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エラン・ビタール  作者: レオサマー
13/19

エラン・ビタール【その13】

⚪︎


「ヴァス、覚悟って諦めからくるのかな?」


「・・・ドウシタ急二?」


機械だから表情は変わらないが、ヴァスの顔は何かキョトンとして見えた。

例の如く洞穴地下。

今私は悩んでいる・・・。


「いやさ、今私がやってる宗教を伝導することって大切だとわかってるんだけど、私としては色んな世界をこの目で見てみたいわけよ。でもそれを諦めなきゃ、この先王家としての使命を全う出来ないじゃない?なんかそれを考えると私って覚悟が足りないなーって思うのよ」


ここ最近、私はヴァスに愚痴や雑談を聞いて貰っている。王家であるが故、普段本音で語れる人が私の周りにはいない。

ヴァスは割と真面目に返事が返ってくる。話し方はガラが悪いが、ちゃんと聞いてくれるし、まー根は良いやつだと思う。


「誰デモ意二沿ッタ事ガ出来ル訳ジャナイ。ソウイウ意味デハ、世界ヲ見ル事ハ諦メタ方ガ精神的二楽ダナ」


「そうよね~はぁ」


私はため息を漏らした。


「ダガナクミ、御前ノ持ツ好奇心コソ人間トシテ最モ大切ナ事ナンダゼ」


意外な事を言われて思わずキョトンとしてしまった。


「突然ダガ、人ハ何故生キルト思ウ?」


「えっ⁉︎」


急に振られて少し焦った。


「えーと、そりゃ人によって違うでしょ⁉︎家族を守る為とか楽しいからとか何となく生きてるとか・・・。ていうか生きるのに理由いらないでしょ!」


私は何となく答えをまとめた。


「アアソウダ。何故生キルノカ、其レヲ説明スルコトハ本来出来ナインダ」


「えっ、どういうこと??」


話が見えてこない。


「人デハナク、生命二話ヲ置キ変エレバワカリヤスイ。草木ガ生エルノハ何故カ。生命ハ何故子孫ヲ繁栄サセルノカ」


「そりゃ滅ばないようにする為でしょ」


「ダガ生キル事ハ義務デハ無イシ、誰カ二教エラレタ訳デハ無イハズダ。ダカラコソ言エル事ハ生命ハ生マレ持ッテ『生キル意志』ヲ内包シテイルトイウ事ダ。ソシテ更二進化スル『チカラ』ヲ誰モガ持チ合ワセテイル。ソノチカラコソ、人デ言エバ《好奇心》デアリ、人ガ生キルウエデハ欠カセナイモノダ」


私は思い出した。


「エラン・ビタール・・・・・・」


「アン?」


「村に伝わる言い伝えを思い出したわ。生命が進化するのに必要な力・・・、それが確かエラン・ビタールって言葉だったわ。もう古い文献にしかなくてみんな知らないけど、過去にその言葉を知ったの」


「ホゥ」


「つまりそのエラン・ビタールは誰もが持っていて最も大切なものだってこと??」


「ソノ通リダ。ダガ、気ヅケナイ人間ハ多イ。又変化ヲ恐レ考エル事ヲ止メル奴モイル。ソノ極端ナ例ガ自殺ダ。生キル事ヲ放棄スル事ハ考エルノヲ諦メタ時ダ。其レガ正シイカドウカハワカラナイガ、俺ハクミノヨウニ疑問ヲ持ッタ生キ方二憧レルゼ」


やだ、私今褒められた⁉︎

妙にうれしいわね。


「珍しく褒めるじゃない?じゃぁ私は今のまんまでいいのかな?」


「アァ、疑問ヲ抱イタ自分ヲ・・・大切二シロヨ・・・」


「うん!そうね、私らしくしないとね。ありがとうヴァス!おかげで元気出たわ。やっぱり私世界を見て回るわ!いつになるかわからないけど、今やってることをしっかりやって落ち着いたら行こうと思う。」


私は普段感じる『当たり前』に疑問を持つ事がいけないことだと、物心ついた時に周りから言われてきた。だが、当たり前に浸ることは考えないも同然だ。考えて私なりに行動する事をもっと肯定してあげないとな。それが間違ってたら直せばいいんだから。


⚪︎


「そういえば、明日村のご神仏を公開するセレモニーがあるの。ヴァスにも見せたいわねー私のドレス姿。スッゴイ可愛いんだから」


「・・・・・・」


「ちょっと聞いてるの⁉︎」


「・・・・・・」


「ヴァス?ねぇあなたどうしちゃったのよ!?」


「・・・・・・・・」



「ねぇってば!ヴァス!?」


「・・・・・・・・・・・・」



⚪︎

それから私はヴァスに沢山呼びかけた。しかし、私の声に全く反応してはくれなかった。

もしかして、壊れてしまったの?

だけど、私は機械は治すことが出来るってヴァスから聞いていた。

大きな不安と僅かな希望を胸に私は洞穴地下を後にした。


明日、セレモニーが終わったらすぐにヴァスのもとに行こう!


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