9番目の男
男達が、先へと進んでいくと、壁に背中を寄りかかり、目を閉じている赤髪の男を見つける。
「新たにターゲットを発見!全員戦闘へ移行せよ!」
男達が、武器を出し、魔導書を出し、戦闘体勢になると、壁に寄り掛かっていた赤髪の男が目を開け、此方を向く。
「お前ら好き勝手やってくれたな?研究員を殺したのは、褒めてやるが、家族に手を出したのは許せないな。」
それは、小さな声だったが、静かな怒りを感じる事が出来た。
「こいつは、確実に戦闘数字だ!気を抜くなよ!」
「戦闘数字?あぁこれの事かな?」
男達の話を聞き、赤髪の男は服を捲り、腹に書いてある、9の数字を見せた。
「こっこいつは、9番だ!って事は、高質化の能力を持っているぞ!」
「おいおい。一応機密事項の筈なんだけどな。」
赤髪の男は、能力を言われても、頭を掻きながら半笑いで言う。
「まぁ良いさ。俺の仕事をするだけだ。」
「相手は、戦闘数字の中でも下から2番目だ!怯まずに進め!しっかり陣形を組んで行けば、恐れることは無い!」
「あららー。人が気にしている事を言うなよ。これでも俺そこそこ強いよ?」
確かに下から2番目だけどなと独り言のように呟いて、迫り来る男達を真っ直ぐに見て気合いを入れた。