エラン・ビタール【END】
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「ヴァス!!」
泣きじゃくる私。
「泣クナ、クミ」
ヴァスはもう長くはない。
洞穴地下にいた時からすでにボロボロだったのだ。そこで最後のエネルギーであれだけの戦いをすれば無理もない。
今はもう座りこんで動く気配がまるでしない。
周りには駆けつけたジイヤや多くの人が心配そうにこちらを見つめていた。
「うっうっ、死なないで、ヴァス」
私は泣きながらヴァスに語りかける。
「・・・御前可笑シナ事ヲ言ウヨナ。俺ハ・・・機械ダ。トック二死ンデル様ナモンダ。其ノ涙ハ・・・生キテルヤツ二取ッテオケ」
ヴァスの話す言葉に次第と力がなくなってきた。おそらく、本当にもうじき・・・。
「やだよ、ヴァス。まだ話したい事が沢山あるんだよ。私の村の話とか、ヴァスが人だった頃の話とか・・・もっと・・・もっとだぐざん話したがっだぁ」
「ソリァ、残念ダナ。御前ノ話ハ・・・色々・・・面白カッタゼ・・・。ボーットセズ二済ンダ。
・・・クミ・・・最期二“話”ヲシヨウゼ・・・」
「・・・うっ・・・うん、いいよ」
「・・・生マレ・・・変ワッタラヨ、・・・何二・・・ナリタイ?」
今にも消え入りそうな声だ。
「そんなの・・・そんなの決まってるじゃない。
ヴァスのお嫁さんだよ」
「ハハ・・・ソイツハ驚キダ・・・コンナ・・・オンボロ二・・・クミ・・・・・アリ・・ガト・・ウ・・ナ・・・」
ヴァスは潰されてボロボロになった左手を私の前にそっと置いた。
そして、完全に動かなくなった。
「ヴ、ヴァスー、うっ、こっちこそありがとう。・・・ありがとう」
私はヴァスの指先を握り、何度も何度も感謝の言葉を送った。
【エピローグ】
あの事件以来、村の復興作業が続いている。
皆宗教に懐疑的になっていた。それはそうだ。神様だと思っていたものが暴走したのだ。
だが、ヴァスの活躍が多くの人にとまっていて、今度はヴァスがご神体として祀られることになった。
そして、ヴァスに乗って村を救った私は皆の英雄となり、村にはより一層団結力みたいなものが生まれた。
また宗教の在り方を私は全面的に変えた。神は心の中に宿るものだと。一人一人に色んな神様が宿っている、ということにした。そして信教の自由と尊重の義務を村の掟に取り入れた。だからヴァスはご神体っていうよりはシンボルに近い存在になった。
これが果たしていい方向に行くかは分からないが、私の疑問が行動に移され、結果宗教の在り方が変わった。これは紛れもなく『進化』だ。この進化する力、エラン・ビタールは誰しも持っていて、最も大切なこと。
そう教えてくれたのはヴァスだった。
あと余談だけど、生まれ変わりについて、私少し信じてみようかと思う。
だってヴァスの生まれ変わりがすごく気になるじゃない!
数年後・・・
「ヴァス、私、世界への旅が決まったわ。いつ帰って来れるかわからないけど、胸を張って行く事にした。必ずまた此処に帰ってくるから、その時まで村をよろしくね!」
『ああ、行ってこい!』
胸の内にヴァスの声が聞こえた。




