エラン・ビタール【その12】
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「ねぇ、あなたは喋れるの?」
私は寺院のヴァスそっくりなご神仏に話しかけてみた。しかし、反応はない。
「やっぱり反応ない・・・。こいつもヴァスの言うように元々兵器だったのかな・・・。うん、今日またヴァスに聞いてみよう!」
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「ワカラナイナ。マー俺ノヨウニ動ケナクナッタ機体だろ?」
例の洞穴地下にいるヴァスに質問を投げかけてみたが、どうやらよく分からないみたいだ。
「でも、ヴァスみたいに喋んないよ」
「俺ハ特別ダ。機械デコンナ話セルノハ俺シカイナイナ・・・多分」
「多分って・・・。あなたちょくちょく記憶が曖昧ね」
呆れる私。
「ショウガネェダロ。コッチハ1000年近ク此処二イルンダ。忘レモスルワ」
開き直られてもなー。
「ていうか何でヴァスが兵器にならなきゃいけなかったの?」
私はヴァスに問いかけた。
「俺ハソモソモ軍隊二イタ。ソレデ戦争ガ起コッタ時二新兵器トシテコノ体ヲ手二入レタンダ。ダガ、深イ理由ハ忘レチマッタナ。何故俺ガ選バレタノカ、何ノ為二戦ッタノカ・・・」
「へぇ、あなたも大変な思いをしたのね。文明が進むと悪いことが起きるのかしら?」
「戦争ガ起コルノハ文明ガ原因ジャナイ。前モ言ッタガ、戦争ヤ争イハ人間ノ『欲』カラ生マレル。ソノ欲ガ結果トシテ文明ヤ戦争ヲモタラス」
「文明が進むって便利になるってことでしょ?具体的にどうなるの?」
「ソウダナ・・・、アラユル事ガ自動化サレル。例エバ、畑ヲ耕スノモ料理ヲスルノモ、何処カ遠クヘ行クノモ全テ人デハナク機械ガヤルヨウニナル」
「えー!すっごい便利じゃん!機械って何でもしてくれるのね」
「アアソウダ。ダガ便利二ナルトイウ事ハ何カヲ同時二失ウ。便利モ度ガ過ギレバ唯ノ怠慢ダ」
確かにヴァスの言う事は的を得ていた。便利になればやらなくていいことが増える訳だから、人の手で生み出す技術が失われ、人同士でも感情が無機質になるのだろう。要はバランスなんだろうけど、なかなか難しいな。
「うーん、機械って羨ましいけど何か怖いわね。きっと人が関わるっていうのは普遍としてなければいけないのよねぇ。あまり想像出来ないけど、ヴァスがいた場所は私が住んでる地域とは全く別物だっていうのはわかったわ」
その後も私はヴァスと文明や機械について話し合い、楽しい夜を過ごした。
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帰り道。
「やっぱり疑問を持って考えることって凄く楽しいわ」
呟く私。
私はいつしかヴァスのいる洞穴地下に行くのが当たり前になった。
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私しか知らない王宮への抜け道を通り、コッソリ自分の部屋に戻った。
「また明日も行こう」
私はベッドに横になり、明日はヴァスと何を話そうか考えながらそのうちに眠くなり、夢の中におちた。




