集束する思考
心、久住、スカーレット。
ツバサ、ショットガン、フリューゲル。
ポーンからクイーンのポータルクリスタルに、ホワイト、レッドのキングのマスタークリスタル。
ワークス、拳銃、ナイフ、木刀。
学校、保健室、復活の間、青い光。
死なない世界での消滅。致命傷。そして『神取りゲーム』。
神の力を奪い合う。
『あなたはチームSに配属されました』
チームS、チームF。
四対四のチーム戦。
最高で最悪の神の戯れ。
――――最低な、殺し合い。
与えられた情報が収束していくのを感じる――――――
「……寝てたのか」
目を開くとそこには青空。気象予報では間違いなく快晴と発表するであろう雲一つない空が広がっていた。
背中にはやわらかいベッド、はなく、冷たく固い感触。コンクリートの地面にでも寝かされていたのだろうか。
「グッド、クロト。目が覚めた? 記憶はちゃんとあるかしら?」
先ほど知り合ったばかりの人物の声がする。壁に穴を開け、俺を投げ飛ばして気絶させた張本人、心だ。
「体中痛むけど、記憶ははっきりしているよ」
「ベターね。ま、それならいいわ」
その英語交じりの口調はなんとかならないのか。
そう言いたいのを我慢しつつ口を開く。
「俺が投げられてからの状況を知りたいんだが?」
「エクセレント。混乱してないようね。なら辺りを見回しなさい」
辺り? 言われて俺は周囲を確認する。そこには保健室も大穴も、土埃も、フリューゲルの面々もなかった。
「ここは、屋上か」
簡単に乗り越えられそうな鉄柵に囲まれた解放空間。その鉄柵の向こうには青空以外に何も見えない。それこそ不自然なほどに。
鉄柵の奥には何もないのだ。学校にあるそんな環境、屋上以外に考えられなかった。
「ザッツライト。正解よ」
二度言わなくていい。
「さて、続きは移動しながらでいいかしら? フリューゲルを撒けたとはいえ、まだ油断ならないの。戦力は一人拘束されて欠けてしまったし、クロトを投げて屋上に逃げたとはいえ、居場所はばれているわけだしね」
さらっと凄いことを言っているな。俺を投げて屋上に逃げた? 俺を地上から屋上まで投げ飛ばして、なおかつ自分もそれを追うように屋上に逃げ込んだ? 化け物かよ。
そんなこと口にはせずに、心の言葉に無言で頷く。ただ一つだけ聞かなければいけないことがある。
「一つだけ、いいか?」
「手短にね」
「今って、ゲーム中なのか?」