こちら全農鑑定部!
今回は全農側視点です
マーサト・シーは久々に緊張していた滅多にない上司との通信会議、それも社外秘の特別回線を使ったものだ、いやがおうにも緊張は高まる
「それで!今後の出荷予定量はどの程度の予想だ。マーサト君」
「前回報告させていただいた通りです!部長、しかし・・・」
「ん?しかしなんだね?」
「このままD判定を続けていては・・・」
「誤解しているようだなマーサト君!我々は企業だ、企業の本懐は収益を上げる事なんじゃないのか?」
「ですが部長!いつまでもD判定を、収穫物を飼料として買い続けるというのは・・・」
「飼料として安く買い叩き食料として高価に売りつける、商売の基本だが?」
「それでは全農の評価が落ちてしまいませんか?」
「心配するな!大体買い取りする側の鑑定を信じるような甘い奴らだ、それに全農の鑑定は独自の鑑定だからな、基準が厳しいだけで騙しているわけでは無い」
「はい!それはそうですが」
「それより君は他の企業の進出されるまではD判定を続けて全農の収益を確保してくれたまえ」
「はい!了解しました」
「いいか!全農鑑定部はエリート部隊なのは優秀だからじゃないぞ、収益を上げるからエリート部隊なのだよ、これがうまくいけば私の部長の椅子の次は君を考えているからな!」
「はい!ありがとうございます」
不穏な会話も終わり通信を終わらせたマサートは作物の鑑定を行う鑑定室へと向かう
「あっ!室長、お早うございます、今日はどうしたんですか?」
白衣を着た小太りのこの男が鑑定する機会の保守サービスの人間である
「設定の変更を頼む」
「はい!今度はどのように?」
今日も機械の設定を辛く設定しC判定以上の判定が出ないように調整する
「今日の予定は?」
「今日は4件ですね!」
「そうか!いつもの様に頼むぞ」
今日も数件の農家を毒牙にかける計画が進みつつある、最も研究農家には実質の被害が出る訳ではないのだが全体の評価を下げるために一律評価の平均を下げているのだ
「そう言えば先日あの男の収穫物が持ち込まれたんだろ!評価は?」
「え~と!これです、C判定だったのでいつもの様にDでだしましたが」
「ふむ!なるほど、OKだ、それで収穫量は?」
「いえ!今回は判定だけです、なにやら野生動物の被害で売るほどの量が取れなかったようです」
「そうか!残念だな、まぁ、これから研究農家以外の収穫物も出だすだろうからこれからが勝負だ、頼むぞ」
「はい!お任せ下さい」
マサートは自らの輝かしい未来を思い興奮していた、今後数年先には研究農家も一般の農家になり全農の売り上げは飛躍的に騰がって行く事だろう、その立役者に俺はなるのだ!その為にはこの星の収穫物は全農が一手に担っていくのだ!
「しかしこの星ももう少し賑やかになってくれないかなぁ」
「ふふふ!未開の惑星ですからね、仕方ないですよ」
「だがなぁ~!飲み屋の一軒でもないと遊ぶところがなぁ」
「今度できるみたいですよ!表で何件か工事中の建物があったでしょう」
「本当か?えらくでかい建物だったが、飲み屋ができるのか?」
「なんか商社のビルが建つみたいですよ!そのテナントに飲み屋もできるらしいです」
「そうか!今度行ってみるよ」
そのなんかの商社というのはシゲモン商会で自分の夢を挫く存在なのだがマサートは気づかない!真剣に夜の遊びの場が出来ることを喜んでいる
後日シゲモン商会のビルが建ちそこにスマートが夢見ていたバーが開店し、行ってみる事に
バー【らくだ・らくだ】にて
「おお!中々いい雰囲気の店だなぁ、おっ!綺麗な人が・・・」
マサートはバーで飲んでいたアケミに近づきナンパを始める
「ご一緒しませんか?僕全農で室長している【マサート・シー】といいます」
「えー!若いのに偉いさんなんだねぇ、【アケミ・グレース】です」
「アケミさんって言うんだ!おごりますよ」
「うふふ!ありがとう、じゃあ【マー君】って呼ぶね」
なにやら楽し気に盛り上がっていく、ここはマサートと同じように夜の遊び場を求めたアケミが無いなら建てちゃえばいいじゃない!とばかりに自社ビルに無理からぶち込んだバーである、言わばアケミはここのオーナーなのだがそれは秘密にされている、なぜならアケミがモテなくなるのを恐れたのだ
「マスター!ワインをお願い、赤ね」
「アケミさん!ボトルで頼みましょうよ、僕も飲みます」
「じゃあ!マスター、ボトルでお願い、後枝豆か何かない~」
実に楽しそうな二人、近い将来この星の農作物の取引を奪いあいする二人なのだが今日のところは楽しく飲んでいる
「マー君!今度はダーツしましょう」
「じゃあ!僕がかったチューしてくれます?」
「ええ~!駄目よ~、マー君ったらエッチなんだから~、ダーツやりましょうよ」
「うん!やりましょう、負けたらテキーラ一気は?」
「そうだね!じゃあ負けたら一気ね」
さらに楽しく夜は更けていく、朝方まで飲んだ二人はすっかり仲良くなっていた
「アケミさん!もう帰ります?」
「そうだね~!帰りましょうか」
「じゃあ!連絡番号教えて下さい」
「いいよ~!はい、これね」
少し恋心まで抱いてきたマサートがアケミに連絡番号を聞くとお金の次に若い子が好きなアケミは連絡番号を教える、将来血で血を洗う抗争に発展する二人の出会いであった
次回は・・・どうしよう?