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08 ゲーム再会

 

 なんか文字が出ている。

 真っ暗な画面に白抜きの文字列が浮かび上がっていた。




『剣と魔法のデジルマン』




『最初から』

『続きから』





 やっとタイトルに戻れたみたい。

 剣と魔法のファンタジーみたいなタイトルだが男だからマンがついているのか。

 どっちも習得したいねぇ。

 ワクワクするねぇ。


 あのNPC女神はもう現れないな。



『最初から』を選ぶぞ。


 小さくていいから序盤っぽい村か町に出てくれ!

 スカの街だけは来ないでくれ。

 頼むぞ。


 ピッ!

 指先で選択肢の文字に触れて見た。

 

 明るく発光した画面は渦巻きながら俺ごと何処かへ引きずり込んでいく。

 

 気づけばどこかの街の中の入口付近だった。

 見覚えがあるではないか。

 くそ。

 また同じ街なのか?



『スカの街』だろう。




 ステータスオープン!





 冒険者デジル レベル  0

 スカの街の入り口。


 ジョブなし。酒場へ行け!


 所持金  0

 

 HP 500/500


 攻撃  5

 防御   5




「リセットされてるな。そんでもってやっぱりスカやないか!」




 景色も施設の並びも何もかもが、いまさっき見て来たばかりだ。

 見間違えようもない。


 即やり直したい気もある。

 だが、いくらかはこの先どうなるかを知っているわけだ。

 すこし覗いてからでも遅くはないだろう。


 酒場は論外で、武器屋と宿屋での出来事を思い返す。


 まず宿では1080Gの金がないと利用できない。

 これがすでにキツい設定になる。


 そして武器屋。

 貯める金額の参考にと入店する。

 剣士だったから、ナイフ、銅の剣、鉄の剣を紹介された。

 素直に銅の剣から購入すれば100Gで済んだ。

 だがその時点のHPは135だった。

 攻撃が5あがって16になるだけだ。


 鉄の剣が300Gもする割に8しか上がらん。

 ナイフの攻撃力は聞き忘れたが大して変わらんだろう。


 問題はあの「回復の剣」だ。

 最初は500Gだった。

 俺が店を出た後に鑑定屋が飛び込んで来たといっていた。


 要点はこのポイントなのだ。


 つまり武器屋に行かなければその進展がないはずだ。

 まずは酒場でジョブを持とう。

 金が貯まらないと話にならない。

 なら盗賊と呼ぶにふさわしい拾得タイプがよいか。


 どのジョブでも戦えるといっていたな。

 回復タイプはどうだ。

 僧侶と呼ぶか。

 魔法使いもMPの回復がレベルアップで出来ないはずだから分が悪いかも。


 盗賊が多少でも回復できればな。

 酒場で聞けるかもしれん。

 よし行くぞ。


 酒場でその辺りを神官に尋ねると、大体知ることができた。


 剣士はHPが大幅に増える。

 他ジョブは増えて10HP程度だそうだ。


 僧侶だと初期HP300MP100で、回復スキル1回で50回復、消費MP4か。

 これはPTを組んだら強いだろう設計だ。

 初期は武器防具がない。

 オンラインゲームだからこういう仕様なのだな。

 火力はないようだ。聖魔法が唯一攻撃できるが消費MP12。

 9回しか使えない。

 無理そうだ。


 魔法使いも、火系、氷系、がある。消費は8か。

 HP400MP150、剣士より体力が増えないだろうから防御面で詰む。


 盗賊はHP450MP80。

 MPは拾得に使用しないようだ。意外だ。

 バトル終了後、自動ドロップするようだ。

 素早さもあり回避率も高め。

 剣の装備も可能なのか。意外だ。


 従来のゲーム経験での知ったかぶりがあった。

 そこは反省せねば。


 武器屋に行く前に500G準備できれば鑑定屋が来る前に入手可能だ。

 おっちゃんは俺がスカの街に流れて来た理由を知らない。

 

 戦いに出ずに街の中のものを物色する手もあるな。

 どうせ監獄だ。

 悪人と罪人が住んでいるだけだ。

 情報はうまく利用せねばどこへ行っても生きていけない。


 ものは試し。

 試してから「仕切り直し」でも損はない。


「よし拾得タイプで頼む!」



 俺は盗賊になった。


 ステータスオープン!





 冒険者デジル レベル 1

 スカの街の酒場。



 所持金  0


 拾得レベル 1

 装備可能武具  剣 爪 ブメ 全防具


 HP  450/450

 MP  080/080


 攻撃 7

 防御 7

 早さ 20


 スキル 自動盗み ドロップ率2倍

     扉、宝箱、鍵不要。





「え、なんかいい感じする。HPが増えるのは剣士の特性なのだな」


 すこし町の中を散策するか。

 まず宿屋へ行く。

 おなじボーイが居るか見て来よう。


 宿屋へ入る。


「いらっしゃいませー!」

「いまは利用しないんだが部屋を見せてもらえるか?」

「空き部屋の見学はご自由に。気に入ればご利用ください」


 NPCだがおなじボーイだと思う。


 では遠慮なく部屋を見て回る。

 1階と2階があった。

 どちらも10部屋ほどだった。


「どの部屋も空き部屋じゃないか。預け金が高いせいだな」


 カウンターに戻り、あのボーイに挨拶をして帰ろうとした。

 俺は一言いってやった。


「預け金の制度が客足を遠ざけていないか?」と。


「お客様? それはいったい何のお話でしょうか?」

「預け金だよ。1000Gの税収が要るんだろ」

「おっしゃっている意味がわたくしには分かりませんが」


 どういうこった。

 俺はこの街の商業と治安の説明の話をこう聞いたのだが、と打ち明けると。

 ボーイは「どこか別の街と勘違いをなさっています」といってきた。


「嘘だろ!? まじか……」


 前の時とは違っているのか。

 ゲームだしグラフィックを使い回ししてるのかも。

 ここが監獄なのかを尋ねると。


「ご冗談はよして下さい。そのような場所なら商売などさせて(もら)えませんよ」


 ボーイは至って普通の街だと笑っていった。

 まじかよ。

 別ヴァージョンなのか。

 おなじ街でも、シナリオが複数用意されているのかな。


 宿代は一人80Gで合っているかと聞くとそれで間違いないという。

 宿の難易度がグッと下がった。

 すぐにゲームを仕切り直さなくて良かった。

 情報収集は大事だな。


 武器屋はまだパスだ。

 飯屋をのぞいてこよう。

 食事の値段を確かめておくために。


 俺は食事処に入店した。



「いらっしゃいませー!」


 どんなメニューがあるのかを見に来ただけだと伝えるとどうぞ、と。

 いろんな効果が付加される料理のようだ。

 最低金額のメニューは2つだな。

 80Gと100GのものでどれもHP500は回復するみたいだ。

 この場での注文と購入ができる。

 お持ち帰りが可能なのだな。

 アイテムポーチに入れて歩くことも可能のようだ。


 一度目とおなじ状況に立たされても、これなら何とかなりそうだ。


 

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