表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/22

第4話

 真太とイヅ、必死の思いでリラの家まで逃げてきた。実際こうゆう行動は不味いだろうが、後を任せたイダパパが、うまく処理してもらえたなら、追ってはいないだろうからと、直接やって来たのだった。

 すべて真太の楽観的な行動だ。他所のお宅であるが、習慣上2階の窓が開いているのが分かり、そこから飛び込む事にした。

 真太とイヅ、窓から飛び込むと、勢いで二人して床に倒れ込む。

「わぁっ。何だ、これ」

 したたか頭を打った真太であるが、アンリの驚く声でここで間違いないと、安心してそのまま眠った。


 アンリは驚いたが、直ぐにリラに報告しに行った。

 リラは居間のソファで爆睡中だったが、アンリは構わず報告した。

「リラ、大変だよ。真太とイヅが窓から降ってきたよ。例の所へ行ったんだな、きっと」

「ナニ~、寝ぼけた事言わないでよ。こっちはあいつらが、何だかしでかしそうで心配になったから、一眠りして不安解消してるんだ。でもあいつら、もうすでに何かしでかしたんだね」

 リラは生あくびして、目を瞬かせアンリの言った事を思い出して反すうし。がっくり首を垂れることになったのだった。

「リラ、あいつらを僕の部屋から追い出してよ」

「はいはい、お邪魔でしょうよ。二人とも図体だけはデカいからね。おつむは軽いけど」

 散々な言われようだが、事実である。しかし二人とも爆睡中で聞こえてはいない。

 リラは爆睡中の真太とイヅを眺めて、

「これ、どうやっておこそうかな・・・おーい警官が真太とイヅは引き渡せってさ」

 飛び起きる真太とイヅ。

「リラさん、悪いけど居ないって言ってよ。もう日の国へ帰った事にしてよ」

 大慌てで、真太が言うが、イヅはしれっと、

「真太、これは嘘です。外に警官は居ませんから」

 リラはイヅの方が少しはましに思えた。

「あんたら、どうして無計画なことしたわけ。この様子だと捕まりそうな事、して来たんでしょ」

 真太は、どうして知れたのかと、思いながら、

「それが、龍神界から観察していたのに、見つかったんだ。ビームで狙われて必死でよけて、よけきれそうも無いから。イヅが火ィ―噴いて建屋を壊してね」

 イヅが反論する。

「真太が先に火ィ―噴いただろ。はじかれたけど。僕のは当たって、それで真太が後から噴いた火で、火事になったんだ」

 何となくむっとしてきた真太は、

「お前のがダメージがあったんだ。俺のは些細な奴だよ」

「へえ、そうなの。それで逃げて来たの」

 リラは妙な成り行きだと思ったし、それにしてはやけにお疲れのようだと思い、真太に先を促そうと睨みをきかすと、

「物凄く速いビームで、よけるのに物凄く速く動かなけりゃならなかったし、第一あそこは人間だけじゃなかった。魔物の空飛ぶ奴が追いかけてきたんだ。イヅのパパが来てくれて、それでやっと逃げられたんだ。もうくたくた。家に帰りたいけど疲れて飛べそうもないや。ここに泊まって良い?」

 真太が柄にもなく感極まった饒舌な説明をしたのだが、リラはそうはさせられないと、

「ここいらは衛星から監視カメラが通って行くルートなんだ。もしかしたらあんたら迂闊だから、龍神界じゃなくて、人間界に入っていて見つかったんじゃないの。そうだったら監視カメラに写っていて、嘘じゃなくほんとに警官が捕まえに来るかも。お家に帰った方が安心じゃないかな」

 イヅが怯えて、

「げっ、僕、帰りたいよ。真太、一休みしたし、帰ろうよ」

「僕は飛べない、一歩も歩けない。一晩寝ないと疲れは取れそうもないや。イヅは帰りたけりゃ帰ったら」

「真太、最近なまけてたから、体力無いんだね」

「なんだと、よくも言ったな。お前が肝心な時ヘナつくから、こっちは心労もあったんだ」

 真太は疲れていたが、イヅに拳骨くらいは食らわせたくなったが、手を振り回しただけ。当たる位置にイヅは居なかった事も見当がついていなかった。

 リラは、家を崩されてはたまらないと思い、

「暴れないでよ、家が崩れそう。じゃあ仕方ないから、飛行機で帰ったら。あたしが飛行機代出すから。リーズナブルなクラスで良いよね。あんたら飛行機に乗った事ないんじゃない、一度乗ってみたらどう」

 何とか言いくるめて帰ってもろうと考えたら、真太は、

「僕は乗った事あるよ、まだ龍に変身するのは駄目っていう時に、南麦に行ったんだ。アバが心配で友達とね。乗った事ある」

「へえそうなの、じゃあ警官が来るかどうか試しに泊まってみる?」

 イヅが慌てて、

「僕は飛行機には乗った事ないし、試しに泊まるのも遠慮したいです」

 真太は泊まりは諦める事にして、

「仕方ないな。イヅが飛行機に乗りたそうだから。リラさん迷惑でしょうが、飛行機代をお願します」

「ふふん、あたしは飛行機代位、ちっとも迷惑じゃないんだけどね。お泊りだってこんな時じゃ無かったら、OKだったのよう。次に奴らを観察に来る時は、お泊りのつもりで来て良いのよ。お部屋もベッドも用意しておくからね」

 やけに親切そうなリラの話で、かえって真太は泊まりたくなくなって来た。最初の怖そうなお姉さんの印象を思い出す。さっさと帰った方が良さそうだと思える。怯えだした二人を見て、リラは愛想笑いに徹した。

 それでも、怖そうなお姉さんリラの車で、飛行場迄送ってもらった真太とイヅである。

 愛想笑いのリラに、

「また来てねー」

 と言われて、飛行機に乗った二人。イヅは、

「優しそうにしいて、何だか怖いお姉さんだったね」

「うん、翔ん時の記憶じゃあ、こんなでは無かったんだけど、翔が死んで気持ちが変化したんだと思う」

 真太は何となく、自分の中の翔が切ないっていうような感情になった気がして、ふて寝して気分を変えようと思った。

 イヅも窓際の席ではないので、

「外の景色は見えなくても良かったな。考えたらいつも飛ぶ時見て、見慣れていたし」

 とか言って、退屈で眠る事にしたようだ。

 到着のアナウンスで目が覚めた真太とイヅ、別に荷物も無いし身軽なので、さっさと人の流れについて行き、迷子にもならずに出口へと差し掛かった。すると、

「おーい、真太とイヅ」

 久しぶりに会う事になるなじみの友人たちが、出口近くに居た。従弟で利口者の10歳の翼に、金沢ロバート、柳悠一である。

 彼らは西京の同じ大学に通っているので、三人で部屋を借りているのだが、何故ここに居るのか、どういう事だろう。

「あれ、お前らどうしてここに居る」

「アボ叔父さんが真太達が飛行機で戻るから、拾って帰って来いって言うんだ。ロバート君が免許取って、車買ってもらったって。普通車だから何とか詰め込めば5人乗れるよ」 

「どういう事」

 真太がなおも訝ると、イヅが真太をチョンと突き外を向かせる。

「あれっ、あそこ魚市場だったろ。広々してるけど。あ、建屋が潰れてんのか、どうして」

 イヅは真太に反対方向を向かせる。

「あれっ、銅座町のビルは何処行った?」

 翼が呆れて、

「真太、ニュースとか見ないんだねぇ。事件があった時ぐらい見てね」

「何があった。魔物が破壊したのか」

「魔物だったら、シン達が止めてくれたんじゃないかな。どうしてだろうねぇ」

 悠一がしみじみ言った。ロバートも、

「もしかしたら、今、人類の世紀末なんじゃないか。防衛隊との衝突では一匹で互角っていう感じだったな。あれが何匹でも出てきたら、お終いだな」

「何が出て来たって」

 真太が驚いて聞くと、

「人間のいかれたのが造った怪獣だ」

「えぇっ、もう完成したのか」

 真太が驚くと、翼が、

「うん、随分手際が良いよね。真太達は奴らの本拠地を偵察に行ったんだろ。手遅れだったけど」

「でも、本拠地には魔物がいたんだぞ。人間の仕業じゃないってば」

「んー、きっとガードマンで雇われているんだと思うよ。怪獣作った奴は正真正銘の人間だって、アボ叔父さんは言っていたよ。だから今回は防衛隊が頑張るしかないんだって。真太達は手を出すなっていう話みたいだよ。ハーフなんだから」

 翼が、説明する。

 イヅは、

「僕らが日の国に居たら、下手に手を出して不味かったかもね。真太。アバはそれでわざと僕らをUSBBに行かせたのかもしれない」

「そうそう、そこんとこだな。イダさんが怒っていたって言うから、イヅが勝手に行動したみたいだったけど、アバが分からない筈ないと思って。でも、そもそもイヅとイダパパはテレパシーで繋がっているって言っていなかったか。前に」

「僕が小さなころはね。最近はパパとは大人の関係になる事にしたんだ。だから普通にしている時は繋がってはいないよ」

「大人の関係って?」

 皆で声を揃えて聞いた。イヅは、

「最近パパは若いナイラ川の龍神と付き合う事になったんだ。レディ・ナイラの紹介だから断れないとか言っていたけど、誰の紹介でも断らないと思うな。凄い美人だったし」

「ふうん、そう言う事か」

 皆で納得する。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ