エラン・ビタール【その3】
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宇宙に散らばるデブリをおれはただボーッと見つめていた。
「どうした?ボーッとして」
ガラス越しに兄貴の姿が映っていた。
「お前はもう決めたのか?例の件」
兄貴が口を開いた。
「やる訳無いだろう!大体上層部は何を考えてやがる!おれたちだって人なんだぜ!」
おれは不安を隠せなかった。
「気持ちはわかる。だが、誰かがやらなくてはならないんだ。国を護る為に犠牲はつきものだ。」
「そのクソッタレの輪廻をいつになったら断てるんだよ。畜生・・・!」
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宇宙戦争と聞けば何やら遠いことのように思えるかもしれないが、フィールドが変わっただけで戦争に変わりはない。ただ、昔と違う点をあげるなら人が戦地に赴くことが減ったくらいか。
AIと呼ばれる人工知能が無人兵器の性能を飛躍させたおかげで死者数は確かに減り、無人兵器の戦いに切り替わった。
しかしながら、AI任せのロボットをより多く使った者が勝利するという考え方に疑問の声が上がった。超効率主義のAI同士の戦いに上限がみえてしまったのだ。
そこで、イレギュラーを起こす為に人がまた戦地に赴くことになった。
だが、昔のようにただ操縦するだけでなく新しい案があがった。
おれたち軍人はそんな時決まって実験の的にさせられた。
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「兄貴、奥さんと子どもはどうすんだよ!あの実験は成功する保障なんてないんだぞ!いや、成功してもあんなものは間違ってる!!」
「家族は・・・、承知のうえだ。この戦争はおれが終わらせる」
そう言って兄貴は上層部のいる場所へ向かって行った。




