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おわりに

 長いこと話してきたな。もう、終わらそう。

 それから彼女は卒業まで一回も喧嘩せず、勉強したり遊んだりして過ごした。たぶん今でも喧嘩はしていないだろう。俺もたまには彼女と勉強したり遊んだりした。

 ああ、そうだ、なんとなく思い出せた。俺が彼女と最後に会ったときのことだ。いつ頃かまでは思い出せない。卒業よりは前だ。

「デートしよう」その日彼女は俺を誘った。もちろん俺と彼女が付き合ってたなんてことはない。デートったって、歩くだけだ。だからその日も歩くだけだった。

 その時に大学に受かったことや、一日も行く気はないことなんかを聞いた。

「じゃ、なにをするんだ?」

「したいようにするさ」

 きっと彼女は生きたいように生きるんだろう、とそのとき思った。今も、生きたいように生きてるのかな。きっとそうしてるだろう。そのあと、きっと死ぬのだろう。

「お前は、これからどうする?」

「真面目に生きるよ。つまり、つまらなく生きるという意味だけど」

「どうして?」

「俺には、あんたの隣を歩く資格がないからさ」その資格があればなと、涙が出るくらい思う。それでも、ずっと彼女の隣を歩くことは、俺にはできないだろうな。俺にはそんな生命力はない。

 それからしばらく歩いて、彼女はふと上を向いて「空だ」と言った。俺も見上げた。晴れた日で雲ひとつなかった。



 それから一言も話さずに別れた。そのときから、一度もあっていない。

 卒業してから俺は一浪して大学に入って、つまらない人生を送っている。彼女は大学に入ったあと、すぐに辞めてしまったらしい。それから彼女は音信普通になった。彼女が今どこでなにをしているのかは、家族にだってわからない。

 俺はときどき空を見上げる。それから彼女のことを考える。

 彼女は今でも空の無限を信じているのだろうか。無限を信じて歩いているのだろうか。

 どうか世界よ無限であれ、と心から思う。


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