはね。ママより先には死なないと約束したんだよ」
「じゃあ、お爺ちゃんになる迄」
「そうそう、ママがお婆ちゃんになったら、パパもお爺ちゃんになるんだ。老化も同じようになるって約束したし」
千佳は、
「本当は今のままの見かけなんでしょ。ママが自分だけお婆ちゃんなんて嫌だって、前にごねていたわね」
「えっ」
アボパパは困惑した。かなり前の会話だったが、その後は確か、ママとイチャイチャした筈。
「眠くてそこまで聞いて寝たけど。パパはお爺ちゃんに化けることが出来るの」
ほっとするアボ。
「そうだよ、パパは化けるのも得意なんだ」
「ほかにも得意なのがあるの」
由佳が聞くので、真太は、
「欲しいものを手に入れる事だな。いわゆる窃盗的能力と言えるな」
「わあ」
誤解されては困るので、アボは、
「ほかの人が欲しいものだって、プレゼントできるんだ。動き回らなくてもそこに居るままでね。もちろんお金だって動かせるから、払うよ」
と言いながら、真太にゲンコツを食らわせた。せいせいするアボである。
「それにしても、翼がこいつは人間だって言っていたけど。こんなじゃぁ人間だとは言えないな。いくらDNAを調べて同じだったとしても。助教授が今日調べるそうだよ。だけど、見かけは全然違うのに人間を思い出すな。どうしてかな」
真太は怪物を見ながら言った。イヅも、
「僕も、試しにテレパシーを向けてみたら、何となく親を追いかけているイメージなんですよね。アボさん。でも、近くには普通の人間しか居ないんですけど」
「そうか、近くに親が居たのか」
そう言ってテレビを真剣に見だしたアボ。
イヅと真太も真剣に見るが、逃げ惑う人たちの集団を見たところで、分かる筈もないのだが、いよいよ怪物は西京タワーに近づいた。
アボは、
「どうしてこいつは西京タワーに近づいたのか」
疑問を口にする。イヅは、
「親が居たんでしょうか」
真太は不思議に思った。
「逃げている人間しかいないのに、親が混じっているかな」
アボは意見を言っておいた。
「造った奴では無くて、実験台になった人間だろうな」
「なるほど、じゃあ俺らが見つけるのは難しそうだな。翼が、西京大の助教授がサンプルを手に入れていて、DNAを調べるって言ったそうだよ。明日、多分翼はその人の所に行くつもりだから、俺も行ってみようかな」
アボは、
「気を付けろよ、何処に親が居るか分からないし、怪物があいつだけとは限らない」
「うん、わかった」
真太は千佳由佳の影響を考えて、これ以上は見せない方が良いと思いスイッチを切った。
それで、その後の怪物とリンの目が合った所を、今日は見ることは無かった。それを見れば、イヅは気付いたかもしれないのだが。