帰路の詩
死にたいひとに
死ぬななんていえなかったけど
帰り路に
コロッケをひとつ奢って
これ貸しねっていうくらいなら
できたかもしれない
あの子は死にたい
もう散々生きてきたから
たぶんもう充分なんだとおもう
充分なんだと
五時のサイレンは聞き飽きたんだろう
もう散々聞いてきたから
帰り路を歩くことも
充分で
かんたんに
死ねる世界に生きていて
いのちなんて実はなかったんじゃないの
ただ並んで
帰り路を歩くこと
手を繋ぐことだけがたしかで
ほかのことはぜんぶ蜃気楼の延長線上だったんじゃないの
死にたい
死にたい
死にたい
ごめんね
わたしはきみがすき