18. 出発
窓から涼しい風が体全体を包み込みようにして吹いている。俺は体がぶるっとして起きた。
いつもよりも早く起きた為なのか、ツキユはまだ寝ている。
この部屋はグラスとツキユ、それと俺が寝ていた。
窓から外を見てみると、夜とは全く違くてとても静かだ。
ここにはちゃんと手を洗う所があり、それで顔を洗ってから俺は下に降りた。
そこにはグラスがソファーに横たわって、外の景色を眺めていた。
グラスは俺に気づいたのか、こっちの方を見てきた。
「あはよう、ラーメン」
「おはよう……」
俺は椅子に座り、少しの間だけ静寂が続いた。
「まだ、女子は誰も起きて来てないのか?」
「いや、フライヤはオレが起きる前にどっかに行ったみたいだ」
「気になったんだけど、グラスはいつ頃にリーア達と仲間になったんだ?」
俺は昨日から気になっていた事をこの際聞くことにした。
「ビックリすると思うが、実はまだ60日ぐらいしか経ってないんだよな」
60日て言う事は二ヶ月か、思ったよりも全然経っていないんだな。てっきり二、三年ぐらい、一緒にいると思ってたんだけどな。
「思ったよりも経って無いんだな。それじゃあ誰から仲間になったんだ?」
「えーとな、オレが仲間の募集をしていたらリーアとツキユが一緒に来て、その後にフライヤが来たんだ」
「リーアとツキユが一緒に?」
「そうだ、リーアとツキユは知り合いだったらしい」
リーアとツキユは元から知り合い同士だったのか、だから仲が良かったのか。
その後、俺は街を歩く事にした。
街は少し肌寒く、静まりかえっていた。しかし、ホールと酒場は少しだけ騒がしかった。
俺はそこら辺の開いていたお店で食事を済ませて宿屋に帰ると、リーア達はもう起きたようだ。
そして、パーレル王国行く準備を終えて、他の人も終わったみたいで皆んなが集まったり早速行く事になった。
「皆んな準備はいいか?」
「大丈夫だよ」
「僕も」
「私もよ」
「大丈夫……」
俺が何も言わなかったら、俺に視線が向いた。
「大丈夫だ……」
「じゃあ行くぞ!」
ーー
「今だ!」
ツキユは炎魔法を発動させた。
ツキユの出した炎が緑色の草みたいな魔物に当たり、その魔物が怯んでいる内にグラスが攻撃をして畳み掛けるようにリーアがとどめをさした。
今は森の中を進んでいる。俺が最初通った森とは違うようだ。
本当は配達の依頼をしようとしたが、準備でリーア達と一緒にいたのでロディになることが出来なかったので諦める事にした。
俺は今弓で地味にアシストをしている。
魔物はちょくちょく出てて来て、そいつらは弱いやつばかりだが、正直思ったよりもリーア達は弱くて、一体に時間がかかる。
たしかにツキユは魔眼を持っているが、ここら辺の魔物などは魔法を使う魔物があまりいないみたいなのでほぼ意味がない。
「右からノーグラフが来たよ!」
魔物の名前を聞いても、いまいちピンと来なが、皆んなは知ってるようだ。
その魔物は2メートルぐらいで、体が毛で覆われている。簡単に言うと見た目が熊に近い。
「ラーメン! 弓をあいつに向かって撃ってくれ!」
俺はノーグラフに向けて弓を放つようにして、わざとギリギリ当たらないぐらいに放って俺が弱い人みたいな感じにしておいた。
「ごめん……」
「大丈夫だ!ツキユ!」
「わかった」
ツキユはさっきと同様に炎魔法を敵に向かって発動させた。
グラスが攻撃をして、リーアが後ろから攻撃しようとしたが気づかれていたのか、ノーグラフがリーアに向けて攻撃しようとした瞬間に、俺は弓矢に魔法をかけて、敵の腕を狙って次は確実に当てた。
「ウバァ!!」
弓矢が腕に命中したようで、ノーグラフは鳴き声を発した。
その内に、グラスとツキユが一気に攻撃をして倒した。
「大丈夫か?リーア?」
「ありがとう」
その後、リーアが俺に駆け寄って来た。
「ラーメンはいつも、危険になったら確実に命中するよね」
「き、気のせいだよ」
「そうかな? 思ったんだけど、ラーメンは試験の時は剣を使ってたよね」
「実は弓の方が剣よりも上手いんだよな、あと攻めるのはグラスがいるから大丈夫かなと思って」
「そうなの? まあいいや、ラーメン行くよ」
「あ、ああ」
そして、まずは近くの村を目標にして森の中を俺達は進んで行った。