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エラン・ビタール  作者: レオサマー
11/19

エラン・ビタール【その11】

⚪︎


「ヴァスバンドゥ~?あんただって変な名前じゃないの!」


「アンダト?カッコイイ名前ジャネーカ」


「よく分かんない名前だし、第一長いのよまず・・・、そうね、あなたのことは『ヴァス』って呼ぶわ」


「・・・アノナー・・・」


⚪︎


「ねぇヴァス、あなたはロボットっていうけど人間じゃないのよね?」


「ムカーシハ人間ダッタヨ。ソノ頃ノコトハヨク覚エチャイナイガナ」


「えー!?人間だったの!?じゃ私もそのうちなれるの!?」


「御前ガロボット・・・ガハハハ!何言ッテンダ、慣レル訳ネーダロ」


どうやら私は相当トンチンカンなことを聞いているみたいだ。何だか恥ずかしいな。


「じぁ、何だってロボットになったのよ?」


「人ヲ・・・殺ス為ダ」


「なっ?」


私が感じた恐怖は間違いではなかった。やはりこいつは元々は危険な存在だったのだ。しかし何故・・・?


「俺ハ戦争デ使ワレタ兵器ダ。兵器ノ役目ハヨリ多クノ人間ヲ殺スコトダ」


「だけどそれは昔の話でしょ?」


「マーソウダナ。ダガヨー普通ハ之ヲ聞イタラ逃ゲ出スンダガナ。御前普通ジャナイナ」


こいつは今動けないはずだ。危険かもしれないが、ヴァスは私の疑問を解消してくれる、そんな気がした。


「私は知りたいの!私が知らないことを!ねぇ、今も遠い地で争いがあるって聞いた事あるけど、何故戦争なんて起こすの?」


この時、私は恐怖よりも好奇心が優っていた。


「ソウダナ・・・・・・、究極的二言エバ『欲』ダナ・・・」


「欲・・・?何その答え?もっとこう・・・悪を倒す為とか、仲間を守る為とかじゃないの?」


「戦争二オイテ悪ナンテイナイ。皆其々ノ思イヲ持ッテ戦ッテイル。ダガ突キ詰メレバ発展ノ為トカ進歩ノ為ダトカガ根本ニハアル。其レハツマリ欲ダ」


「人間って欲張りなのね」


「アアソウダ。ダカラ欲望ヲ抑制スル為二宗教ヤ教エガアル。多数ノ人間ヲコントロールスルニハ共通意識ハ不可欠ダ」


「・・・実は私、宗教を伝導してる王家の者なの。これでもお姫様なのよ。最近、宗教に疑問を感じずにはいられなくて・・・」


「アン?オ姫様?トンダジャジャ馬姫ダナ!」


「キー!何ですって!」


ジャジャ馬かもしれないけど、初対面の私に失礼なやつ!


「ダガクミ、先モ言ッタガ人ヲ抑制スルニハ宗教ハ必要ナンダゼ」


「其れは何となく分かるけど・・・、だってさ考えてもみてよ!例えば赤い花があるとするじゃない?その花を綺麗だっていうのは教えがそう言えって言ってるから唯従ってるだけで、実は自分では綺麗だと思ってないか分からないじゃない。こんなつまんない事ある?」


「ツマリ本来人間ガ持ツ美意識ヤ個性ガ宗教二ヨッテ掻キ消サレル、ト?」


「そう!そうなのよ!あんた話が通じて嬉しいわ」


ジイヤなんかに言ったら話も通じないわ、頭を叩かれるわでこの手の話はもうしていなかったから何だか嬉しい。


「ソウイウ話ナラ性善説ト性悪説ノ話ヲシナイトナ」


「人間が元々良い人か悪い人かってあれ?」


「俺ハ後者ダト思ッテイル。人ハ争イヲヤメナイ罪深イ生キ物ダ」


「えっとちょっと待って。じゃ、法律っていうのは?」


本で勉強したが、法律の下で政治を行って国の治安を維持したっていうのは結局の所どうなんだろう。


「宗教ガ根付イテイナイ所デハ当然アル。然シ、法律モ所詮決マリ事ダ。決マッテイナイ小サナ穴ヲ狙ッテ行政ハヤリタイヨウ二ヤル。其処デ貧シイ者ガ生マレ、反乱ガ起キル・・・」


「結局また戦争・・・。宗教でも他宗教同士で争いがあるっていうからねー。

でも!私は人間って素晴らしい生き物だと思うの。私の村で病気が蔓延した時に1人の医者が多くの人を救ったり、この前は小さな子どもが迷子の仔犬を助けてたわ。そんなのは教えに記されてないの。それってつまり人が本来持つ善によって行われた事だと思うの」


「ソイツハ平和ナコッテ」


⚪︎

この性善説性悪説は話が尽きそうにないのか、ヴァスが話題を変えた。


「クミ、御前ガ住ンデイル場所ハ天国カ?」


「天国って訳じゃないけど・・・。自然も豊かだし、争いもないしいい所よ!」


「ソウカ・・・・・・俺ハ思ウンダ。今迄沢山ノ人間ヲ殺シテキタ。ソノ罪ヲ何時償ウノカ内心怯エテイタ。モシカシタラ、モウ此処ハ地獄デ唯何モナイ所デヒタスラ生キ続ケナケレバイケナイ、ソンナ刑二処サレテイルンジャナイカッテ・・・。俺ハモウ人間デハナイ。1000年ハコノ場所二イル。何処二自分ガイルノカ分カラナクナッテイル」


この時、ヴァスの顔は変わらないが、私には悲しい目をした様に見えた。


「なーに言ってんのよ!あなたは此処にいるじゃない!!今私とこの洞穴の地下で話しをしてる。ヴァスはここにちゃんといるよ」


私は思ったことをそのまま口に出した。


「・・・・」


黙り込むヴァス。


「まぁ私が天使に見えちゃったなら仕方ないかー」


「其レハナイナ。ムシロ悪魔カト・・・」


ガンッ!


私はその辺にあった石を投げつけた。ざまぁ!


「とにかく私はまだあなたに聞きたいことが山ほどあるの。だからまた来るわ。そん時はまたちゃんと話し相手になってよね!じゃあね!」


⚪︎

毎日退屈を感じていた私はワクワクしていた!井の中の蛙の私は本を読む以外に自分の世界を広げられなかったが、ヴァスの話しが聞ければもっと世界を広く違う見方で見る事が出来るんじゃないかと!



明日もまたいっくぞー!








「・・・・・・・俺ハ此処二イル・・・・・・カ」


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