エラン・ビタール【その18】
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「ヴァス!!!」
私の身体は先ほどとかわらない。ヴァスが白い機体から身を呈して守ってくれたみたいだ。
「・・・クミ、御前ガ見セタカッタノハソンナオンボロドレスカ?」
言われるまで気がつかなかったが、真新しいドレスはボロボロだった。
そんなことはさて置き。
「どうしてあなた動けるの?昨日はうんともすんともいわなかったじゃない?」
「機械ニハサブノエネルギーガ備ワッテンダヨ。ダガ俺モモウ長クハ持タネェ。クミ!俺ノコックピット二乗レ」
「えっ?」
キュイーン
ヴァスの胸の部分が開いた。中には人が一人座るところがあった。
「私に乗れっての?」
「アア、今ノ攻撃デ右腕ガ動カナクナッタ。ダガ中カラノ操縦ナラ動ク。御前ガ操縦シテアイツ二一発御見舞スンダ」
「そんな私なんか・・・」
「出来ルダロ?今マデモ御前ハ何デモ知ロウトシテキタ。今回ダッテ同ジダ」
・・・そうだ!私がやらないで誰がやる!
私はコックピットに乗った。
中は暗かったのが次第に明るくなり始め、前には白い機体が映し出された。どういう原理でこうなってるのか気にはなったが、今はそんなことはどうでもいい。
「クミ。俺ガ合図シタラ其処ノレバーヲ引イテ、スイッチヲ押セ。其レマデ揺レ二我慢シテロ」
ヴァスがそういうと、白い機体との戦闘が始まった。
バゴォーン!
激しい交戦が繰り広げられている。
ヴァスは左手一本、向こうも右手一本で器用に戦っている。
私は全身の痛みに耐えながら、ヴァスの合図が来るまで集中力を切らさないよう踏ん張った。
がす!!
ヴァスと白い機体が手を組み合った。
「此処二来ル途中色々思イ出シタゼ。兄貴俺達ハ何時マデコンナ事シナクチャナラネェ。オ互イソロソロ楽二ナローヤ」
兄貴!?この白い機体がヴァスのお兄さんだっていうの!?
一体どういう・・・。
ガヂャン!!
ヴァスの左手が白い機体に握り潰された。
そしてヴァスは白い機体に顔を掴まれ、持ち上げられた。
「グッ!」
ヴァスの顔をそのまま握り潰す気だ!
メシメシ
嫌な音が響く。
「ヴァス!」
『今だ!クミやれ!!』
えっ!?
いつものヴァスじゃない声が聞こえた。この声は確かアストラって人の・・・。
私はレバーを引いてスイッチを押した。
バゴォーン!!
ヴァスの右手で放った光線が白い機体の胸を貫通した。
『アストラ、ありがとう。長い間済まなかったな』
『いいって事よ。向こうで待ってろよ。俺も直ぐにいく』
頭の中で二人の会話が聞こえた気がした。
先の激しい爆撃音とは一変してオアシスの村に静かな風が吹いた。




