シゲモン商会
寝坊しちまった・・・
その日アトランティス星に新しい店をオープンさせようと突貫工事真っ最中の店がある
「ここは段差を下げて下さい、そっちは開口部を広げて、それはここに・・・」
作業員の中で忙しく指図する女【アケミ・グレース】自称30歳は野心大きな女である
未開の惑星に他の商会に先駆け支店を出店させ勝負に出た、勿論人口も多くないこの星での出店計画は社長であるシゲモンをはじめスポンサーのアキランも反対したのだがアケミは強引に出店を決めた
「支店長!アキランさんから通信が入ってますが」
「ありがとう!繋いでもらえますか」
「元気か?アケミ、そっちはどうなんだ?」
「いい処だよ!自然豊かで将来性有望だよ、ここは」
「そうか!無理してないか?きつかったら帰ってこいよ」
「大丈夫だよ!アキランさん、絶対儲かるよ!ここ」
「金儲けならどこでも出来るだろ!そんな辺ぴな所に行かなくても・・・」
「いやよ!アケミ帰んないから、それじゃあね」
通信を切ったアケミは工事現場に戻り支持を再開する、一日でも早く支店をオープンしなければ・・・
後日アケミは別の工事現場で支持を飛ばしている、ここはシゲモン商会の冷蔵倉庫建設地
今日も忙し気にあーだこーだと指示を飛ばしていると若い男の見物人と目が合った隣に止まっている軽トラの荷台には豆らしき物が小山と積まれている、『ひょっとしてこの子って・・・』ピンときたアケミは話しかけてみる
「間違ってたらすいません!ジョンさんですか?」
「はい!そうですが、どちら様ですか?」
やはりそうだ!この星の農家のトップランナーと呼ばれるジョンだ!噂によるとこの男移民時に贅沢な農業機械と家ごと持参した程の資産家らしい、アケミにとって【お金持ち】は大好物だ!それが【資産家】とも呼ばれるレベルになればヨダレがたれる程大好物でもう腰が砕けそうだ
何とかお知り合いにならなければ、いや!親密になんねば!と話を続けようとするが
「それじゃ~!俺そろそろ行きますんで」
「ああ!ごめんなさい、お引き留めしちゃって」
「いえいえ!あっそうだ、これ収穫した豆なんですが、良かったらどうぞ」
ジョンは行ってしまった!だがまあ良い、これからチャンスは何度でもあるのだから、しかも収穫した豆までいただいたのだから脈は有るのだろうこれから親密に、いや!寝んごろになっても良い!
アケミのロックオンは確実にジョンを捕らえたのだ『あの様な若造どうにでも出来るわ!』
バブル時代から数々の浮名を流しながらも絶対落ちない女!鋼鉄の処女!などと呼ばれた女の本気が今再び蘇った瞬間であった
シゲモン商会仮の事務所に戻ったアケミはジョンに貰った豆を事務所の職員に渡し
「カヨちゃん!これを作物鑑定をお願いね!それと工事を急がせて!」
豆を受け取った事務職の名前は【カヨコ】は何やらアケミが燃えているのを感じた
「はい!直ぐに鑑定します、アケミ姉さん」
カヨコはアケミに憧れてこんな辺ぴな星迄やって来たのだ、その憧れのアケミが何故だか急に燃え出した、それを見たカヨコも萌え出した
「アケミ姉さん!何か有ったんですか?」
「ええ!今エースと呼ばれる子にあったのよ」
「本当ですか!どんな人でした?」
「うふっ!かっこ良かったわよ」
「ええ~!良いなぁ、私も会いたかったです」
決してジョンはかっこ良くない、良くて平均な男なのだがアケミのお金持ち矯正でかなり良い男に美化されているだけなのだがカヨコには伝わらない
しばし時間が過ぎ豆の鑑定結果が出た
「アケミ姉さん!鑑定結果が出ました、これです」
「う~ん!普通だね、うん」
「それじゃあ!せっかくの頂き物だから食べちゃおうか」
アケミは豆を湯掻き食す事に、ジョンと違って三分で湯掻いた、料理も出来る女アケミである、と言うか女子力は高いのである、そうで無ければバブルの時代から浮名を流しつつ寄って来る男どもの川を華麗に泳ぐ事は出来ない、そう遥か昔バブルの時代からアケミの中ではバブルは終わっていないのだ!バブルの産んだ最後の子【ラスト・ドウタァー・オブ・バブル】アケミである
「カヨちゃん!一緒に飲みましょ」
カヨコが見ると湯掻いた豆とビールがセットでテーブルに置かれている
「アケミ姉さん!まだ勤務中ですよ」
「大丈夫だから!豆はビールと一緒じゃないと食べられないの、アケミ」
「「カンパーイ!」」
「あら!結構美味しいわね、この豆」
「そうですね!おつまみにはやはり豆ですね」
二人はそのまま宴会に突入
「カヨちゃん!これ飲むぅ~、ワイン!」
「ああ~!凄い高そうに見えるんですけど」
「いいのいいの!ワインはね、飲むためにあるんだよ」
「そうですよね!いただきま~すっ」
出来る女アケミとそれに憧れる女カヨコ!最早ただの酔っ払いだがこの二人の活躍で小さなシゲモン商会が銀河中に響き渡る超巨大商社へと変貌を遂げるのだが今はまだ誰も知らない
おふざけ回でした