エラン・ビタール【その1】
「うあぁぁぁぁぁぁ!!!」
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叫び声から始まるこの物語は、生きることや宗教、また人とロボットについて描いたものである。
まず何故叫んでいるかを説明する前にその叫び声の数週間前を辿ってみよう。
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いつになく暑い日。室内は風の通らない場所でサウナよろしくの状態だった。こんな日は川で水浴びをし、冷たい飲みモンでも飲みながらのんびりしたい。私はご神仏に祈りを捧げている間、こんなことばかり考えていた。
祈りが終わり、自分の部屋に戻る最中・・・
「クミ様、2週間後に村人たちにご神体をみせるセレモニーがございます。村人が大勢集まるいい機会です。くれぐれもだらしがないように」
そう言うのは私の教育係のジイヤだ。相変わらず小言ばかり言う。
「わかったわかった。大丈夫よ」
「あとこの前みたいに洞穴に行きたいなど、言ってはいけませんよ。あそこは先祖代々行ってはいけない決まりになっています」
「はいはい」
バタン
部屋のドアを閉めようやく今日の仕事を終えた。窓の外には雲ひとつない夜空にまんまると月が光っていた。
「何故宗教なんてものがあるのだろうか。ひとは生まれ変わる?馬鹿らしい。そんなのある訳ない」
そう呟く私は小さい頃から根拠を求めてしまう性格だった。人が死んだらどうなるとか、抱く疑問は最終的には神様のせいにされた。神様と言われるご神仏も会話もできないただの人形にしか思えない。確かに石ではない何やら硬いもので出来ているのは珍しいが・・・。
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村は砂漠地帯のオアシスにある。そこに宗教を伝導する小さな王宮、そしてご神仏が納められている寺院が連立している。ここは生活には困らないし、とても平和な場所だ。
その平和も村に根付いている宗教のおかげと皆口を揃えて言う。
私はその宗教を伝えることを使命とする王家に生まれた。幼くして両親を亡くし、今は私が村人に宣教活動を行っている。しかしながら、つい効率や根拠を求めてしまう私にとってこの使命とやらは嫌々の仕事でしかない。
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正装から動きやすい服に着替え、私はある計画を立てていた。村のはずれにある洞穴に行こうと思う。
“興味の赴くままに”
誰に教えられたわけではないんだけれど、私は物心つく時からそうなのだ。
夜は日中と打って変わって寒くなる。私は村人愛用のフード付きのつなぎを着て村のはずれの洞穴に向かう。




