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 タタは一生懸命がんばって(苦手な)調べ物をした。

 こんなに頭をつかって、なにかを必死に見つけようとして、本を読んだことはタタは生まれて初めてのことだった。(お勉強は大嫌いだった)

 そうやって、必死に、必死に本を何冊も読んで、(にこの暮らしていたもとの世界にいくための方法を探しているだけだったから、ほとんどぺらぺらとページをめくっていくだけの、流し読みばかりだったけど)そして、図書館の奥にしまってあった、ほこりをかぶっていたとても古い一冊の本を(神さまに祈るような気持ちで)手に取って読んだときに、ようやくタタはにこをもとの世界に戻してあげる方法を見つけることができた。

 それは影の国にあるこのあたりで一番高い山のてっぺんまでいくと、(影のお城からも見えるとっても高い山だった)そこには、にこが暮していたもとの世界に戻るための道がある、ということがわかった。

 その本によると、どうやらこの影の国にはにこみたいに、ある日、ふと、大地に開いていた穴に落っこちてしまうみたいにして、あるいは、深い森の中に迷い込んでしまうようにして、この影の世界にやってくる生きている人間がいるみたいだった。(タタが知らなかったみたいに、たくさんではないけど、本当にまれにそういう人がいるみたいだった)

 タタは知らなかったけど、どうやらこの本はそんな生きている人間たちを影の世界からもとの世界に連れ戻したときの記録のようなものだった。

「よし。わかった」

 とぱんと本をとじて、タタは言った。

 それからタタは流していた涙を夜の色のドレスのそででぐっとぬぐうと、にことカカのいる部屋にその本をもって、いそいで駆け足で(ドレスのすそをもって)戻っていった。

 にこが苦しんでいるわけも、にこを助ける方法もわかった。

 だけど、ひとつだけ、タタは気になってることがあった、

 それは本に書いてあったこと。

 その本には、『生きている人間をもとの世界に連れ戻してあげるためには、高い山のてっぺんにいくだけではなくて、もとの世界からの手助けが必要になる。もとの世界に、影の世界に迷い込んでしまった生きている人間のことを、本当に愛している人がいることが必要になるのだ』。

 と書いてあった。

 そのことが、具体的にどういうことなのかはわからなかったけど、にこをもとの世界に連れ戻してあげるためには、どうやら、もとの世界にいるにこのことを本当に愛している人の手助けが必要になるみたいだった。

 にこを助けるためには、……、愛が必要なのだ。

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