聖騎士様と変わった大福
無事2話目も書けました。
不定期に投稿していこうと思います。
もし都内(今のところ中央線沿線と山手線あたり)でオススメのお店があったら、コメント欄で教えて頂けると嬉しいです。
ラーメンをすっかり気に入った聖騎士様…アレクサンドルと家に帰宅した。
彼はずっと「あの味はどうやって出すのか」「あの『チャーシュー』というものはどう作るのか?」など質問攻めだったので、帰る際に近所の本屋でラーメンや料理の本を色々見繕ってあげた。
そもそも字が読めるのかという疑問はあとで聞いてみるとしよう。
それよりさっきから別に気になることがあったのだ。
「ところでさアレク、さっき剣に話しかけてた?みたいだけど、その剣何かあるの?」
そう、剣に話しかけてるのだ。
ここに来た時もそうだったが、異世界産の剣なら何かあるに違いない。
「あぁ、実は…」
「《その疑問には私から答えよう》」
あ、やっぱり喋るんだその剣。
「《我はカイマート。アレクサンドルを主とした聖剣。我の力でお前達の言葉や文字は全て自動的に翻訳しているため、主はお前達とスムーズにコミュニケーションが取れる。》」
ほほぅ?そんな便利な機能…
「へー、最近のおもちゃはよく出来てるんだなぁ?」
「は!?…あ、海斗。帰ってたのか!?いつ??」
「おー。なんか優がガイジン連れて家入ってくの見えたから、そのまま後からついて一緒に入ったよ。」
声の主は桐島海斗。オレの同居人だ。
明るく元気なスポーツマンで、職場のインストラクターの中では人気の先生。
フィットネスプログラムの授業を行う以外に、パーソナルトレーナーとしても活躍している。
その予約はいつもMAX入ってるとか何とか。
大概のことは驚かない肝の強さと、多少無礼でも許されてしまう愛嬌のある性格が特徴だ。
とはいえいきなり人のことガイジンってお前…あと気付いたなら声かけなさいよ。
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文句もそこそこに事のあらましを説明したところ、さすがの海斗も半信半疑の様子だった。
アレクが装備していた鎧兜や体つきを見て総合的に「信じる」という判断をした様子であった。
「お前の爺ちゃん、元々不思議な人だと思ってたけど、そんな異世界と繋がるようなブツも持ってたんだな…」
オレだって初めてだよこんな事。
「《我は玩具ではない》」
あ、そこ気にしてたんだ。
「仕方ないよカイマート。ほら、こっちの世界ではどうやら僕たちみたいなのはいないみたいだからさ…」
あっちゃあちょっと拗ねてる。
アレクがなだめるように刀身を撫でて機嫌とってる。
「そんな事よりさ、今日お客さんから和菓子もらったんだよ〜食べる?」
そんな事よりでスルーしますか海斗さんや。
「なんかね、解凍してから食べないといけない大福らしくてさ、あえてそのままにして持って帰ってきたんだ!そろそろ食べ頃だと思う♪」
そう言って目の前に出された大福は、ちょっと大きめの一口サイズだった。
「わぁ…まん丸でちょっと冷たい。」
アレクが興味を持っているので早速頂くことにした。
「「「いただきます!!」」」
一口食べると驚き。
餡子がコーヒーっぽい味らしい。
真ん中に入っているクリームと混ざることによって、まるでカフェオレのような味になる。
甘さが絶妙なので飲み物はお茶でも紅茶でも合いそうだ。
ちょっと前まで凍ってたからかまだ中が冷たいので、夏にちょっとしたオヤツとして食べるのも良さそう。
「ん〜〜〜!!!この中の黒いのと白いのを一緒に食べるととても美味しい!!!」
「これは…良いね。明日お礼ついでにどこのお店で買ったか聞いてみよう。」
3人で頂いた大福を全て平らげ、余韻に浸って和やかな雰囲気に。
早速海斗とアレクは打ち解けて楽しく会話を弾ませている。
どうしようかと思ったけどひとまず家の中に関しては安心だな。
あとは大家さんにお話しして…ん、そういえば何か忘れてるような…。
「《…我は玩具では、ない》」
あ、聖剣様のこと忘れてたわ。