新天地へ
とうとう旅出すことが出来ました
宇宙港に到着した大型貨物船にジョンのコンテナが搬入されて行く
その光景を眺めつつジョンは登場手続きに向かう残念ながらベネディクト家族
とは別の便になってしまった、二日前に出発したベネディクト達を見送りに
来た時に向こうではベネディクト達が迎えにくる約束をしたのではぐれる
ことは無いだろう
搭乗口では皆かなりの手荷物を持ち込んでいる、手ぶらなのはジョンくらいで
あった、もっとも預け入れ荷物にコンテナを積み込んだのもジョンくらいだが、
なにせ家(車)ごと持って行く非常識野郎は他にはいない
船(宇宙貨物船)に乗船し所定の座席に着くと間もなく離陸し宇宙空間へ、
シートベルト着用のサインが消えると周りの乗客の安心したため息が聞こえ
てくる早速シートベルトをはずし皆思い思いの場所へと向かいだす、
これから一月余りの旅だ!
ジョンも早速船内探索に向かいたいところだが一月余りの航海中の
カリキュラムがエリーの手により組まれているのでよっこらせっ!と席を立ち
全農主催のオリエンテーリングに向かう
会場には既に数十人の列が出来ていてジョンもその列に並んだ
列が進みジョンの番
「ようこそいらっしゃいました、全農主催オリエンテーリングにおこし
下さったお客様ですか?」
「ああ!ジョン・ニシガワラです」
「少々お待ち下さい・・・・有りました、ニシガワラ様!A-29ルームへ
おこし下さいますか、こちらがテキストと書類になります」
まるで学校だな!と思いながらA-29ルームへ入室
「毎度!いらっしゃ~い、担当者の【フィリップ・モリス】です! えーと、
お名前は?」
「ジョン・ニシガワラです!凄い名前ですね、本名ですか?」
「ええ!よく言われますねん、何や煙の匂うハードボイルドな名前やっ
ちゅうてね」
「そうなんですか!よくわかりませんが」『なんか嘘くさいな!こいつ』
「ジョンはんはみっちりカリキュラム組まれてまんな!これから一ヶ月
わてのこと教師や思て何でも聞いておくれ!」
「はぁ~!有難うございます」
「ほな、これ!(紙を渡しつつ)ジョンはんの取っとる講習の時間割り」
「どうも!」
渡しつた紙を覗き込むフィリップ 「いや~!明日からみっちりやな~」
「はい!どうせ暇なんで」
「イヤイヤ!恐縮せんでええでぇ、偉いこっちゃ、早速やけど
なんか質問ある?」
「そうですね~講習って何をするんですか?」
「講習かいな!どれどれ(時間割りを見ながら)えーと・・・・」
明日からの講習では移民先の惑星の気候や農作物の事、全農の説明や作物の
買取査定方、各種作物の育て方と注意点、開墾の仕方等、多種多様な講義が
有るらしい
『中々為になる講義が多いな!』と思ったがこれを教わるのがフィリップだと
思うと若干気が重くなってしまうジョンであった
「ほなこれでオリエンテーリングは終了やっ!明日からの講習頑張ってな」
「はい!明日からよろしくお願いします」
翌朝、朝食を済ませ時間割りの講義に参加する為教室へ第一回の講義は
【農業と全農】である
「毎度!いらっしゃ~い、早速来たな!感心感心」
「フィリップさん!お早うございます」
「おっしゃ~!ほな始めよか」
「あのぉ~!他の方は?」
しばしの沈黙・・・・「お前だけや!」
「えっ!えーと・・・・」
「この講義取っとるのお前だけやねん!ええか~、わいの人気が無いん
ちゃうで~、旅始まっていきなりの講義やから皆まだ余裕かまして様子見
しとんねやろ、多分」
「はぁ~!」
「はぁ~!って何や!それにな、この講義は【農業と全農】やで!移民
するんは皆農業経験者やで、皆知っとるからこの講義は受けんでもええねん!」
「そうなんですか!じゃあ何故この講義があるのですか?」
「そんなもん初心者の為やんけ!自分みたいな初心者にみっちり教える
ためや!それに今日はマンツーマンやで、わいみたいな人気講師と
マンツーマンで講義受けれるなんて!自分チョーラッキーやで!」
「はぁ~!わかりました、ともかくよろしくお願いします」
「おお!解ったらええねん、ほな講義始めるでぇ~」
フィリップの講義はシンプルで理解しやすかった、訛りと妙なテンション
にはついていきづらいものはあったが、さすがマンツーマンの講義はラッキー
だったかなと思いだしていた時
「こんな風に作物の花形はやっぱり米や小麦に代表される穀物やな!」
「そうですか~?僕は芋を作りたいですけど」
「なんや!自分芋狙てんのかいな、芋はまぁ初心者向けでええけどな」
ムッとした顔をして 「何ですか!初心者向けって!」
「をっ!どないしてん?えらい怖い顔をして」
「芋を初心者向けなんて言うからですよ!俺のおやじは真剣に芋作って
ましたよ!子供の頃食った芋の美味かったことったらなかったんですから}
「おお!えらい思い入れあったんやな、初心者向けっちゅうたんはわいが
悪かった、すまん」
「いえ!解ってもらえたんならいいですけど」
「いや!悪かった、芋を育てるんは比較的楽やっちゅう話やったんや、
でもな、美味い作物を作るんはそら大変な事や、わいが悪かった
「すいません!僕も熱くなってしまって」
「いやいやその作物に対する愛は大事なことなんや!その愛があったらきっと
美味い芋を育てるはずや!よっしゃ、ジョンにええこと教えたろ」
「ええことですか?なんでしょう」
「作物収穫するやろ、その作物を全農が買い取りする時作物を評価するんや、
その評価が高いと買い取り金額が上がる、評価が低いと金額が下がる」
「あぁ!知ってます、勉強しましたから」
{ほなこれはしってるか?(ニヤリと笑い)その評価がむっちゃ高いとその
作物はブランド物となって無茶苦茶高値に跳ね上がるんや!おまけに
ブランド物育てた農家はブランド物に名前つける権利をもつんや!」
「あぁ!あのブランド米の【玉光】とかですよね」
「そうや!ブランド物を育てるんは全農家の夢や!ジョンも農家になるん
やから目指したらええ!」
「そうか!美味い芋を育ててブランド芋を狙えばいいのですね!」
「せやっ!そやけどその道は細っそい道やで~」
「はい!頑張ります、ありがとうございます」
「ちょいまち!まだ続きがあるんや、作物は種があるよな、芋やったら種芋」
「はい、確かに実家でも種芋使ってました」
「それな!今の時代はほとんど遺伝子組み換え物やねん、病気もしにくく
大きく美味しい、せやけどブランド物の種は値段天井知らずや、そら皆ええ種を
育てたいもんな、あっちこっちの農家が大枚担いで買いに来るんや!
(ニヤリと笑う)」
「そうか!ありがとうございます、目標が出来ました」
「ええんや、わいは教えるんが仕事や、それを生かすんも殺すんもお前
しだいや!そろそろ時間やな、今日の講義はしまいや、お疲れ!」
「はい!ありがとうございました~」
感動に打ち震えながら教室を出ていくジョン!
「ふっ!全く、若いってのは・・・・」
出ていくジョンの背中を見ながら一人かたるフィリップ
雰囲気に飲まれた二人は気づいていない、この数分後、二時間目の講義で
又顔を合わすことを・・
まだ移民先につきませんでした、次回も船内のお話しになります
おもわず新キャラが突っ走り始めました、もうちょい引っ張ってみたい
と思います、すいません!