反撃
猪もどきとの死闘編?です、お楽しみに。
「まてえ!今日こそは解体してやる~」
「落ち着いて下さい!マスター、話し合いましょう」
二人の追いかけっこは終わりが見えない
この低レベルの追いかけっこが終わるのは
「ぶぅひっ!ぶぅひっ!」
なにやら音が聞こえてくる
「マスター!何か音が聞こえませんか?」
「何ごまかしてやがんだ!今すぐ解体してやるからな」
「ぶぅひぃ~~!」
「んん~!田吾作、なんて声だしてやがんだ」
「私じゃないです!あすこで聞こえましたが」
田吾作の指さす方向は昨日設置したはずの落とし穴がある
恐る恐る覗き込む二人が見たものは体長80センチ程の獣だ
「なっ!なんじゃこりゃ~!」
「だから似てませんって!マスター」
「うるせいよっ!そろよりどうするよ、こいつ」
「どうしようって!どうしますか?」
「とにかくこいつの血を畑の周りに撒かなくっちゃな」
ジョンは猪もどきを見張っておくよう田吾作に指示してから
倉庫に入り何やら作業を始めた、暫くして手に長い鉄の棒を
持って田吾作の元へ帰って来ると
「槍を作ってきた!田吾作!やれっ」
「何をです?というか嫌です!マスターどうぞ」
「何で!いつもいつも俺のいう事聞かないんだ、お前は」
「無茶ばかり言うからです!そんな棒であんな猛獣と戦えません」
「馬鹿野郎!棒と違うし、【方天画戟】だし」
「何ですか?ほうてんが・・・・」
「昔の強い人が使ってた武器だよ」
「鉄のパイプ斜めに切っただけでしょ!どうせ武器なら
【ショットガン】とかの方がいいです」
「そんな物騒なもん!お前に渡せるはずないだろ!俺がやるよ」
ジョンは落とし穴の上から猪もどきの頭に狙いをつけて・・・・
「田吾作!うろちょろしすぎで狙えねぇ、お前あいつを抑えとけ」
「無理です!そんなことをしたら私の肌に傷がつきます」
「肌じゃねえよ!お前のは装甲だ、すげえ硬えやつ」
「そうです!もう生き埋めで良いじゃないですか」
「だから血を撒く為に殺さなきゃダメなんだって、もういいよ」
覚悟を決めたジョンは再び槍もどきを構え猪もどきを狙う
「おりゃぁぁ~!」
乾坤一擲の槍が猪もどきの頭をかすめる、要するに狙いを外した
「プギュワヮァ~!ギュアァ~」
猪もどきは狭い穴の中を号泣?しながら走り出す
再び狙いをつけ槍を繰り出すが猪もどきの傷が増えるだけで
その命を奪うところ迄はいかない
穴の中では血塗れの猪もどきが叫び走りまくる地獄絵図だ!
「マスター!いたぶるのはやめてとどめを刺してやりましょう」
「いたぶってねえよっ!極悪人扱いするんじゃねえ!」
暫くそんな地獄絵図が続けられるが流石に疲れの見え始めた
猪もどきの動きが止まり今日何回目かの乾坤一擲のジョンの
槍が振り落とされ猪もどきはその命を落とした
「ふぅ~!何とかなったな、次は」
「チャラララッタラ~!マスターはレベルが2に上がった、力が5
に、素早さが4に、賢さが2に・・・」
突然田吾作が喋りだしたが無視だ!
ジョンは穴の中に飛び降り用意していたロープで猪もどきの後ろ足
に括り付け田吾作に穴から引っ張り出させた
「よし!そのまま頭を下にしておんぶしてろ」
そう言うと背負わせた猪もどきの首をナイフでザックリ切る
飛び出す血飛沫が田吾作の背中にかかると
「マスター!何をするのです、ああ!臭い・・・」
「うるさい!これからは時間との勝負だ!それかついで畑の
周りを走れ!血を撒くんだ!」
血を流す獣を背負い走り出す田吾作、勿論文句を言いながら
その後ろを追いかけながら走るジョン、文句は聞いてない。
先日会議でスタンに教えて貰った血抜きの方法
脳を潰された動物の心臓は暫く動いているらしく心臓が動いて
いるうちに首などの動脈を切ると血抜きが楽に出来るらしい
血抜きを利用し畑の周りに血を蒔き猪もどきバリアーを作るのだが
何の説明も貰っていない田吾作は訳もわからずスプラッター状態で
文句を言いながら走り回る
それから長い時間走り回ったが血も出なくなったので軽トラの
荷台に猪もどきを置き荒れた畑の修復作業を開始する
勿論田吾作は落とし穴の修復と新しい罠の設置だ
今日も夕方迄作業し落とし穴は畑の東側ほぼ全域に設置
畑の被害は全体の50パーセント近くやられた
被害の大きさに肩を落とすジョン
「マスター!見て下さいこの落とし穴地帯を、これなら
明日は大量捕獲間違い無しです!」
「ああ!良かったな、差し詰め猪もどきホイホイだな」
力なく答えるジョン
「元気出して下さい、今日はお肉ですよ、焼き肉!」
「はは!そうだな、肉でも食ってやらなきゃやってられないな」
ともかく今日の作業は終わった、二人は家に帰でゆっくり休もう
そう思い家のドアを開けた
「ただいま~!エリー」
「お帰りなさい!マスター、家に入らないで下さい!!」
急に大声で出ていくよう言われるジョンと田吾作
「なんだ?どうしたエリー」
「どうしたじゃないです!マスター、血の汚れを落してきて下さい」
確かに二人は血まみれだ、井戸水をくみ上げ血の汚れを落すジョン
、しかしここでも問題が起きる、田吾作は水が怖くて汚れが
落せない、仕方なくジョンが夜ご飯を食べた後雑巾で血をふき取る
まで田吾作は猪もどきの血糊付き案山子として畑の見張りをする
事になった、まさに最強の案山子である
次回は凄く平和な日常回になる予定です、
うまくいくのか?