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移民農業奮闘記  作者: マダム
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芋ほり

ジョンの愛してやまない芋の収穫です

その日のジョンは朝からそわそわしていた、待ちに待った芋の収穫日もその原因なのだが、もう一つの原因が間もなくやって来るのだ、なんとベネディクト一家が収穫を手伝いに来ると言う、しかも足がないので迎えに来いと言う、さすがにそれは無理なので軽トラを前日にオートパイロットで送りこんでおいた。


ベネディクト達はまだ来ないが作業時間になったので作業を始めるジョンと田吾作!


猪モドキに荒らされた畑だが半分程度は残り見事大ぶりな芋をつけている、俄然上がるテンションに作業を進める二人の上空から待ち人がやって来た


「JJ~!ここよ~!」


上空、軽トラから身を乗り出して手を降るアリー!


「危ないって!アリー、ちゃんと乗ってなさい!」


どうやらリンが身を乗り出すアリーを引っ張っているようだ、若干不時着気味に軽トラは無事?にジョンの畑に着陸すると


「凄いじゃないか!JJ!うちの畑より広いんじゃ~ないか?」


「ええ!ベネディクトさんは2ヘクタールでしたよね、ここは4ヘクタールですから」


「よくこんなジャングル開拓出来たな、」


「いえ!ここは元原野でしたから、楽なもんでしたよ」


「JJ!ここが全部JJの農地なの?」


会話に割り込むアリーを見るとアリーの肩に置かれたリンの手に力が入っているのがわかる、どうやらアリーが飛び掛らないように抑えてくれていたようだ


「うん!あと向こうのジャングルに隠し畑が1ヘクタールぐらいかな」


「凄いな!まだあるのか!」


「マスター!この方達は?」


「ああ!ベネディクトさんと奥さんのリンさん!それにこっちがアリーだ!そしてこいつが田吾作です!」


「ああ!あの時の・・・」


「田吾作って変な名前!」


「こら!アリー、ごめんなさいね」


上からベネディクト、アリー、リンの順である


「皆様!よろしくお願いします、【田吾作】というのは正統派の農業ネームですよ、アリー様」


以前名前の由来を聞かれた時にジョンが適当に答えた返事を説明する田吾作


紹介も終わり作業を再開しようとするが


「貴方!私隠し畑を見て見たいの、いいでしょ?JJ」


「えっ!隠し畑ですか、まあいいですけど」


「田吾作!案内してあげて」


「貴方も見たいでしょ!一緒に行きましょう」


「いや!俺は別に、今日は収穫手伝いに来たんだし」


「隠し畑の方を手伝えばいいじゃない!人参もあるんだし」


「帰りにちょっと見せてもらえばいいじゃないか?」


「今見たいの!いいから行くわよ、田吾作さん、お願いね!アリーはちゃんとJJのお手伝いしててね」


リンはそう言うとゴネるベネディクトを蹴り飛ばす様に軽トラに乗り込み隠し畑へ向かって行った


「ええ~と!とにかく芋掘りするか、アリー」


アリーはリンがジョンと二人きりにしてくれた事に気付いたが逆に緊張してきた


「そうだね!芋掘りしにきたんだもんね!芋掘りしないとね!」


「よ~しっ!それじゃ~、アリーはどんどん芋を抜いて行ってくれよ、俺は芋をカゴに入れていくから!」


芋掘り作業に取り掛かったアリーだが緊張して何を話して良いのか解らず黙々と芋を引き抜いていく


「早いな!アリー、芋掘りした事あるのか?」


「ええ?何?芋掘り、はっ、始めてよ!」


突然話し掛けられ緊張していたアリーは声が裏返りいつになく高い声で返事を返す


「どうした?アリー、声が変だぞ」


「へっ!変じゃ無いわよ、急に話しかけるからビックリしただけよっ」


「そうか~!それは悪かったなぁ、でももっとゆっくり抜いてくれてもいいぞ、カゴに詰めるのも大変だし」


「そうねっ!じゃあJJに併せてゆっくり抜いてあげるわ」


「おう!頼むよ」


それからまた作業に戻る二人・・・その頃隠し畑は



「それでは私は罠を見て参りますので!それと畑の外には出ないで下さい、いたるところに罠が設置しておりますので」


そう注意をすると田吾作はジャングルの中に消えて行く


「凄いわね!ここはジャングルを切り開いた畑なのね」


「ああ!確かに凄いが、今すぐに見にこなくても良かったんじゃないか?」


「馬鹿ね!アリーとJJに仲直りのチャンスをあげたんじゃない!」


「仲直りならもうしているだろう!」


「まだよ!折角婚約迄したのに全然会ってもいないんだから」


「婚約なんて早いぞ!アリーはまだジュウ・・・?」


「15よ!もうすぐ16、全く、娘の年くらい覚えておきなさい!」


「まだ全然早いぞ、子供じゃないかっ!」(怒)


「早くないわっ!あたしが貴方と結婚したのは16よっ!」


「しかしまだ15だろ!早すぎる」


「今から仲良くならないと16で結婚できないでしょう!」


「急がなくてもいいだろう!」


「ダメ!早く赤ちゃん産んで貰わないと、あたしは若いお祖母ちゃんになりたいのっ!」


「俺は爺さんになんてなりたくねえ!JJになんてアリーをやれるかっ!」(怒)


「JJに貰って貰わなくて誰に貰って貰うのよっ!あんな優良物件他にいる?この畑を見なさい!誰が移民したてでこんなに畑を開墾出来るの?それにアリーの気持ちは考えた事があるの?」


「アリーはJJの事なんてヘナチョコ呼ばわりしてるぞ」


「全く馬鹿ね!あの子が木を許せる相手はJJだけよ、下手すりゃあたし達以上にワガママ言えるのよ、JJは」


「・・・・確かにそうだが、JJはそんな気ないだろ」


「大事にしてくれるわ!あんなにボコボコにされても恨み言一つ言わずに許してくれたのよ」


「それはJJが気が弱いからで・・・」


「全農の整備士達をトラクターで追いかけ回した人が気が弱い?この星でエースって呼ばれる人が?全農の罠に立ち向かおうって人が?どうなの?」


「しかしだな!だからってアリーが・・・」


「大きな声を出してどうしたのです?いったい」


言い争う二人にジャングルから出てきた田吾作が問いかけると二人が田吾作に振り向きギョッとする、田吾作は大きな猪もどきを担いでいたのだ


「おっ!お前さん、そいつは?」


「ああ!トラバサミに掛かっていました、ちょっと血を撒いて来るので喧嘩はよして下さいね」


そう言って死の行軍をする多度作を二人はただ見つめるだけであった

長くなったので一旦切ります。

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