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 にこ。

 にこ。どこにいるの?

 お願い。返事をして。


 にこのお母さんは、今も必死になって、にこに話しかけていた。

 タタはうずくまった大きなカカの背中にぐるぐる巻きになっているにこをしっかりと結んだロープとふかふかの毛布をとって、自由にして、そっとカカの大きな体に寄り添うようにして寝かせた。

「にこのお母さん。にこはここです。ここにいますよ」

 とタタはぼんやりとしたあったかいものにむかってそう言った。


 にこ。

 そこにいるの?

 にこ。


 すると、そのぼんやりとしたあったかいものの中から、人間の大人の女性の形をしたものがこちらに両手を伸ばすようにして、ゆっくりと、あらわれた。

 顔は見えない。(のっぺりとしていた)

 でも、その人間の大人の女性の形をしたものは、きっと、にこのお母さんに違いなかった。

 そのにこをちゃんと迎えにきてくれたにこのお母さんを見て、タタはとっても安心した。

 タタはすやすやと気持ちよさそうに眠っているにこを見る。

「にこ。よかったね」

 とにっこりと笑ってタタは言った。

 ぐるる、とカカも嬉しそうな顔で笑っていた。

 タタはにこを両手を伸ばしているにこのお母さんに受け渡すようにして、カカと一緒にゆっくりと手渡した。(にこの小さな体は本当にかるかった)

「にこ。さようなら」とタタは言った。

「わたしとお友達になってくれて、本当にどうもありがとう」

 と言って、泣いているタタはにこのほっぺたにキスをした。

 タタと同じようにカカも、反対側のほっぺたにキスをする。

 すると、ずっと眠っていたにこはそっと、その綺麗な目を、ゆっくりと開いた。

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