エラン・ビタール【その14】
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今日の訓練でもカレンの怒声が基地に響いた。
「ちょっとアストラ!あなたもうちょっと考えてから行動してよね!」
敵を想定し、遠隔の機体を用いて目的地まで行く訓練だったが、どうやらおれは敵の誘導に失敗したらしい。
「なんだよ、敵はちゃんと倒したぞ。何が問題なんだよ!」
負けず嫌いのおれはカレンに刃向かった。
「ポイントに行くのが目的なの!敵に時間かけすぎ。あれじゃ合流のタイミングが合わないじゃない!あなた頭使ってんの?」
「あーんだと!頭で考える暇があったらやられちまうわ!それよりも、感じて動く方がおれには合ってんだよ」
「それで今回の作戦が失敗したんでしょ?」
「ぐっ・・・」
言い返す言葉を失った。
「だからあなたは昇進しないのよ、少しはルイ副隊長を見習いなさいよ」
「えーい、黙れーい!」
いつもカレンとはこんな感じで喧嘩していた。
「またお前らは・・・」
兄貴のルイが会議から帰ってきた。おれたちの姿を見るや呆れた表情をした。
「あっ、副隊長!お戻りですか?」
カレンは兄貴には愛想がいい。というか、おれにだけ愛想がないぞ!
「アストラ、考えることは苦手か?」
兄貴はおれの目を見て言った。
「いや、苦手っていうか体で動いた方が得意なんだ。おれは得意なことをどんどん伸ばしたい。それだけだ」
「だから、あんたそれじゃ・・・」
カレンが話しているのを遮って兄貴は話を続けた。
「得意なことを伸ばすのは効率も良いし、間違いではない。ただ、考えることはやっぱり大事だな。それは訓練に限った話じゃない。まずは疑問を持ってみろ。そうすれば色々な見方を養える」
「けっ、そんな奴に憧れるね」
おれはふて腐れて言った。
「だが、アストラ、今回の訓練少し見学してたが、お前は誘導隊でやられそうな機体を守り敵を倒してたな」
「えっ、そうなの⁉︎」
カレンは驚いた。
「仲間がやられそうだったんだ。助けて当たり前だ」
「ああそうだ、お前の一番のいいところだ。今回の訓練のマニュアルを徹底的に勉強しても、忘れるな」
ドサっと分厚いマニュアルを兄貴はおれの目の前に置いた。
「・・・やっぱりまた覚えなきゃダメかね?」
おれはダメ元で聞いた。
「当然☆」
ニコっと兄貴は笑って言った。




