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移民農業奮闘記  作者: マダム
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自炊

今回はお遊び回です


お裾分けの旅から帰還したジョンは田吾作からその日の作業報告を聞いている


「豆を収穫した後の畑に復活草の種を蒔いておきました!マスター」


「早いな!ちゃんと耕したてから蒔いただろうな?」


「当然です!マスター、ご心配なく」


「復活草は花が咲いたら直ぐにすき込むようにしないと駄目だからな!」


「マスターがエリー様から注意点を聞いている時に私も横で聞いてましたから、マスター」


「そっ!そうか、それじゃあ隠し畑の方は?」


「既に一ヘクタールの畑は確保出来ました!更に広げますか?」


「いや!とりあえずそれでいいから、これからは野生動物対策にかかる予定だ」


「また落とし穴ですか?マスター」


「ああ!それとアケミさんから【トラバサミ]をいくつか購入する」


「マスター!先程アケミ様より連絡がありましたので10セット注文しておきました」


話に割り込んだエリーが言う


「そっか!仕事が早いな、あの人」


「ええ!かなり有能な女性ですね!」


トラバサミとは野生動物捕獲用の罠である、ノコギリの様な歯がついた危険な物で動物愛護団体の反対で使用禁止になったのだが、

ここは未開の惑星!構うものかとジョンは使用する事を躊躇わなかった


「それと収穫した豆の鑑定結果ですが!C判定でした」


「そうか!十分食用にはなるんだな」


「はい!味覚、栄養共に合格ラインです、ただ全農の評価は・・・」


「了解だ!ベネディクトさんの評価がD判定だからな」


恐らくD判定が出るであろう事はジョンも覚悟していた、だから今日、アケミに豆を手渡す事ができたのは良かった、恐らくアケミは豆を鑑定するだろう、全農以外の鑑定評価は有難い!



そして夜の会議の時間


ベネディクト「おいっ!JJ、美味かったぞ、お前さんの豆!」


クリス「本当!美味しかったわ~」


ジョン「いや~!ただの豆ですから、大袈裟ですよ」


スタン「いや!レイチェルも褒めてたぜ、レイチェルが食材を褒めるんだから本当に美味いんだ」


ジョンは初めての収穫を褒められて気持ち良かった!勿論おべんちゃらもあるかもしれないがそれでも気分が良い


ファン「俺も研究農家じゃなけりゃ~皆にもお裾分け配れるんだがなぁ」


寂しそうに呟くファンに研究農家の方々が同調し出す


ベネディクト「確かに農家をやっていて収穫物を食えないってのは寂しいもんだ」


マス「ああ!淋しいな」


クリス「あんたは大して仕事してないでしょっ」


マス「馬鹿野郎!ちゃんとしてるだろうが、水やりとか」


クリスとマスの夫婦喧嘩が始まる


ジョン「まあまあ!落ち着いて下さい、研究農家の皆さんは種をちょろまかせてくれた分うちの隠し畑で育てますよ!まだ畑は小さいけど」


ファン「本当か?JJ」


ジョン「ええ!この間いただいた大根と人参から初めてみようと思ってます」


エリー「当然手数料として収穫物は頂きますが、皆様の食す分は十分お返し出来ると思います」


情にほだされ秘密の計画をあっさり会議でカミングアウトしてしまったジョンだが直ぐに話に割り込み報酬を決めてしまったエリー!流石に人情に流されないコンピューターである


その日の会議はそのような話で終わった



翌る日昨夜皆に褒めてもらった豆を食してみようとするジョン、何しろ本人はまだ口にしていないのだから


「あ~!どうすっかな~、とりあえず鍋はこれでいいか」


「それでは小さすぎます!やはりこれぐらいでないと」


倉庫内で鍋を引っ張り出すジョンと大きな鍋を抱え上げる田吾作


「しかしお前も使えねえよな~!料理も出来ないとは」


「料理は得意です!マスター、ですがキッチンは必要です」


凡庸アンドロイドである田吾作は通常の料理なら作る事は可能なのだがジョンの家にはキッチンが無い!

キッチンどころか今迄自炊もした事が無いのだジョンは、

食事と言えばレーションで済ませる男、ジョン

しかし今日初めて料理に挑戦するようだ!料理と言っても豆を湯掻くだけなのだが・・・



「それでは早速始めたいとおもいます!ジョンと~」


「多度作の~」


「「三分クッキング~!」」


二人で斉唱!どうやらTVの料理番組のマネをしているらしい


「今日はこの収穫したお豆ちゃんをお~いしく!お料理してみたいと思います」


「では先生!最初に何から始めますか?」


「いい質問です!田吾作さん、先ずはかまどを作ってみましょう」


料理番組をうたいながらかまど作りから始めるふたり、しかも三分クッキングは絶対無理だ!


「先ずは落ちている石を集めかまどを作ります」


「はい!先生、これでいいですか?」


「はい!お上手ですね、次に薪の用意です」


ジャングルに入り枯れ木拾いを始める二人、ぜぇぜぇ言いながら大量の薪を拾い集める


「それでは!先程作ったかまどに薪をセットします」


「次はどうしますか?先生」


「かまどに鍋をセットして火をつけます」


「次は豆を投入するのですね!先生」


「ああぁ~!違います、素人の方はよくしがちな間違いです、お湯を煮立たせる迄待ちましょう」


「すみません!先生」


お湯が沸くまで待つ二人、そろそろ煮立ってきたが石津みのかまどのせいで不安定に揺れている、

鍋を真っ直ぐにしようとするが熱くて出来ない


「あちっ!たっ田吾作さん、鍋を真っ直ぐにしてください」


「わかりました!先生、こうですね」


鍋を直そうとした田吾作が手を滑らせて鍋をひっくり返してしまう


「あ~!田吾作~、お前何してくれてんの?」


「手が滑りました!マスター」


火も消えかまども崩れすべてやり直し状態にもはやTYごっこをしていた和やかな雰囲気は無い!

ギスギスした雰囲気の中かまどの積みなおしから作業を再開する二人、ジョンが湯がいた豆を口にするのはその日の夕方であった、恐ろしい三分クッキングもあったものである

しかも鍋に塩を入れるのを忘れていたのでジョンの食べた豆はひどく味気ないものであった

最近忙しくてストックがきれてしまいました、涙

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